アザーズ

アザーズ

日曜日にWOWOWで見た。特殊撮影に頼らないゴシックホラーということで、前から見たかったのだが、見た後の感想は「あらら、それでいいの?」って感じ。どんなにいいアイデアも「シックス・センス」の後では不利だ。それとヒロインのグレースの言動がとげとげしすぎて親近感がわかない。ニコール・キッドマンの「いかにも」な演技も浮いて見える。まあ確かに美人だし、一生懸命演じているのはわかるんだけれど、見ていて目が行くのはニコールの演技ではなくてミルズ夫人の方だ。土曜日の「王様のブランチ」で「ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密」の紹介をしていたけれど、それにも出ていて、あっこの人見覚えがあるぞ・・と思ったのだが思い出せない。で次の日「アザーズ」にも出ているのを見て、ああ「ウェイクアップ!ネッド」に出ていた人だ・・とやっと思い出したわけ。こういうタイプの人って母を思い出させる。顔立ちが似ているとか、(役の)性格が似ているとかじゃなくて「何となく」の部分でね。亡くなってからだいぶたつけど、母のことを思い出しながら見ていた。この映画ではニコールの美しさばかりが注目されているけれど、この映画に心にしみる部分があったとすれば、それはミルズ夫人を演じたフィオヌラ・フラナガンのおかげだと思う。少なくとも私の場合はね。ヒロインのグレースに関してはあまり心にしみる部分がない。さて古くて大きな家があって、何か得体の知れないものが取りついていて、そこの住人が悩まされる・・という設定は今までにもたくさんあった。・・でこれもその一つなんだ・・と思っていたら最後に引っくり返る。取りついていたのは実は・・というアイデアは実にうまい。見ている者の思い込みを逆手に取っている。でもそれを観客にすんなり受け入れさせることができるかどうかが問題なのよね。「シックス・センス」の場合はすんなり受け入れることができて、驚きと共に感動もわき上がってきたのだけれど。それにしても自分が死んでいることに気がついていないとか、死者が死者を見分けられないとか、「シックス・センス」と共通の部分も多いな。それと死んだ後もああやって誰か(その人も死人なんだけど)に仕えるというのはどうなのかしらね。仕事を言いつけられ、小言をくらって・・。死んだ後くらいゆっくりしようとは思わないのかね。全体的にあまり怖くないのはテレビで見たせいかな。

アザーズ2

映画館で見ると怖いのかな。ただ怖さの程度がぐっと急カーブを描くところはあって、死者の写真集なるものが出てくる。グレースは気味悪がって焼いてしまうのだが、ある時残っていた一枚の写真を見たら、ミルズ夫人を始めとする三人の使用人の死体の写真だった・・というところはさすがに怖い。そうじゃないかな・・と前々から思っていたにしても・・である。グレースの二人の子供が三人のお墓を見つける。その子供達に近づいてくるのが三人のユーレイ。「中に入れて」というお決まりのセリフも怖い。このあたりが一番怖くてその後のどんでん返しもばっちりなんだけど、でも感想としては「何じゃ、それ」になっちゃうのよねー。ところで戸を閉めてしまうとユーレイって家の中に入れないものなの?あの時点では二階の窓も開いてたはずだし、入ろうと思えば入れるのでは?最初に三人が来た時も、募集広告を見てやってきたのだ・・と勘違いしたグレースが「どうぞ」って導き入れたから入れたのであって、自分達だけでは入れなかったのだろうな。話をしたから(相手をしたから)どう・・とか、許可を与えたからどう・・とかいう設定は妙な感じもするが、ホラー映画ではよくあることだ。言葉には霊が宿っているのだ。ケータイであたりをはばからずにしゃべっているあなた・・。言葉を大事にしないとつけ込まれまっせ、悪い霊に・・。グレースが幸せそうに復員した夫のチャールズを伴って家に帰ってきた時、ミルズ夫人がヘンな顔をしていて、こりゃてっきり家を乗っ取るという悪だくみがやりにくくなるぞ・・と警戒しているのだとばかり思っていたらあの結末。あれはきっと死人が死人を連れてきたからヘンな顔していたのね。しかも死人の前に・・。うわーん、何だかヘンな文章!でも出てくる人が皆死人なんだもん、仕方ないか。それにしても一歩間違うとコメディーだよね、こりゃ。最後にビクター君も出てきて、実は彼の方が人間だったとわかるところもいいね。怖がらせてやれとか、気持ち悪くさせてやれといったあざとい部分がないので、批評を見ると見た人のほとんどが「シックス・センス」の二番煎じだと言いつつもけなしてはいない。その点は私も同感だけど、私は最後までグレースには感情移入できなかったな。ミルズ夫人の方に目が行くというのも、トシのせいだろうな。ところであの三人、グレースの前に現われる前はどこにいたのかな・・お墓の中?