アンストッパブル

アンストッパブル

二度も見そびれたので、テレビ放映かレンタル待ちでもいいかな・・と思ったが、がんばって(?)見に行った。その日に行かないと次の日からは夜だけになっちゃうし・・と言うか、もう公開終わりましたけど。きっと私一人だろう・・と思ったら、私を入れて七人くらいはいて。あら、意外といるじゃない。デンゼル・ワシントンはともかく、トニー・スコット監督なら期待できるだろう・・というのが見る前の予想。人間の悪役は出ず、暴走した貨物列車が敵・・という程度の前知識。でもねえ・・列車が悪いわけじゃない。原因はすべて人間の側にある。列車777号が暴走し始めるまでは、そっちの方と、主要人物二人の乗った列車1206号の部分と交互に描かれる。地理的にどうなってるかわからないので、流れがつかみにくい。でもあまり気にすることはなくて。すぐ追いかけっこ、暴走に引き込まれる。小さなミスが大きな事故にという過程は、考えさせられる。あんなにいいかげんでいいのかな。本人達に悪気はないが、慣れがある。面倒くさい、これくらいならあとまわしにしても大丈夫。エアブレーキの修復をあとまわしにしたツケ、走っている機関車から下りたツケ。無人のままスピードを増す777号。39両・・800メートルもあり、有毒物質を大量に積んでいる。他に燃えやすいディーゼル燃料も。大あわてで機関車に戻ろうとするデューイ。それを見て手をたたき、笑う仕事仲間達。誰も重大な事態だと思っていない。動こうともしない。結局デューイは戻れない。あんなに太っていて・・走るのもやっと。修復していれば・・下りなければ・・やせていれば・・。中盤あたりからは、スクリーン見ていて思いませんでした?あのしつこいヘリコプター撃ち落としたい!たいていの映画ならヘリは途中で山か木にぶつかって墜落爆発する。ばんざ~いざまぁ見ろ!でもこの映画はそうならない。最後まで無事(残念)。テレビ局のヘリ・・それによって全米に生中継され、人々は固唾をのむ。でも1206号に乗っているフランク(ワシントン)やウィル(クリス・パイン)にとっては・・。二人は何とか777号を止めようと奮闘する。その努力をたぶんあのヘリは相当邪魔してる。かなり上空にいてもヘリはものすごくうるさい。強い風も巻き起こしているだろう。ただでさえ列車は騒音やら振動やら。なぜフランク達が、邪魔するなあっちへ行けとののしらないのか不思議だった。

アンストッパブル2

うじゃうじゃと集まってくる見物人、パトカー、軍隊。避けるんじゃなくてかえって集まってきて混乱を増す。人間って不思議だな・・危険にわざわざ近づく。まあどんなに近寄ってもクライマックスまでは大丈夫だけどさ。スコット監督のいいところは、CGより実写にこだわること。そのせいで製作費もかさむ。IMDbでは1億ドルになってる。興行成績は8000万ドル台だから元は取れない?日本でも大ヒットとはいかないようで。ねえ・・みんな、何でこんなおもしろい映画見に行かないの?ワクワクドキドキハラハラ・・みんな詰まっているよ。3-Dが何だ、本物の迫力が味わえるんだぞ!そう言えば映画館に張り紙してあった。今300円の3-D料金を400円にするんだってさ。今3-Dでかかっているのは「トロン:レガシー」と「グリーン・ホーネット」。でもどちらもヒットして・・ない?どちらも続編、あるいはリメイクで知名度はあるはずなのに・・。3-Dでなきゃ私も見に行くんだけど・・。話を戻して今からでも遅くはない!「アンストッパブル」見ましょう!・・と言いつつ私はポイントで・・無料で見ました。興行成績に貢献しなくてすみませ~ん。それにしてもこの題名はなあ・・何とかならなかったのか。「暴走機関車」はすでにあるから・・「暴走機関車777(スリーセブン)」とか。「どうにも止まらない2011」とか。とにかく「列車関係よ」的題名の方がよかったと思うが。今鉄道ブームなんでしょ?もっと訴えかける・・そそる・・あおる・・ってもう遅いか。ちなみに「暴走機関車」をレンタルしようと思ったことはある。でも何だか内容が暗く重苦しそうだったのでやめた。デンゼルはちょっと油分が抜けてきたような。クライマックスも途中で見せ場をパインに譲ってたし。パインは「スター・トレック」見てないので今回が初めて。なかなかいいが、一昔前ならポール・ウォーカーあたりがやりそうだ・・と思いながら見ていた。ちょっと感じが似ている。彼ら以上によかったのが操車場長コニー役のロザリオ・ドーソン。男ばかりの職場でエネルギッシュに働く。デューイとかネッドみたいに油を売っていたのではこの地位まで来れない。女は男と同じことしていたんじゃだめなんだ・・みたいな。ドーソンのいいところは、こみいった状況にいても、それを整理して正しい方向へ持っていってくれそうな雰囲気があること。

アンストッパブル3

泣いたりわめいたりして事態をいっそう混乱させる・・そんな役割を若い女性が担うことは珍しくない。おいあのバカ女何とかしろ、あっち連れてけ!・・でもコニーは違う。忙しく頭を働かせ、専門家の意見を聞き、上とやり合う。ドーソンの知的さ、てきぱきとした態度・・こういうアクション映画には必要な存在。アクション映画にお色気は不可欠・・なんていう時代は終わったのさッ!彼女のセリフに「男気」というのがあったが、ホント列車を止めようと奮闘する彼らの間にあるのは「男気」なのだ。上司で、何かと間違った判断をするギャルヴィン役はケヴィン・ダン。いちおう彼が悪役と言うか憎まれ役に当たるが、見ている限りじゃ彼もあの立場じゃ無理もない・・と思う部分はある。彼は彼で上との兼ね合いがある。人家のない郊外を走っている間に脱線させるというコニーの提案を彼は退ける。その後脱線させることにするが、その頃にはもうまわりには人家があるから、今度はコニーが反対。しかしギャルヴィンは聞かない。失敗して大きな被害が出ても、脱線案を出したのはコニー・・と責任をなすりつけるような、そんな悪人にした方がよかったのでは?ところでパンフのキャストにワーナー警部ケヴィン・コリガンとあったが、彼って警部?連邦鉄道局の監察官でしょ?鉄道の見学に来たうるさいガキども・・じゃない、よい子達に講演するために来たとかでたまたまコニーのそばにいて。専門家の立場からいくつか助言する。こういうキャラはたいてい若くて自信家ででしゃばりで、時には邪魔だったりするが、ワーナーはわりと控えめ。脇キャラではネッドがおいしいところさらうが、私はワーナーが気に入った。コリガンには見覚えがある。調べたら「ミディアム」の「刻まれた罪状」に出ていた。子供達を引率していた黒人女性も「ミディアム」に出ていたな。他に「Mr.ブルックス」のスキンヘッドの弁護士とか。操車場の通信士役ケヴィン・チャップマンも見たことある。「サンシャイン・クリーニング」に出ていたらしい。ギャルヴィンに決断催促していた男性(ケヴィン何とか氏・・ケヴィンだらけだ)はハンサムだったな。パンフは同じことばかりくり返し書いてあって、キャストの紹介も主要な三人だけ。物足りないなあ。まあこの映画は実際にあったことをベースにしているそうで、その点はびっくりしたな。

アンストッパブル4

話を戻して・・踏切でトレーラー(馬が乗ってた)がはね飛ばされるところ、脱線器(そんなのあるんだ)が壊されるところ、そしてクライマックスとも言うべき”スタントンの大曲がり”を乗り切るところ!いや~こんなカーブ作ってしかもすぐそばにはタンク群・・何でこんなところにわざわざ作るのさ!危険を分散させよう・・じゃなくて集中させろってか?そりゃあ日本でも密集地にスカイツリー作ってるけど・・って何のこっちゃ。いやホント人間は日々危険の中で暮らしているんだなあ。777号の前に別の機関車くっつけ、スピードゆるまったところでヘリから兵士乗り移らせようという計画は見事に失敗する。と言うか、あんな作戦やっちゃうんですねえ・・。ま、失敗するってわかってるからハラハラはしない。結局ウィルが止めるけど、見てる人全員フランクが止めると思ってたはずで。あら?若いもんに手柄譲っちゃうの?だから私にとってはやっぱり”スタントンの大曲がり”ですよクライマックスは!ウィルは勤務中なのにケータイでやり取りするし、頭にくると列車を余計につなげるなどバカをやる。奥さんダーシーの不倫を疑い、接近禁止令が出ている。妻を愛するあまり疑り深くなり、時には暴力も・・ってこれまた「NOEL(ノエル)」でポール・ウォーカーがやったキャラみたいじゃん。フランクは娘の誕生日忘れてて、あわててケータイ入れる。こら娘こんなささいなことで怒るなっての!もちろんダーシーも娘達もテレビとか見ながら応援し、最後は丸くおさまるんですけどね。ダーシーはコニーとは正反対の受身キャラ。離婚寸前なのにすぐよりを戻すとかちょっと浅い。気になったのは、大事故が起こる(ウィルが死ぬ)かもしれない現場を息子に見せてること。普通なら息子だけでも姉に頼んで安全なところへ避難させるはずだが。何か彼女には幼さを感じるな。とまあささいなことをほじくっておりますが、改めて思ったな・・例えヒマでも面倒でも慣れていることでも、これでいいのか間違いないか、他にやっておくべきことはないか、常にチェックしましょうね。真面目にやりましょう。ラストはハッピーエンドだし、その後のつけ足しも楽しいけど、殉職したジャドのこと少しは悼みましょうね(彼が一番の貧乏くじ)。それにしても「デジャヴ」「サブウェイ123/激突」・・次にこれでしょう?監督の精力的な仕事ぶりには恐れ入るな。それもこんなとるのが大変な映画。