インタースペース

インタースペース

え~と、時々こういう・・何も予備知識ない、知ってる人誰も出てない、したがって何の期待もできない、してはいけない映画を見てみようかな~なんていう気になるわけです。他に見なきゃいけないものいっぱいあるだろ~って理性が呼びかけるんだけど、やらなきゃならないことをやらないで、やらなくてもいいことをやりたくなるという、そっちの方・・本能にしたがっちゃうわけです。で、見事に自爆。IMDbの評価は・・2.9ですか(2018年5月末現在)、やっぱりねえ、ウヒヒ。この映画の特徴はずばり睡眠です。見た人の多くが眠くなると書いているけど、どう見たって作り手は見る者を眠らそうとしてるとしか思えない。流れる音楽はヒーリング系で、CD欲しいです。海の中、打ち寄せる波、青い空、あるいは緑の木々に鳥のさえずり、わき水。AIメリルとの禅問答、宇宙の星々、ふわふわ漂うクラゲ。しかも・・83分と短めなのに、これらの描写がどれも長い。さあ、SF映画を見るぞ・・と身構えていると、1952年のイングランド。田舎の駅、SL、乗り込む老人。あら?「インタースペース」だよね?SFだよね?宇宙だよね?この老人プライス博士は、友人ウィルトンから研究資料を託される。ウィルトンてあの駅長みたいな人?で、びよーんと300年後に飛ぶ。火星の衛星フォボスから地球へ戻るオセロット号。積んでいるのは鉱物か。船長がハリーで、隣りにいる若いのがハリー。あら?両方ともハリー?区別するためか字幕では若い方をチャーリーとしていたような。まあここでは若い方を苗字のフィンチと書こう。他にエンジニアのルパートがいる。ポーラという女性クルーもいたが死んだらしい。もちろんメリルに殺されたのだ。フィンチとルパートは仲が悪い。と言っても憎み合ってるわけじゃないだろう。ハリーは額がはげ上がり、やせていて修道僧のよう。冷静だが無感動な感じ。眠る時は冬眠用の装置を使う。限度を超えて使用すると体によくないのに、それでも使う。なくした妻の夢を見たいからだ。この妻ってポーラのことか。要するに現実逃避だ。さてAIの反乱というと「2001年宇宙の旅」だ。哲学的なSF映画を作りたいと思う人は、あの映画を超えたいと願うはずだ。ハリーはどう見たってボーマン。別に「2001年」を超えなくたっていいと思うが、作り手はその思いにとらわれる。で、見ている者を置き去りにする。

インタースペース2

難解で説明不足だが、そうでなくちゃいけないのだと思ってるようだ。途中で船の調子が悪くなる。無線が使えない。地球と交信できないってことか。地球には何かが近づいている。呼びかけても応答しない。てっきりオセロット号だと思う。ずいぶん早く戻ってきたなあ・・。でも、後でわかるが違うのだ。オセロット号ではコアに入ったルパートが死ぬ。メリルに殺される。でも何がどうなっているのかよくわからない。反乱を起こしたAIはクルーを殺すことになっているのだ。途中でハリーがフィンチにこの船は以前スパイ船だったと言う。あと、盗聴キットとか。で、これらを利用してメリルに対抗するのかと思ったら、何もしない。一瞬でも期待した私がバカでした。私が思うにポーラはこの東京キッド・・じゃない、盗聴キットを使ってメリルを探ってたのでは?気のきいた映画ならそれらしきシーン入れるのでは?さてメリルは小惑星ソムヌスに着陸するよう要求。ソムヌスってこの映画の原題だな。ローマ神話の眠りの神。で、なぜか地球と同じ環境なので、見ていてびっくらこく。暗くて岩ばかりのはずなのに、光の差す緑の森。うっそ~ん、どうなってるんだ?大きなドームがあり、その中はってことなのか。説明が全くないので、ここでまた別の映画見ているような気に。おまけにどう見ても頭のおかしくなったエミリーという女が出てくる。そばには作り物感ありありの変な動物。こ、これだけは出てきて欲しくなかった!!船に残っているよう言われたフィンチはなぜかハリーを追ってくるが、何かに襲われ・・あら~彼死んじゃったのかしら。ところが気がつくと縛られていて、目の前には老人が。しかもこのジイサン、せっせと泥パックしてるぞ。この星は最初は鉱物目当てに、次に流刑地にされ、今では忘れ去られているらしい。このジイサンは冒頭出てきたプライスの子孫か。ウィルトンの研究には人類に起きるすべてのことが予言されていて、全部当たっていたとか。予言の最後の方は娘のメリルによって書かれ、それが20世紀末のこと。そのメリルが今はAIに。と言うか後で出てきたのを見ると脳が液に浸けられていて。「鉄腕アトム」の「ゾロモンの宝石」に出てくるシーラみたいだ。もちろんフィンチには何のことやらさっぱりわからない。途中で我々は科学映画ライブラリーみたいなのを見せられる。エイリアン・・神々によって人類は文明を持ったが、資源を略奪するやら兵器の開発やらろくなことをしない。他の惑星の脅威なので滅亡させるとか。

インタースペース3

オセロット号にはすごい兵器が積み込まれているらしく、メリルはそれを手に入れたい。ここらへんがまたよくわからない。人類はすでに滅ぼされているらしい。あの接近してきた宇宙船のせいで。ソムヌスへ行ったのは、そこに生き残っている入植者達を地球へ連れ帰り、再び地球に人類をということらしいが、エミリーを見ればわかるがまともじゃない。それに火星とか他の星にも移住した人類はいるだろうし、航行中の船のクルーだっているはずだ。地球にいる人類が滅亡したのはいいとして、すごい兵器の存在とメリルの関係がわからない。すごい兵器を持っていれば、今回人類を滅亡させたような相手にも対抗できるってことなのかな。そのうちフィンチは死亡、一人オセロット号に戻ったハリーはある決心をする。メリルを殺し、その兵器を使って・・ソムヌスを爆破したのかな?いよいよという時、彼はまた冬眠装置へ。奥さんの夢を見ながら・・。で、映画は終わるけど取り残された私達はいったいどうすりゃいいと?人類が攻撃されるところも滅亡するところも出てこないので、ハラハラもドキドキもしない。なぜウィルトンが未来を見通せたのか、それがそもそもわからん。死に取りつかれているようなハリーは死ぬけど、フィンチは生き残るってふうにすればよかったのでは?ジイサンが言ったようにフィンチの登場が予言にはなかったことなら、彼によってそれまでは当たっていた予言がはずれ、人類の運命が変わり始めるとなってもおかしくない。ハリーの行動もたぶん予言通りではなかったと思うけど、メリルも兵器も自分も惑星もみんなこの世からなくして、後には何も残らない。でもボクはポーラと一緒になれるんだからいいんだも~んという・・どこか「ソラリス」的な終わり方。主人公にしてはハリーには魅力がないので、若くて生きる意欲のあるフィンチにどうしても目が行くことになる。ハリー役はマーカス・マクマーン、フィンチ役はカラム・オースティン。不満だらけの作品ではあるが、イギリス製のせいか、よくあるアメリカ製のクズSF映画よりはマシな気がした。あっちは安っぽいCG、安っぽい俳優による学芸会的演技だからね。音楽はいいし、映像もまあまあ。