俺たちフィギュアスケーター

俺たちフィギュアスケーター

アメリカでは大ヒットしたけど日本ではやってるとこ少なくて・・。レディス・デーのチネチッタ、公開からだいぶたってからここでもやり始めたのでやっと見ることができた。半分くらいは埋まっていたと思う。こういう楽しくておバカでわかりやすい映画は、もっといろんなとこでかかって欲しい。お客だってこういうの求めていると思う。パンフが売り切れで(補充しとけよ!)感想を書くための資料がない。出演者の名前とか経歴よくわからんぞ。さて、フィギュアスケートってお金かかるんでしょ?きれいなコスチューム、スポットライト浴びて華麗に舞い、夢のような世界見せてくれるけど、裏では足の引っ張り合いとかあるんでしょ?まあフィギュアに限らないだろうけど。私自身はテレビでフィギュアやっててもほとんど見ない。ダンナは見たがるけど。それでも映画に出てきたボイタノ、ケリガン、コーエンくらいはわかる。特にコーエンはいつもここぞという時にミスをするので気の毒で・・。主演二人のうちチャズ役はウィル・フェレル。こういう役が彼の持ち味なんだろう。毒があって顔つきも体つきもゆるんでいていやらしくて暑苦しくて、とてもスケート選手には見えない。年齢的にもね。アメリカなら爆笑続きなんだろうけど日本での反応は鈍いな。私が注目したのはジミー役ジョン・ヘダー。知らない人だが、かわいらしくカールした金髪、王子様のようなヘアスタイル、色が白くて目がきれいで、小柄でほっそりしていて本当に女性的。アメリカの俳優でこういうタイプは珍しいのでは?顔立ちはかわいらしくてもたいていどこかしら男性的なのが普通。ヒゲが濃かったり意外と筋肉モリモリだったり。でもへダーは全然そういうところがない。しかも天使のようなのは見かけだけじゃないの。彼は孤児だったけど富豪の養子になり才能を開花させて一流選手になる。謙遜したりまわりに感謝したりするのも彼の場合うわべだけの社交辞令じゃなくて本心。最初のシーンに流れるサラ・ブライトマンの美しく澄んだ歌声のように、彼の性格は純粋なのだ。そんな彼もチャズだけはがまんできない。何しろチャズは彼とは正反対。彼とのトラブルでスケート界から追放されてしまうや否や、ジミーは養父に縁を切られてしまう。

俺たちフィギュアスケーター2

どんなギャグやスケートシーンよりも、このシーンは私に強い印象を残したな。何と言う冷酷さ、何と言う計算高さ!・・ぐさっと来た。養父役の人は「ウルトラヴァイオレット」「リベリオン」などのウィリアム・フィクトナー。普通そうやってゴミみたいに捨てられたら怒り狂うとか泣き叫ぶとかぐれるとかするけど、ジミーはそうならない。呆然とするけど、それを受け入れる。そこが何とも気の毒だし応援したくなっちゃう。いつもポカーンと口を開けていて、普段の私ならこんなだらしのない顔つきの俳優なんか無視するところだけど、へダーの場合は口を開けていても気にならない。フェレルより彼に注目してしまう。3年後、いろいろあって二人は男子ペアとしてスケートに復帰することになる。こういう設定(男どうし)だとあれこれいやらしいギャグかますところだけど、それほどでもなかったな。フェレルだととことん落ちそうだけど、へダーが絡むと不思議とすがすがしくなる。これ以上落ちるのは許さない・・みたいな。期待したほど笑えなかったのはそのせいだと思うけど、別に失望はしなかった。汚いものよりきれいなものを見た方がいいもの。とは言えチャズは酒びたりで、滑りながら着ぐるみの中にゲロ吐いたり、セックス依存症だったり(ルーク・ウィルソンがカウンセラーみたいな役でちょこっと出てくる)、ホント汚らしいの。それが後半だんだんいいやつになってくる。相変わらず顔も体もゆるんでいるんだけど、どこか頼もしくたくましく見えてくる。誰かのおかげでと言うより、元々彼の中にそういう善の部分があって、埋もれていたのがだんだん外に出てきた・・みたいな。その変化が見ていて好もしい。ジミーの方はライバルペアの妹と仲良くなるんだけど、デートでかき氷食べたりフーセン持ってきたりと子供っぽいの。二人して夢中になって話していることもたわいがない。欲望煩悩ぎらぎらのチャズとは正反対で、ういういしくかわいい。まあばかばかしいドタバタコメディーだけど、ちゃんと友情とか善意描いていて、意外とまともでしたよ。エンドロールの時、ジミーのストーカーが出てくるけど全く笑えなかった。フェレルとへダーのスケートの特訓でも見せた方がよっぽどよかったのに。