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これは日本でも劇場公開されたらしい。私は中古DVDを見つけて買ったけど、それはウェス・ベントリーが出ているらしいからだ。こういううさんくさい感じの人って気になるんですよ。最初に見た時は、まあ普通にだまされていて。ケイシー・アフレックの登場の仕方が変だな~とは思ったけど、生きてるのが死んでて、死んだのが生きてるってのには気づかなかった。今回そろそろ感想書こうかな~って思って、数年ぶりに見直した。結末知ってるから、セリフとか注意しながら見る。当然裏の意味があるはずだから。19歳のキャシー(メリッサ・サージミラー)は親元を離れ、ミドルトン大学へ。親友のアニー(エリザ・ドゥシュク)も一緒だ。キャシーの恋人ショーン(アフレック)と、アニーの恋人マット(ベントレー)はハーバードへ。だから今夜でしばらくはお別れだ。アニーの提案で怪しげなクラブへくり出すが、帰りに交通事故を起こしてしまう。運転していたのはキャシー。その直前、元カレでもあるマットにせがまれてキスを許してしまうが、ショーンに見られてしまい、気まずい雰囲気に。夜で雨でアルコールも入っている。おまけに誤解を解こうとあせって、前もよく見ないで運転。これじゃあ事故を起こすに決まってる。半分はもう一台の車のせいだけど・・。で、ショーンだけ死んでしまう。私のせいで・・しかも誤解を解くヒマもなく・・と、キャシーは落ち込む。この後は・・まあくり返しです。キャシーは顔に傷のある男や、仮面をかぶった男に、理由もわからず追いかけられる。アニーはクラブで知り合ったらしいレイヴンという女性(アンジェラ・フェザーストーン)と付き合ってる。最初男に見えたけど女性で、何やらレズめいた雰囲気も。アニーはもう自由だ・・みたいなこと言って、どこか吹っ切れたような感じ。マットはキャシーを心配して、半分泊まり込み状態で世話してくれる。ハーバードへ行かなくていいの?と聞いても、「もういい」なんて答える。後になって、その言葉の裏の意味がわかるけど。つまりマットにとっては、ハーバードで学ぶ意味はもうないのだ。でも、その時はちょっと妙だな・・程度に思うだけ。

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キャシーが気になるのは、死んだはずのショーンが現われること。たいていは後ろから光が差していて、何だか後光のよう。言ってることの意味もあいまいで。キャシーは混乱するけど、マットには謎の男達も含めて全部幻覚だと言われる。死んでしまって初めてショーンのこと深く愛してるのに気づいたけど、彼だと思ってマットと寝ちゃったみたい。マットにしてみればキャシーにせがまれて一緒に寝たのに、朝になるとなじられるし、おまけにアニーに見つかっちゃうしで、もうさんざん。こういう・・誰かに追いかけられるというホラー的な部分、死んだはずの恋人の出現というファンタジー的な部分、男と女の心のすれ違いというティーンラブ的な部分があって、それが何度となくくり返される。サージミラーは知らない人。グウィネス・パルトロウに似ているが、口のあたりはレイチェル・マクアダムズ風。パッとしない感じで、見終わって5分もすると、もう顔がぼやけてくる。主役なのにDVDカバーでは脇に追いやられている。ドゥシュクの方が「クライモリ」や「トゥルー・コーリング」などで知られているかも。アフレックはこの頃はまだ目のきれいな美形というだけの存在。口のあたりが締まりがなくて、強い印象を残せない。ショーンのキャラも、キャシーを運命の人と決め、目移りせずひたすら愛し続けるタイプ。一見理想の恋人に思えるけど、19歳くらいでもう一人の人に決めちゃって、他は目に入らないなんてちょっと早いんじゃないの?という気もする。キャシーはまだそこまでは行かず、気持ちも時々揺れ動く。ショーンを愛しているけど、まだ若いし時間はたっぷりある。自分だけに愛情を注いでくれるのはうれしいけど、ちょっと窮屈な気もする。今から全部決めなくたって・・。それに別れたとは言え、マットにすげなくするのも気が引ける。ちょっぴり彼の願いを聞いてあげるのもいいんじゃないの?そんなキャシーの気持もわからないではない。で、マット・・と言うかベントリーだけど、やっぱり目立つのよ。ひょろっとしていて、眉が濃くて、目がすわっていて。笑顔でも目は笑っていない。何かいつもびっくりしたような顔していて。

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悪いやつじゃないんだけど、どこか毒があって。たぶん別れ話を切り出したのもキャシーの方だろう。彼の発する毒に疲れ、すべてを癒してくれる万能薬みたいなショーンに鞍替えしたのだ。マットはアニーと付き合っていてもキャシーのことが忘れられない。アニーだって本当はショーンが好き。親友だからキャシーには隠してるけど。マットはキャシーの話し相手になったり買い物をしてあげたり。寝る時は床の上。最後の方ではキャシーに酒ビンで頭殴られて車からほうり出されていて、気の毒に、あれじゃああんまりだ。さて、ヤングスターの競演というのがDVDの宣伝文句だけど、ともすれば軽くなるところを救っているのがジュード神父役ルーク・ウィルソン。今はだいぶ顔もたるんだけど、この頃はまだ大丈夫。混乱しているキャシーの避難場所的存在。ショーンの死は自分のせいと落ち込む彼女に、誰を生かし、誰を死なせるか決めるのは神だと諭す。最後の方で死の淵から蘇ったキャシーに、ショーンは「君は悪くない」となぐさめる。いや~前を見ないで運転していたキャシーは悪くないんですか。マットが死んだのもアニーが死んだのも彼女のせいではなく、神のおぼし召しですか。二人の遺族はそれを聞いて納得しますかね。「記憶探偵と鍵のかかった少女」でもランドグレンがジョンに「君は悪くない」って言ってたな。「スティーヴン・キング ファミリー・シークレット」ではラムジーがダーシーに「君は正しい」・・なんかあっちでもこっちでも許しのオンパレード。「君のせいだ」「君が悪い」は禁句ですか?さてと、ネタバレしちゃいましたけど、いいよね。ジュードも実は死んでいて・・いったいなぜ死んだのか気になるなあ。黒い髪に白いシャツ、すっきりしたやさしそうな表情。ウィルソンはとてもステキでした。クライマックスはドタバタした感じで、必ずしもすべてがきれいに明らかになったとは思えないけど・・もうちょっとわかりやすく描写した方が親切だと思うけど・・でもいいんです。ベントリーとウィルソン見ることができたのだから満足です。