オフサイド7

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うーむ、何じゃこりゃ。豪華キャストによる戦争娯楽大作を期待していたのに・・。冒頭から・・何だか長い。必要とも思えんシーンが続く。観光映画か?1944年、ギリシャの島のどれか。何だかよくわからんシーンが続くが、要するに収容所から脱走したけどつかまったってことだ。脱走物か?見せしめに何の関係もない島の老人が吊るされる。誰か助けるのか・・そのまんま。後でやはり娼婦が見せしめに殺される。やりきれないムードが漂う。シリアス物か?捕虜収容所と言ってもここはギリシャ。掘れば何か出てくる。今もネプチューンの神殿とかを捕虜を使って発掘中。普通に働いているぶんには命の危険はない。ブレイク教授(デヴィッド・ニーヴン)は考古学者。イタリア人のロテッリ(ソニー・ボノ)は料理がうまい。ジャドソン(リチャード・ラウンドツリー)は手先が器用。この三人が脱走常習者。司令官へヒト(ロジャー・ムーア)は元美術商だか骨董商。今も出物があるとスイスの妹のところへ送る。要するに立場を利用してくすね、密輸し・・。国への忠誠心はあるけど、戦争より商売の方が大事。ある日二人のアメリカ人がやってくる。よくわからないが、慰問に来るぶんにはアメリカ人でもかまわないと?チャーリー(エリオット・グールド)はユダヤ人だから危ないが。彼は漫談をやるが、それ以外にもレーサーであり、山登りもでき・・。レーサーの部分は、後で狭い路地でのバイクの追いかけっこで技術が発揮される。山登りの方は宝捜しで?コンビを組んでるドティ(ステファニー・パワーズ)とは、夫婦に見えるが違った。へヒトは彼女に一目ぼれし、特別扱い。夜になると口説きにくる。ただ、節度はあり、権力を利用して無理になんてヤボはしない。一方町ではレジスタンスのゼノ(テリー・サヴァラス)が通信を傍受。エレーナ(クラウディア・カルディナーレ)が経営する娼館が、レジスタンスの本部みたいになってる。サヴァラスならもっと豪快で騒々しくて、命知らずなキャラのはずだが、どうも今回はいけない。男は黙っての路線で行きたいのか。ハゲ頭とでっかい鼻でセクシーさを強調(しすぎ)。ゼノのことはよくわからない。修道僧なのかとも思えるが、はっきりしない。カルディナーレの方は老けぶりが目立つ。目のまわりのシワ、きつい化粧。

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1950年代から60年代にかけて、イタリアを代表する美人グラマー女優として日本でも大人気だったカルディナーレ。でも、この頃の女優さんって、輝くばかりに美しくても30過ぎるととたんにくすんでくる。ヘアスタイルや濃い化粧でしのごうとしても効果は薄い。年齢と共に演技力が増して、内面から輝き始める人も中にはいるけど、たいていはくすんでしなびて・・あるいは太ってぶよぶよ。どちらの場合もシワだらけ・・と。75歳になったカルディナーレは太ったおばあさん。見てびっくりの変身ぶり。まあいいんですけどさ、元気が一番。カルディナーレより数歳若いが、シワではパワーズも負けてはいない。でもこの作品での彼女はすばらしい。ストリップショーで、水中シーンで、美しい脚線を見せてくれる。収容所を制圧すると、次の目標は、潜水艦の給油基地の爆破。ドティが泳いでいって爆弾を仕かけるのだ。パワーズと言えば「0022アンクルの女」。私も子供の頃見ていて好きだった番組。パワーズ扮するエイプリルではなく、ノエル・ハリソン扮するマーク・スレードのファンだったんだけどね。えッ、ハリソン数日前に死んじゃったの!?あら~・・。それとスレードじゃなくてスレートですか。ウン十年間違って覚えてました。パワーズはリメイク版「駅馬車」などに出ているが、あんまりぱっとせず、せっせと自分磨き。六か国語を話し、闘牛士の資格もあるとか何とか当時の雑誌には書かれていた。「アンクルの女」もぱっとせず、1シーズンで打ち切り。ロバート・ワグナーと組んだテレビシリーズ「探偵ハート&ハート」でやっと成功。「2001年宇宙の旅」のゲイリー・ロックウッドと結婚したが、数年で別れ、後にウィリアム・ホールデンと交際。ホールデンと言えばこの作品にカメオ出演している。チャーリーが収容所の入口で「またいたの?」と声をかける。「第十七捕虜収容所」のパロディだ。事前の解説聞いてなかったら気がつかなかったかも。二年後の81年にホールデンは事故死。アルコール依存症だったと言うし、何だかなあ・・。話を戻してドティは大活躍する。娼館の中で怒ってばかりのエレーナとは違い、魅力爆発だ。登場した時から、ドイツ兵達は彼女の尻に目が釘付け。チャーリーは無理やり乗っ取り計画に協力させられる。二人がショーをやって・・ん?慰問に来たのなら捕虜達に見せるはずだが、ドイツ側に見せているぞ?ま、とにかくストリップに夢中になってるスキに収容所を乗っ取る。

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その一方でロテッリが料理に細工してドイツ兵達に下痢を起こさせるとか・・ありきたりなトイレギャグも。ショーもありきたりだが、見せ方が上手。チャーリーのあおり方もうまい。浮かれに浮かれる軍曹がまたいい味出してる。リリー・マルレーン風を期待していたへヒトは困惑するが、そこがまたいい。ムーアはまり役。へヒトと対照的なのが親衛隊のフォルクマン少佐。冷酷で残忍で、すぐ見せしめだ・・と殺す。だからへヒトとはウマが合わない。収容所、給油基地の次は山の上にある修道院だ。財宝があると聞いて大乗り気のチャーリー。他の連中もそう。数日後には連合軍が進行してくるが、それまではやることないし・・って、ドイツ軍捕虜の監視があるだろッ!一方ゼノには別の目的がある。修道院はドイツ軍に占拠され、僧達は閉じ込められている。だから救出しなければ。それと、あそこに隠されている秘密兵器・・ミサイルだかロケットだかを破壊したい。この兵器が姿を現わすのが一つの見せ場。見ている誰もが、こいつが打ち上げられ、連合軍かどこかの町がピンチに陥るのだ・・と思う。それをゼノ達が阻止するのだ・・と。瀕死の将校が何かの装置を操作するので、てっきり発射ボタンだと思う。ゼノは壊そうとするが、銃で撃っても壊れない防弾仕様になっていて、止めることができない。うん、だから・・発射されちゃうんでしょ?それを間一髪撃ち落とすんでしょ?あら?自爆装置?ええ~。修道院全体が吹っ飛ぶよう自爆装置を・・。あのミサイルだかロケットだかは、何もせず・・出てきただけで終わっちゃった。何じゃこりゃ~!!尻すぼみ。財宝は見つからずチャーリーはがっくり。実は僧達は事前に安全な場所・・娼館に移していましたとさ。いちおう120分くらいあるんだけど、はっきり言って長すぎる。いらないシーンが多すぎる。もたもただらだら、それでいて説明不足。遺跡と財宝、レジスタンスに脱走、どっちつかずでふらふらしている。シリアスとコメディーがうまくかみ合っていない。コメディーにしては暗いし、シリアスにしてはふざけすぎ。監督は「コブラ」などのジョルジ・P・コスマトス。音楽はラロ・シフリン。ニーヴンもサヴァラスもホールデンもシェールの元ダンナのボノも故人。ラウンドツリーは最近では「メンタリスト」に出ていたな。キャストにポール・ピセルニの名前もあるが、どこに出ていたんだろう。