ウインド・リバー

ウインド・リバー

これを見たのはジェレミー・レナーが出ているから。彼のことはわりと好きだ。最初に「事実に基づく」と出てくる。舞台はワイオミング州。他の場所では春でも、ここはまだ冬。コリー(レナー)は、家畜を襲う猛獣を狩るハンター。合衆国魚類野生生物局の職員。先住民のウィルマと結婚したが、別れたらしい。今日は彼女が仕事の面接に行くので、息子ケイシーを預かる。銃の扱いには厳しいが、馬の扱いは噛んで含めるように教える。ウィルマのやや虚脱したような態度は妙だが、そのうち事情がわかってくる。娘のエミリーを三年前に失ったのだ。コリーはたまには妻と二人きりの時間を持ちたいと、ホテルに泊まることにする。親が留守だというのが知れ渡り、家はパーティ状態に。その後何があったのかはわからない。エミリーは遠く離れた場所で遺体で見つかった。コヨーテに食い荒らされ、よく調べることもできない状態で。妻と二人きりになりたいというのは、白人らしい考え方だと思う。たぶんコリーは自分を責め、荒れたんだと思う。そのせいでウィルマは疲れ、夫にあいそつかしたんだと思う。今のコリーは何とか試練を乗り越え、表面的には落ち着いている。ウィルマとやり直したいんだと思う。でも彼女にはその気はないみたい。ここを離れ、ジャクソンに移って、ケイシーと二人で暮らしていきたいようだ。子牛を襲うピューマを狩りに行ったコリーは、ナタリーの死体を見つける。彼女はエミリーの親友だった。父親マーティンとコリーも友人どうし。直接の死因は、厳寒の中を走って肺が凍り、出血したことによる窒息死だが、裸足で走っていることから、逃げていたのだと思われる。しかもレイプされているようだ。FBIが来るが、若い女性捜査官バナー(エリザベス・オルセン)一人だけ。部族警察の所長ベン(グレアム・グリーン)は、こういうのには慣れてる。保留地での犯罪は無視されたり軽視されたり。フロリダ出身で、厳寒の地に不慣れな、また応援もいないバナーは、コリーに協力を求める。雪の上にはいろいろなあとがあるが、その分析は彼の専門だ。ナタリーの兄チップはヤク中で、警察のお世話になることも多い。一緒にいるリトルフェザー兄弟も問題児。こういう・・アルコールやドラッグにのめり込む若者は多いようで。人生に希望が持てない。

ウインド・リバー2

ベンが言うには、彼らは刑務所へ行きたいのだそうな。食事とベッドがつき、テレビも見られる。非協力的だったチップも、妹には白人の恋人がいたと明かす。掘削所の警備員マットだ。ところがそのマットが死体で見つかる。バナーやベンは掘削所の宿泊施設を調べに行くが、コリーは元々頼まれていたピューマ捜しに。巣を見つけるが、双眼鏡で見た掘削所の光景が気になる。ここらへんはよくわからない。似たような男が何人も出てくる。みんな銃を持ってる。みんなして銃を突きつけ合って、一触即発の状態に。ここで度胸のあるところを見せたのがバナー。警察権があるのはFBIだけ・・と、みんなを従わせる。ただ、令状は取ってないし、コリーは別のところにいるしで、何となくちぐはぐな感じ。中にいたピートが銃をぶっぱなし、たちまち銃撃戦に。その直前、ナタリーとマットに何があったかを長々と見せる。マーティンは娘はもう18歳だからと、彼女の意志を尊重していたけど、自由には危険が伴う。父親の庇護がない。自分で自分の身を守らなくてはならない。でも恋する乙女にはマットと楽しく過ごすことしか考えられない。人里離れた場所での毎日に欲求不満をつのらせている、しかもアルコールが入っている男達に囲まれたらどうなるか。男達に殴り殺されるマットを見捨てて、裸足で逃げるしかなかったナタリーも、途中で力尽きる。さて、バナーは防弾ベストのおかげで何とか生き延びたけど、ベンや部族警察の二人は死んじゃったようだ。作業員達の方も、生き残ったのはピートだけ。しかしどんなに逃げてもコリーからは逃れられない。マーティンに約束した通り、生きては戻さない。ナタリーと同じ目にあわせてやる。マーティンは生きる希望をなくし、自殺するつもりだったようだが、コリーからの電話で思いとどまる。事件は解決したけど、ナタリーは戻ってこない。エミリーに何があったのかはこの先もわからないまま。ウィルマとケイシーは町を離れるのだろう。コリーの孤独はこの先も続く。まあ先住民の抱える問題とか、アメリカ政府のやり方とか、いろんな重い要素を含んだ映画だけど、私は単純にレナーのキャラを楽しんだ。もうちょっと寡黙だともっとよかったんだけど。オルセンは「レッド・ライト」、グリーンは「トランスアメリカ」に出ていた人だ。すぐに銃が出てくるのは怖い。人を撃つことに何のためらいもないのが怖い。それでいて一発必中のコリーがカッコイイ。