インベイダー

インベイダー

どの批評読んでもけなしまくっている。見る価値のない・・絶対見てはいけないゴミ映画。もちろん私も普通なら見ません。でも、スティーブン・ビリントンが出ているから仕方ないんです。ビリントンって誰だ?って思うかもしれないけど、「ドラキュリア 鮮血の狩人」のドラキュリアですよ。何しろ彼、一般の映画だとちゃんとうつらないんです。「永遠のマリア・カラス」とか「バイオハザード」とか。うつったとして一瞬。あるいはぼやけた背景の一部。焦点も合わせてもらえない。「ドラキュリア 鮮血の狩人」も見せ場驚くほど少なかったし、次はと期待した「ドラキュリア 鮮血の十字架」では、ルトガー・ハウアーになっちゃってたし。他には何に出ているのかしら・・。「エクソシズム」・・見てない。「アナコンダvs.殺人クロコダイル」・・見てない。どれも某有名作品のパクリってすぐわかる。「インベイダー」だって「インデペンデンス・デイ」のパクリ。でもいいのだ。こういう映画だからこそ彼は背景ではなく前に立てる。しかも・・人類が助かるかどうかの責任を一人で負わされているという大役。名前だってグレッグ・エヴィガン、デニース・クロスビーに続いての三番目だいッ!これはテレビムービーらしい。うんと少ない予算で、うんとスケールの大きい映画作ろうとして、見事に大失敗している。それでもこういうアホ映画をこよなく愛するありがたいアホ・・もとい、コアなファンはいつの時代も存在する。何か一つすぐれたところがあれば、他のは見逃してくれる寛大なファンが。チンケなCGもオーケーだ。学芸会みたいな演技にも目をつぶろう。セリフもひどいな。すき間を埋めるためだけのようなセリフ。安っぽくて浅くて心がこもっていなくて。始まったらもう侵略されていて、戦っているのは精鋭部隊・・じゃないわ、オジサンオバサン。動きは鈍いし口数は多い・・と思ったらこれはシュミレーション。バーカス(ビリントン)が出てきて五人をクビに・・。いや、引退勧告なんだけど、見ている者はここで作り手全員をクビにしたくなる。始まった早々でこれかよ。これからどこまで落ちていくんだろう。で、どこまで落ちるか見届けてやれという妙な気分になってくる。利口な人はこの時点で見るのやめるけど、ええいここまで来たら一蓮托生だ!というアホもいるんですのよオホホ。

インベイダー2

さて引退して恩給もつけてもらってよかったじゃないのとなって、早くも七年たつ。元々は宇宙人が攻めてきた時のために・・と組織されたのだが、その気配がないので計画中止、解散。でもやつらは海底深く潜んでいたのでありました。それが母船目指して飛び立つ。超巨大な母船は地球の近くまで来ていて、そこからまた巨大なのがいくつか出てきて世界のあちこちを攻撃する。結局あの潜んでいたのは何だったのかな?上空に浮かぶ巨大な船を、人々はみんな突っ立って口を開けて手をかざして見ているわけだけど、あんなのありえない。ほとんどの人はスマホかざすはず。一人もかざしてなかったような・・。さて、話を広げすぎると困ることが出てくる。例えば各国の軍隊の動きとか(お金がないので)描かれない。大統領も国防長官も(お金がないので)出てこない。偉い連中はどこかへ避難し、国民は置いてけぼりのようだ。貧乏くじ引かされたバーカスが一人でヤキモキする。攻撃命令や退却命令を自分一人の判断で出していたが、彼の役職って何?ロズウェル空軍基地だから、空軍関係?道路は避難する車で大渋滞が起きるはずだが(お金がないので)描かれない。暴動、略奪、パニックも(お金がないので)描かれない。宇宙人のカッコしたバカどもがノーテンキにフラフラ踊っていて、警備している兵士が頭を振ってため息をつくところはなかなかよかった。たぶんああいうバカはどんな非常時にもいる。まあとにかくお金がないのだから一般の宇宙人侵略映画とは別の方向目指せばいいのに、どうしてもそっちやりたい。と言うか、初老のオジサンオバサンが人類を救うという、画期的なことやってると思ってるのかな。でもクライマックスは敵の宇宙船利用して母船の奥深く侵入して、爆弾仕かけてやれという・・「インデペンデンス・デイ」そのまんま。あまりの臆面のなさにこちとら感動すら覚えてしまう。さて、クライマックスまで行ったらもう感想も終わりだから少し戻ってと・・。コロラドで農場やってるらしいパトリック(エヴィガン)。なぜか家の真上に宇宙船が現われ、家が破壊され、中にいた妻は・・。頑丈なシェルターくらい作っておかなかったのかしら。宇宙人の存在も侵略も確信していたはずなのに。ちょっと捜してもうあきらめて葬式もせんと(たぶん)車で出発。早すぎる!

インベイダー3

最初に訪れたのはジョージ(ジョン・H・フランシス)のところ。恩給つぎ込んで廃品回収業やってるが、うまくいってなさそう。と言うか彼自身が廃品状態。彼は宇宙人に拉致され、頭に何か埋め込まれたと主張している。そこまでならたいていの人もあるいは・・となるけど、肛門も調べられたと言い出すと、とたんにみんな信じなくなる。人間の心理って不思議なもので、脳はいいけど肛門はだめなのだ。次はジェームズ(クラレンス・スミス)。彼は武器もちゃんと用意。デヴィッド(ダニエル・ヒュー・ケリー)は体調がよくないと言いつつ参加。残りはリンダ(クロスビー)だ。彼女はパトリックに気があったようだが、一緒にはなれなかったと。ここで男女のモヤモヤをどうして出してくるのかいな。第一妻を失ったってのにパトリックは全然引きずってないし、リンダにも何も言わない。リンダとの愛が再燃・・なんて誰が見たいかよ。ロシアでは核攻撃を試みたが全く効果なし。かえって周辺に核の被害が・・。ここらへんもお約束。核攻撃はロシアは失敗例に、アメリカは成功例にって決まってますから。呼んでもいないのにノコノコ現われた五人を見て、バーカスは渋い顔。何か情報があるのなら応じないでもないが・・となるので、あたしゃてっきりパトリックがあの青い何かを見せるのだと・・。だって今のところ手がかりあれだけ。わざわざ宇宙船が彼の家の真上に現われたのはそのせいなんだし。でも・・黙ってるんです。それでいて五人はいつの間にか復職したみたいになってるし、何が何やら。バーカスによると1947年に起きたとされている例の宇宙船墜落事故は、実は墜落ではなく軍による撃墜だったと。そこから今回の母船の登場、地球への攻撃は復讐のためであるということになる。と言うか根拠もほとんどないのにそういうことにされてしまう。今は2013年だが、300光年離れたりゅう座から来ているので66年かかってもおかしくないと。で、ここでもパトリックはあの青い物体のことは言わないのだ。彼があれをすんなり返していれば宇宙人は帰ったかもしれないのに。いったいあれは何なのだろう。どこにあったのだろう。どうしてパトリックが持っているのだろう。宇宙人はヘルメットやら何やらをつけているので、なかみが人間でもオーケー。メイクの必要ないからお金の節約になる。

インベイダー4

で、前にも書いたように「インデペンデンス・デイ」になります。敵の戦闘機みたいなものと戦うため、最新型の戦闘機に乗ることになるけど、七年間のブランクがあっても「よし、操縦できる」と、オーケー。基地に保管されていた例の撃墜された宇宙船使って母船へ向かう時も、動かし方知らなくてもオーケー。テレパシーで操縦できるからオーケー。操縦桿も計器も不要らしい。ジョージの頭に埋められた何かによって、宇宙船は飛ぶのだ。尻に埋められた何かでなくてよかったね!爆弾を設置して、遠隔操作で爆発させるつもりが、電波が届かない!手動でやるしかない!出ました!最後の瞬間に手動でないと動かない爆弾。「サンシャイン2057」とかさ、もうお約束。で、デヴィッドが自分が残ると言い出すわけ。実は前立腺ガンで、余命数ヶ月。どうせ死ぬならヒーローになりたい。彼はパトリックが会いにいった時、何となく元気がなかったけど、そのせいだったのだ。で、見事母船を爆破、世界中の都市の上に浮かんでいた巨大宇宙船はコントロールを失って墜落。またまた甚大な被害が出たはずだけど、人々はバンザイバンザイと大喜びしましたとさ。基地ではジェームズが何だかんだで宇宙人に変身して、リンダがやむなく撃ち殺すけど、そんなのすぐ忘れてこれからはパトリックと・・。人類滅亡のピンチを救った三人だが、さっさと基地を後にする。こういう映画だと勲章もらったり表彰されたりのシーンがつきものだけど・・アメリカ人ってそういうの好きじゃん・・いっさいなし。ここはあっさりしていてよかった。と言うか、お金がなかったんだと思うが。エンドロールはいやに早かったな。早送りしているみたいで。WOWOWでやったのを見たのだが、むしろ「午後のロードショー」に最適の作品。短いからカットする必要ないし、内容のバカさかげんもちょうどいい。途中で何回トイレに立っても大丈夫。見逃すには惜しいというシーン、ゼロ。全部見逃してもオーケーよ!エヴィガンは若い頃は甘い甘い美形だったのよ。私は見たことないけど「テレビジョンエイジ」とかに「トラック野郎!B・J」が紹介されていた。今は老けたけど大柄で渋くていい味出してる。一方クロスビーの方は年を取るにつれて魔女みたいな顔つきに。彼らに比べりゃビリントンはまだ若い。どんなアホ映画でも彼を見られただけであたしゃ満足です。