裏切りのサーカス

裏切りのサーカス

この映画は好き嫌いが分かれそうだ。何がどうなってるのかわからないし、説明不足のまま終わってしまう。現在と過去がまじっていて、混乱する。最初のうちはこれがこうなって・・なんて思いながら見ているけど、途中であきらめる。これはそういう映画じゃないのだ、わからなくていいのだと思えてくる。原作者はジョン・ル・カレで、文庫が出ているようだ。サーカスとは英国諜報部のことらしい。”モグラ”とか”腐ったリンゴ”とか「エレメンタリー」や「新米刑事モース」でおなじみの言葉が出てくる。チーフのコントロール(ジョン・ハート)の命を受けてジム(マーク・ストロング)はブダペストへ。そこで罠にかかり、死んでしまう。この失態の責任を取ってコントロールは右腕のスマイリー(ゲイリー・オールドマン)と共に退職。後釜におさまったのはアレリン(トビー・ジョーンズ)。ほどなくコントロールは死亡(病死?)。そう言えば少し前ジョン・ハートの訃報が新聞に載った。残念なことだ。オールドマンはこの役でアカデミー賞にノミネートされたらしい。受賞してもおかしくないのに。ハートもストロングもすぐ死んじゃうので、あれもう出番終わり?とびっくり。でもまた出てくるんだけどさ。コントロールは内部にモグラがいると主張していたけど、相手にされなかった。アレリンとヘイドン(コリン・ファース)、ブランド(キアラン・ハインズ)、エスタヘイス、それにスマイリーを含めた五人のうちの誰かがモグラだと思っていたらしい。スマイリーのことさえ疑っていたのだ。でもコントロールだって怪しく見えたけどね。そのうちスマイリーはレイコン次官(サイモン・マクバーニー)にモグラ捜しを依頼される。協力するのがギラムで、モチ私はギラム役ベネディクト・カンバーバッチが目当てです。彼が出ているのなら退屈でもわかりにくくてもオーケーです!いやホントくり返すけどわかりにくいのよ。画面も暗くて顔がはっきりしない。誰がうつっているのか、誰がしゃべっているのか。ターをやってるのがトム・ハーディだとわかったのはかなりたってから。ジムらしい男が出てくるのも不思議だった。死んだはずなのにおかしいなあ。ここは回想シーン?彼は男子校の教師らしい。メガネをかけた鈍そうな少年ビルは・・ヘイドンもビルという名前だから、これは昔の彼?ん~でも年齢的に合わない。ストロングのヘアスタイルがまた・・中途半端だ。バレバレでもいいから髪フサフサにするか、潔くツルツルにするか。

裏切りのサーカス2

髪はあるけどハゲでもあるとなると、今なのか過去なのか区別がつかん。まあ結局過去ではなかったのだが。ビルはまた昔のギラムのようにも思える。途中で採点している、ジムと似た感じの男性が出てきて。ネットで調べたらギラムの愛人なのだそうで、でも私にはジムに見えたのよ。何でこういう・・髪も顔つきも職業も同じようなのを出してくるのかね。しかもはっきりうつさないし。で、話を戻してジムは撃たれたけど生き延びて、拷問受けてみんなしゃべっちゃったけど、向こうはみんな知っていて。それと言うのもモグラがいるからだけど。イギリスへ戻ってひっそり暮らしているけど、それはヘイドンが手を回したからで。この映画はモグラがどうのといった部分だけではなく、それ以外のものも強調される。スマイリーは妻アンとうまくいっていない。アンはヘイドンと不倫していた。ターは敵側のイリーナに恋してしまった。イリーナは愛とは別に亡命もしたい。ヘイドンとジム、ギラムと愛人、スマイリーと敵の大物カーラ・・これら人間的愛憎の部分が盛りだくさんなのだ。スパイなんて日常からかけ離れた世界に思えるが、暗殺や拷問とまではいかなくても、似たようなことは我々のまわりでもある。困っているところを助けてやったのに恩を忘れて敵方についた。いつもバカにされていたのでいいところを見せようと暴走してしまった。いざとなったら助けてはやれないから、今のうちに身のまわりを整理しておくよう言われ、(たぶん理由は言わず)愛人と泣く泣く別れるとか。派手なアクションシーンはほとんどないけど、物足りなさはない。退屈で寝そうになる人もいるだろうけど、私にはなぜかこの退屈さが心地よかった。いつまでも映画が終わらないで欲しいと思ったほどだ。一番ドキドキしたのはギラムが日誌を持ち出すところ。成功した時にはこちらもホッ。でも日付がわかっているならあんな危ないことする必要ないような・・。ジムとビル少年の関わりも心に残る。無意識にスパイの心得教えちゃって・・。ビル君もすっかりジムになついちゃって・・。残念だったのは窓。外から丸見えとか、窓のそばに立つとか、外からの目を気にしなさすぎる。関係ないけどこの映画の設定は1973~1974年。日本では、世界ではアチョー、オチョー、ブルース・リーブームでわいていたけど、別の地域ではこんなことやっていたんだなあ。