ウォーリー

ウォーリー

見たのは吹き替え版・・と言うか、字幕版はやってない。冬休みも終わった平日午前、お客は四人・・ってだいぶ前の話だぜ!もちろん暮れやお正月は子供連れでにぎわっただろう。セリフがほとんどない前半、子供達がどう反応したのか見てみたかった。まあとにかく・・大画面の隅々にまで気の配られた美しい映像だと思う。林立するビル・・それも本物のビルの他にウォーリーがゴミで作ったビルもある・・の下で走り回るウォーリー。その小ささ。テレビ画面だと見えるかな。ゴミがあふれ環境が悪化して住めなくなった地球から、人類は巨大な宇宙船で飛び立つ。五年のつもりがもう700年もたってしまった。たった一人(?)生き残ったウォーリーは、今日もゴミをかたづける。このウォーリーが何ともかわいい。まあ見た人全員彼のかわいらしさ、けなげさに魅了され胸キュンするだろうから、くどくど書かないけどさ。朝になるとまず太陽の光で充電するのが何とも言えませんな・・かわいい!(←書いてるじゃん)気候も変わって一日一回は砂嵐が来るみたいな感じ(「ソルジャー」風味)だけど、太陽だけは毎朝ちゃんと出るからウォーリーも生きてゆける。700年の間に彼にも少し変化が出てきた。感情めいたものが芽生える。仕事中に見つけたいろんなものを自宅(?)に持ち帰る。そうじ用ロボットらしく、あれこれ分別して置いておくのが見ていて楽しい。ボウリングのピンを並べる機械を利用した整理棚。動かなくなった自分と同じ型のロボットを見つけると、まだ使える部分を取り出し保存しておく。自分が故障するとそれと取り替える。彼のまわりをちょろちょろするのは一匹のゴキブリ(たぶん)だけ。時々つぶされるが全然死なない。そう、ゴキブリってしぶとい。殺虫剤かけてもなかなか死なない。一番確実で完全に死ぬのは熱湯をかけた時だ・・って何の話?まあゴキブリが一匹だけってのはありえないけどさ。ある日宇宙船が降り立ち、中から探査用ロボットが現われる。その美しいロボットにウォーリーは一目ぼれ。このイヴの造形がすばらしい。私がこの映画を見る気になったのはウォーリーのかわいさが半分、イヴへの興味が半分。イヴは血統書つきの貴婦人ネコみたい。つやつやと毛並がよくてつんとしていて気まぐれで。思い通りにならない高嶺の花。イヴはぴかぴかのスマートな体、青白く冷たい目、すぐ攻撃する激しい気性(?)の持ち主。

ウォーリー2

何かと言うとがたがたふるえて隠れているウォーリーとは正反対。まあとにかくイヴは、今まで映像化された中で一番美しい女性(?)ロボットだろう。ウォーリーは映画のビデオテープをくり返し見ている。登場人物が手をつなぐシーンを見て、自分も誰かと手をつなぎたい・・と思っている。まあ・・ゴキブリとじゃムリだからね。でもビデオテープってそんなに何百年も持たないと思うが。まわりはウォーリーを始め金属ばっか。磁気が飛ぶと思うが。テープがすり切れると思うが。ビデオのヘッドが・・以下省略。さてウォーリーはイヴの気を引こうとあの手この手。ある時植物の芽をプレゼントしたらイヴはそれを体の中にしまい込み、そのまま動かなくなってしまう。理由がわからず心配してイヴに寄り添うウォーリーがかわいそうでねえ・・。せっかく自分以外のロボットにめぐり合えたのに。しばらくするとあきらめてまた自分の仕事・・ゴミそうじ・・始めるのが胸キュン。さて見ている我々にはイヴの使命はうすうすわかる。また地球に戻ってこれるかどうか。生物の存在は・・芽生えはその手がかり。後半は舞台が宇宙船に移る。人間の俳優が出てくるのかと思ったら人間もアニメ。・・と言うか700年の間に彼らはすっかりアニメ化してしまう。機械が何でもやってくれるから何もしなくていい。デブデブに太り、歩くこともできない。退化した彼らにはぞっとさせられる。彼らほどではないけれど、今の私達も便利さに慣れ、頭や体を使わなくなってる。確実に感性、体力は退化していると思う。船長がコンピューターから指揮権を取り戻そうと奮闘するシーンでは、確か汗かいていなかったような。数百年温度も湿度も適度に保たれた環境にいる彼ら。重労働なんてしたことないから汗腺もなくなっているのでは?それと人々の中に老人いたっけ?何しろ細かい部分までびっしり描いてあって、情報量が多いから、私なんかの目ではとても全部見てとれないけど、じいさんばあさんいたっけ?あんな食べて寝るだけ歩いたことなしの生活していたら、じいさんばあさんになるまで生きてられないんじゃないの?ラスト人類は地球に戻るけど、描写は楽天的・きれいごとすぎるね。もっとも人類は苦労とか挫折を全く知らずに生きてきたから、地球に帰って困難に直面しても何も感じないかも。

ウォーリー3

困難がどういうことか知らないから、うまくいかないこと、不便さをかえっておもしろがるかも。・・と言うか、いよいよとなったらまた宇宙に飛び立てばいいんだしぃ。本当はこんなひねくれた感想じゃなくて、別のこと感じるべきなんだろうけど。例えば宇宙空間でのウォーリーとイヴのダンス。何て夢があって美しく楽しいシーンなんだろう!・・とかさ。でも私はあのシーンでは別のこと考えてた。人類が地球を去ったのはゴミのせいだ。今は宇宙船という限られた空間にいる。補給の手段のない自給自足の環境。リサイクル、リユース、リデュースが最も重要なはず。でも彼らは何をしている?ああやってひっきりなしにゴミを宇宙空間に排出しているってことは・・。なぜそんなことができる?近くに鉱物資源の豊富な惑星でもあるの?人類は自分達が地球でしでかしたあやまちを、今度は宇宙でやっている。宇宙をゴミで汚し続けている。700年も・・。だったら宇宙船のまわりはゴミでいっぱいのはず。でも二人がダンスをしている時、まわりにゴミってありました?そこんところが引っかかって私は楽しめなかった。こんな人類が地球に戻っても同じことくり返すだけでしょ。ラスト近くでウォーリーが壊れちゃって、イヴが必死で修理し、直ってやれやれと思ったら様子がおかしい。そうじロボットとしては正常なんだけど、700年の間に起こった変化・・感情の芽生えまでリセットされてしまった。とことこ仕事を始めるところが胸キュンキュン。イヴの必死さにも胸キュン。セリフのないロボットどうしの交流なのに何でこんなに感動的なんだろう。まあラストはもちろんハッピーエンドなのでホッとしましたけど。ウォーリーが汚したあとを懸命にそうじして回る小型ロボットがかわいかったな。ウォーリーを何度か改良して小型化したような形なのがいい。エンドクレジットの時もせっせせっせとおそうじ。人間達を管理するコンピューターは、私にはどうしたってHALにしか見えなかったな。赤い目もそうだけど、与えられた使命が・・。船長すら知らないことをコンピューターだけは知ってるという・・。そのせいで敵役とは言え憎めなかった。プログラムしたのは人間なのだから。まあほんわかできるいい映画だったけど、人類の身勝手さやノーテンキな楽天主義には首を傾げたな。砂嵐がやむわけでもないし。