アンシンカブル 襲来

アンシンカブル 襲来

あまりなじみのないスウェーデン映画。出ているのも知らない人ばかり。WOWOWのガイドブックには毎月何本も見るからに・・いや、読むからにかな?・・C級D級っぽいSF映画の紹介が載る。とても全部は見ているヒマがない。HDDが「NCIS」やら「ブラックリスト」やらでいっぱいで、録画するあきをひねり出すのにも苦労する毎日。勤めているわけでもなし、孫の子守りを頼まれるわけじゃなし、時間なんかいっぱいあるだろうと思われるかもしれませんが、これがあなたなかなかどうして、時間の捻出には苦労しているんですよ。ダンナは録画リストを見てその多さに呆れるけど、そのダンナが留守の時でないと、落ち着いて集中して見ていられないんですの。しょっちゅう何か言ってくるから、そのたんびに停止ボタン押すはめになる。うるさくて音楽もセリフも聞こえない。邦画の時なんか特に困る。でもありがたいことに近頃では邦画でも洋画の吹き替え版でも字幕をつけてくれるようになった。・・などと長々と書いてしまったが、この映画も長い。129分と聞いただけで「うぇ~」。後回しにしたくなる。でも私はSF映画が好きなのだ。クズが多いけど、それでも見たいのだ。ダンナが出かけた・・それッ再生、ダンナが風呂へ入った・・それッ再生、ダンナが寝た・・それッ再生。いやホント録画機能ってありがたい。中断されながらも全部見ることができるのだから。内容の方はあまり期待しない。長々と見せられたあげく、何も解決しませんでしたとなっても怒らない。そういうあいまいなもの・・わからないままで終わる映画の何と多いことか。最初の20分くらいは、エスエフのエの字も感じられない。主人公のアレックスは16歳らしい。映画を見ていても何もわからないが、ネットで調べて情報を補填する。彼はアンナに恋している。一緒にピアノを弾いていて指が触れたとか、散歩するとか。スウェーデンならさぞかしススんでいるだろうなんて思うけど、何もなし。アレックスの父ビョルンは変電所で働いている。以前は軍隊にいたらしく、今の仕事が不満だ。常にどこかから攻めてくるのではと神経質になっている。妻のクララとはうまくいっていない。彼はちょっとしたことで怒り出す。本当は家族を愛しているのだが、不器用で口べた。家庭が完全に崩壊したきっかけはクリスマスプレゼント。

アンシンカブル 襲来2

アレックスがギターを欲しがっていると知り、ビョルンは手作りする。さあ渡そうと思ったら、クララが買ってきたギターを渡していた。さすがにここはビョルンが気の毒に思える。一言妻にギターはオレが作るからと言えばよかったのだが・・。こうなるといつものように怒り出すしかなくなる。翌朝クララは家を出、その後アレックスもおじを頼ってストックホルムへ。アンナは母親の仕事の都合でストックホルムへ引越したし、こんなところにいたって仕方がない。出発の直前アンナに会ったけど、何も言えなかった。口べたでうじうじした性格なのは、やっぱり父親と似てますな。てなわけで書いててもわかるけど、どこがSF?なのよ。宇宙人は?ゾンビは?あるいはその他モロモロのSF映画お約束のアイテムは全然出てこない。それまでは2005年の、クリスマスだから12月の話。月日は流れて今は2018年だとすると、13年たったから、アレックスは29歳くらいか。あらッ!髪の毛が・・まだ若いのに。交代・・いや、後退してるぞよ。普通13年たつと、別の俳優にチェンジするけど、珍しく同じ俳優で通す。ひょろっとしていて・・スウェーデンと言えばどうしても世界一の美少年ビョルン・アンドレセン思い浮かべるけど、このアレックスやってるクリストファー・ノルデンルートは・・いやいやそんなこと期待する方が間違ってるんですってば。アンナ役リサ・ヘンニはふくよか系。ビョルンがイェスパー・バルクセリウス。話を戻して・・アレックスはミュージシャンとして成功している。ただ、気難しくて扱いにくい性格。父やアンナとは連絡取っていない。ある日クララが駅での爆発に巻き込まれて死んでしまうが、そのことも父親には知らせない。あちこちで通信障害が起きるが、人々は夏至祭を楽しむ。ビョルンは不法侵入者を見つけて、陰謀説を唱えるが、いつものことなのでまわりは誰も相手にしない。爆発やら何やらはISの仕業ではなかった。大臣などが集められるが、その中にはアンナの母親エヴァも。スウェーデンは厳戒体制に入るが、詳しいことはわからない。国民にはほとんど何も知らされない。さあやっと宇宙人が出てくるのか、宇宙船が飛来するのか、だってSFだもん!!と心が騒ぐが、橋の上で、田舎道で車が次々衝突する。じゃあ運転手がゾンビに?と、こちらは心が騒がないが(ゾンビ物は好きじゃないから)、そんなこともなく・・。

アンシンカブル 襲来3

ってことは、”理由がわからないから怖い”路線で行くのか。偉い人はみんな死んじゃったらしい。生き残ったのは、娘会いたさに別行動取ったエヴァだけ。中盤は、”何が起こっているのかわからないから怖い”のと、”助け合うべき人達の中で起きるパニック、争いの怖さ”の二本立て。特に軍人だと銃があるから、意見の相違が死につながる。話を少し戻して、アレックスはアンナと再会し、楽しいひとときを過ごす。おまけにアンナの家に泊まる。こりゃ絶対・・と、普通は思うが、何もなし?省略したんじゃなくて、何もなかったんだよね?それもそのはずアンナには妻子が!!違う違う、夫子が・・。黙ってたアンナもアレだけど、アンナは独身のままに違いない、ボクのこと忘れられないはず・・なんて勝手に決めつけているアンタの方がおめでたいんだってば。怒るのは筋違いってもんよ。都合よくその日は夫は仕事、娘はお泊りだったんだけど、夫のキムは軍人で、召集がかかって、それで留守だったのよ。兵士の多くも汚染で命を落とし、後でアンナもキムは死んだと思い込むんだけど、実は生き残っていて。その生き残った部隊のところへエヴァが連れてこられる。彼女は放送で雨に濡れてはいけないと国民に注意を促すけど、リーダーは敵にここの位置がわかってしまうと放送には反対してた。案の定攻撃され・・。あれこれあるけど、要するに一番怖いのって人間。今回の場合ロシアが、急激に痴呆になる生物兵器をばらまいたことになってる。でも印象に残るのはアレックスの・・。だってやっと通じたビョルンとキムの会話を、相手がアンナの夫だと知るとわざと切っちゃうんですぜ。後であやまっていたけど、それにしたって。彼は実家で例のギターを見つけ、父の心情に気づくが、遅すぎた。和解する暇もなく、ビョルンは死ぬ。その後のアレックスは不可解な行動を取る。雨に濡れ続ける。おまけにアンナの方も濡れ続ける。アレックスはともかく、アンナは幼い娘のこと考えるはずだが。ラストの説明めいたシーンはいらないと思う。ロシアの仕業らしい・・それでかまわないと思うが。てなわけで、長すぎるせいで一部の人にとっては「眠気の襲来」とでも言うべき映画でしたが、私はこういうのも許容範囲ですよ。それにしてもスウェーデンには傘がないんですかね。