東宝特撮映画

空の大怪獣 ラドン(1956)

これは前に見たことがあるかどうかわからない。ラドンそのものは動きがぎこちなく、作り物感ありありだし、エサとなるメガヌロンも同様。舞台は九州、阿蘇山の近く。雄大な風景と、ひしめくように並んだ長屋。炭鉱で原因不明の水漏れが起きる。炭鉱夫が殺され、行方のわからない五郎が殺したのでは・・となる。直前にケンカしていたし。調べに入った三人も死ぬが、致命傷となった切り傷は鋭く、医者にも凶器が何なのかわからない。五郎の妹キヨは針のムシロだ。兄が帰ってきた時のためにか、夕食が用意してあるのが泣かせる。キヨの恋人で技師の沢村が来て慰めていると、突然ヤゴのような怪物が。大勢で追うが、また犠牲者が出る。そのうち自衛隊が到着し、今度は武器を持って坑道に。中で機関銃を撃てば落盤が起きるに決まってるのに・・。沢村は一人生き埋めになる。古生物学者の柏木は写真から怪物は古代トンボのメガヌロンの幼虫と断定。地震が起きるが、震源は阿蘇と炭鉱の中間点。柏木達がそのあたりへ行ってみると、フラフラ歩く沢村が。しかし記憶喪失になっていて、キヨのことも思い出せない。五郎の死体もすでに見つかっているけど、キヨちゃん葬式の準備は?兄ちゃんのことより沢村の世話で忙しい。そのうち超音速で飛行する正体不明の物体が福岡あたりに出現。追跡した戦闘機がやられる。北京やフィリピンでも目撃されたのか。ここらへん字幕がないので、アナウンサーが何を言ってるか不明。と言うか日本の場面でも何言ってるかわからないこと多し。「〇〇〇!」「✕✕✕?」「〇✕△!!」・・なんなんだよ~。もちろん日本のアナウンサーのはちゃんと聞き取れましたよ。こんな異常事態でも、どこの世界にも気にしないノータリンはいて。ホテルの人が心配して止めるのに、阿蘇へドライブに出かけるバカップル。案の定カメラでうつしてる時に・・。男女がいなくなったので警察が心中か?なんて言ってると、フィルムが現像されてきて、何か翼のようなものがうつってる。こりゃプテラノドンでは・・となる。沢村は文鳥の卵を見て記憶が蘇る。落盤の後、気がつくと巨大な洞窟の中に。例のヤゴがウロチョロしていて、奥には巨大な卵があって。あってと言うよりそびえてるって感じなのがいい。それが割れて中から鳥の化け物が。ヤゴを次々に食べ始める。

空の大怪獣 ラドン2

で、話を聞いた一行はまた炭鉱へ。坑道とかの閉鎖的な空間から一転謎の飛行物体追跡となって、大空での解放感をいだかせておいて、また地下へ。すぐにでも怪獣に出てきてもらって空を飛んで欲しいのに、まあ待てと引き留められている感じ。もう映画の半分以上来てるし、いささかじれったい。洞窟には卵の殻のカケラだけ残っていて、ヤゴ達はいない。完食?でもってここでやっとラドン大暴れシーンに突入。いつの間にかラドンと言っていて、いつの間に命名されたのか。プテラノドンから来ているのか。綴りはRODANで、ラドン温泉のラドン・・RADONとは違うのね。ここで破壊されるのは福岡や佐世保か。ラドンの動きがぎこちなくてもノープロブレム。壊れ方が、見せ方が上手なので、気にならない。主役がへたでも斬られ役が上手と言うか・・って何のこっちゃ。とにかく橋が・・西海橋がびよ~んとなって壊れる。橋の破壊って見栄えがするなあ。別の橋では観光客が走り、観光バスが次々に発車する。繁華街の破壊シーンでは瓦がバラバラとはがれる。瓦が飛ぶのも見栄えがするなあ。とにかく破壊、ハカイ、はかい、HAKAI!今までじらされた分ここで一気にパーッと。ただ壊すんじゃなく、カルピスの広告とか森永のキャラメルとか新天地の看板とか。観客に見せて読ませての部分がある。そこがまた楽しい。自衛隊の攻撃も執拗で、何だか笑える。二匹目のラドンの登場は唐突だ。二匹目が出てきたらもっと驚愕すると思うが。頭抱えると思うが。何かさらりと通りすぎていません?で、ドゴラの時もそうだったけど、ここらへんが私にはクライマックスで。阿蘇の噴火と絡ませての総攻撃の描写は単調で長い。そのうち大噴火が起きる。ラストは爽快感ではなく悲しみが漂う。二匹が焼けるのを見ても沢村達はバンザイ、やっつけたぞ・・とはならない。無言で見つめるだけ。たぶん映画が終わって館から出てきた客達は、「ラドン、何だかかわいそうだったね」なんて言い合っていたのではないか。そんな想像してしまった。沢村は佐原健二氏、キヨが白川由美さん、柏木が平田昭彦氏、新聞記者井関が田島義文氏。他に村上冬樹氏が出ている。

地球防衛軍(1957)

冒頭は盆踊り。天体物理学者白石(平田昭彦氏)は広子(河内桃子さん)との婚約を取り消す。何やら思いつめてる様子。山火事が起き、白石の制止も聞かず消そうと山に入った村人達は命を落とす。その後山崩れが起き、白石は死んだと思われた。それ以外にも川で魚が大量死したり異常な出来事が続く。そのうち怪物が出てくるが、目から光線を発するなどロボットっぽい。このモゲラはさんざん暴れるが、わりとあっさりやられる。白石は”ミステロイドの研究”という報告書を残していた。火星と木星の間にミステロイドという星があって、10万年も前に消滅したが、生き残ったミステロイド星人は富士の地下に要塞を作り、半径3キロの土地と地球人の女性との結婚を要求。争いはやめて平和に行こうやというのは表向きで、もちろん真の目的は地球侵略。白石はバカ正直に彼らの平和を求めているという言葉を信じ、協力している。ミステロイド星人の指定した女性には広子も含まれているが、それを知っても何とも思わないのかね。彼らのいるドームは外からの攻撃にもびくともせず、防衛軍側の損害は増えるばかり。主に光線が飛びかうので、見ている者は鏡で反射させればいいじゃん・・と思う。で、それらしきものが出てくるが、見せ方は今いち。電子砲とかマーカライト攻撃とか、何をやってるのかよくわからん。ミステロイド星人はヘルメットをかぶってサングラスしてマントつけてるだけ。渥美(佐原健二氏)がやすやす侵入したことでもわかるが、警戒心ゼロ。こっぴどくやられるが、全滅したわけではなく、再び宇宙へ。モゲラがもう一体出てきて暴れるのかなと思ったらやられちゃった。たぶん普段は基地拡大のための穴掘りやってるのだろう。白石の妹江津子(白川由美さん)、安達(志村喬氏)、アメリカ側のインメルマンにリチャードソン・・みんな「宇宙大戦争」と同じ役名。兵器などは本物とミニチュアの組み合わせだが、自衛隊が大々的に協力しているなという印象。アメリカ空軍もちょこっと。テーマは地球人はミステロイド星人と同じ轍を踏むなということ。

宇宙大戦争(1959)

設定は1965年。もう日本も月へ人間を送れるくらい科学は進歩している。進歩しすぎじゃないか?宇宙ステーションが破壊され、走行中の列車が墜落するなどの事件が続発。空飛ぶ円盤の仕業だ。緊急会議に出席したアーメッド教授はナタール星人に操られており・・。世界各国が協力し合わないと防衛は無理・・ってんでいろんな国の人が出てくる。外国人の場合出演者をかき集めてきたという感じがどうしてもする。名の知られた人を出してくるわけじゃないから。日本側はそれなりに揃えているけど。ナタール星人に対抗する武器は熱射砲。宇宙艇スピップ1号、2号が月にある敵の基地を目指すが、クルーの一人岩村はナタール星人に操られていて。他のクルーが月面基地攻撃に行ってる間にスピップの片方を爆破。途中で我に返って、我が身を犠牲にし、クルーが月から脱出するのを助ける。よくある流れで、感動させといて終わるのかなと思ったらまだ続く。地球が・・東京が破壊されなきゃお客は満足しない(たぶん作り手も)。宇宙での戦いだけじゃだめなのだ。怪獣も出てこないし。それにしても人間を操れるのなら月へ行く前に宇宙艇爆破できるのでは?・・なんて言っちゃおしまいか。主人公勝宮が池部良氏、恋人江津子が安西郷子さん、岩村が土屋嘉男氏、安達博士が千田是也氏。全体的にはモタモタした感じで盛り上がらない。宇宙ステーションやロケットの内部が広々しすぎ。もっとスペース節約で狭苦しいはず。まあ私はこういうガランとした感じは好きだけどね。ロケットは途中で切り離しをせず月まで行けちゃう。ナタール星人はわちゃわちゃ集まってるところは幼稚園児みたい。顔を見せないのは正解だけど、姿を見せなければもっとよかった(←?)。月面基地は「キャプテン・スカーレット」のミステロンの基地を思い出した。小型の円盤は円盤と言うより魚みたいだった。月の様子や探検車は「サンダーバード」や「謎の円盤UFO」を思い出す。その落差にはため息が出るけど。宇宙船もそう。でもあっちよりこっちの方が数年製作が早いんだけどね。池部氏は二枚目でりりしいし、安西さんは目が大きくて美人。シルビア役の人もかわいい。

妖星ゴラス(1962)

園田(田崎潤氏)を隊長とする土星探検号隼は、途中で赤く燃える星ゴラスが地球に近づいていると知り、目標を変更しゴラスの調査に。ゴラスは地球の6000倍もの質量を持ち、隼号は重力にとらえられて脱出できなくなり吸い込まれてしまう。このままでは地球に衝突してしまうが、ゴラスの軌道を変えるのは不可能。となれば地球の方を動かすしかない。南極にジェットパイプを設置する大工事が始まる。とてつもなく巨額な費用がかかるので、各国は協力し合うが、機械が故障でもしたらアウトだ。発見された時点で地球接近まで750日、太陽系に入ったら45日と説明されるが、あの~発見されたの冥王星付近じゃなかったっけ?それに隼は土星に向かっていたんだからゴラスがいるのはもう太陽系内なんじゃないの?ジェットパイプのシーンは、火力の強い中華料理用のコンロにしか見えない。たくさんあるからああ繁盛してる店なんだなと(←?)。あんなに燃やしたらさぞ二酸化炭素が増えるだろう。月は吸い込まれちゃったけどいいのかな?ゴラスをやり過ごした後は、今度は元の軌道に戻すため北極で・・なんて言ってたけどこれから工事して間に合うの?途中でセイウチ風の怪獣マグマが出てきたのにはびっくりした。何でいきなり怪獣映画になるの?おまけに工事が遅れるからとあっさり殺されちゃった。出演者はやたら豪華で、池部良氏、上原謙氏、志村喬氏、平田昭彦氏、久保明氏、西村晃氏、小沢栄一郎氏、佐原健二氏など。私はこの頃の特撮映画はほとんど見てないけど、テレビシリーズはわりと見ていたので、「ウルトラQ」の西條康彦氏や「ウルトラマン」の二瓶正也(この映画では正典)氏が出ていたのはうれしかった。女性陣は白川由美さんと水野久美さんの美女コンビ。他に天本英世氏がちょこっと出ていたな。宇宙ばかりじゃアレだからと最後の方で高潮と言うか津波のシーンが出てくる。何か壊さないと特撮映画にならないからね。東京を始めみんな水びたしになるけど、な~にまた作り直せばいいやって感じ。最後の方は駆け足で、金井(久保氏)の記憶喪失もあっさり治る。ゴラスに最接近した男として、何か起死回生の妙案でもひねり出すかと期待したのに何もありませんでしたとさ。

海底軍艦(1963)

土木工事技師が続けて二人誘拐される。そのうちの一人が乗せられた車が海に落ちるのを偶然目撃したのが広告写真家の進(高島忠夫氏)と善人(藤田悠氏)。引き上げられた車は空っぽ。蒸気人間を目撃したと二人が言っても警視庁の伊藤(小泉博氏)は信じない。進がモデルにと目をつけた真琴(藤山陽子さん)は海運会社専務楠見(上原謙氏)の秘書。終戦時、潜水艦で部下と共に姿をくらました神宮寺大佐(田崎潤氏)の娘。そのうちムウ帝国からフィルムが届く。1万2000年前太平洋に沈んだ帝国だが、生き残った人々は豊富な資源を利用し、高度な文明を発達させた。今、かつての植民地・・全世界・・を取り戻し、支配下に置こうとしている。ただ神宮寺達が作った性能のいい軍艦があるはずで、その製造は即刻中止しろと。フィルムは各国に送られたが、あまりにもばかばかしいので黙殺される。そのためあちこちの都市は攻撃され壊滅する。こうなったら神宮寺達だけが頼りだ。あれこれあって捜し出された彼は日本国のために作ったのだからと要請を拒否。もう戦争が終わって20年たってるし、日本は戦争放棄したのだと当時の上官楠見が説得してもだめ。しかしそれだと話が進まないので・・。全体的にモタモタしていてかったるい。海底軍艦轟天号は海だけでなく空も飛ぶ。ジェットモグラみたいに地中も掘り進む。たぶん宇宙にも行けるのだろう!!いやそれは冗談だけど海の中は暗いので何が何だかはっきりしない。竜の形したマンダが出てくるが、これまた暗くてよくわからん。マンダと言うより”ナンダ?”って感じ。帝国は例によって古代エジプト風。皇帝はクレオパトラ風。大勢集って盆踊り・・じゃない、ダンスをする。それも長々と。海底都市のはずだが雷鳴が轟いたりする。あまりにもアホらしくて見ているのが苦痛。ムウ帝国の工作員が平田昭彦氏、佐原健二氏、長老が天本英世氏。皇帝役は小林哲子さんだが、目つきが鋭く、なかなかよかったと思う。上原氏もよかった。最初出てきた時はてっきり悪役だと思ったけど。小泉氏はうつる度にアラン・ラッドみたいだなあ・・と。何か雰囲気が似てる。後ろにいても二枚目オーラ出してる。

宇宙大怪獣ドゴラ(1964)

これは大昔にテレビで一度見たきりだと思う。ネットで調べると、造形や特撮には苦労したようで。それは画面を見ていてもわかる。怪獣なんか出ていないじゃないかという批判も多く、低い評価の人が多いようだ。確かに今見るとドゴラの部分と、ダイヤをめぐる人間達の部分がうまくかみ合っていないし、ドゴラの登場シーンも意外と少ない。形もはっきりしない。でも私はこの映画は・・ドゴラの部分は・・よくできていると思う。何がいいかと言うと、はっきりしていないことである。大まかなことは説明される。宇宙細胞が放射能によって変化したもので、エネルギー源として炭素を吸収する。映画を見ていてもよくわからなかったが、小さなものが結合すると、あのクラゲのようなイカのような巨大なものになるらしい。テレビ衛星をいくつも飲み込むのはなぜなんだろう。炭素が含まれてる?宇宙でそんなことが起きてる頃、夜の東京では宝石店で金庫破り。でも途中で逃げ出すはめに。酔っ払いやギャングが宙に浮かぶのは何なのだ?あのまま吸い上げられるってのならわかるが。とにかく国際ダイヤ強盗団のボスは新聞を見て頭にくる。何件も宝石強盗が起きてるけど、自分達がやったのは一件だけ。こりゃ他の強盗団がいるに違いない。あとで警視庁外事課の課長が出てくるとびっくらこく。強盗団のボスじゃん!ってね。こりゃ表の顔は課長で、裏ではギャングやってるんだわ・・って。あるいは課長役田崎潤氏が二役やってるんだわ・・って。でも違いました。強盗団のボスは河津清三郎氏でした。でも・・そっくりなんだわ~。強盗団の方は多田が田島義文氏、変な日本語しゃべるジョー真木が天本英世氏、一味でありながら裏切ることばっかり考えてる浜子が若林映子さん。主人公は夏木陽介氏扮する警視庁外事課刑事の駒井だが、変な外人マークが出てきて、場面をさらってしまう。演じているダン・ユマは、演技はへたなんだけど、他の日本人俳優の演技も多くはアレなので、どっこいどっこいという感じ。皮肉なことに、一番よくセリフが聞き取れるのはユマなのだ。多くの日本人は何しゃべってるのかわからん!!

宇宙大怪獣ドゴラ2

人間ドラマの部分はどことなくジェームズ・ボンド映画風。つかまったり逃げたりのくり返し。敵か味方かわからない謎の人物、美女の裏切り、いくら撃っても弾がなくならない銃。ダイヤの原石はいつすり替えられたのかわからないが、ラストで元からニセモノだったことが明かされる。てことはニセモノをめぐって警視庁も強盗団も踊らされていたわけ?本来ならニセモノとも知らず強盗団が群がってきた時点で、ダイヤGメン、マークの仕事は・・相手の顔ぶれわかったのだから・・終わりなんじゃないの?彼らを引きずり回したって・・九州へ渡ったって・・何の意味もないと思うけど?後半は舞台が北九州に移って、追跡劇とドゴラ退治が交互に描かれるけど、前に書いたようにかみ合ってなくて。ドゴラはどこら?って感じ。退治方考えつく宗方博士が中村伸郎氏、秘書の昌代が藤山陽子さん、昌代の兄桐野が小泉博氏。小泉氏は出番が少なく残念。藤山さんは美人だ。防衛隊の岩佐が藤田進氏。知ってる人はこれくらいか。で、ドゴラだけど、あの心臓の鼓動みたいな音・・あれがいいんですわ。音聞いただけでドキドキしちゃう。ふわふわしたゆっくりな動きもいい。途中で石炭を吸い込む時、わりとはっきりうつるけど、あれは長々とやっちゃだめだと思う。作り物感が出てしまうから。風でまくれ上がったスカートの中見てるみたいで興ざめ。だから短くて正解。得体が知れないからこそ怖さがつのる。ダイヤと石炭、ミツバチ・・実はジバチの大群と言った流れも先が読めなくていい。ドゴラが北九州の炭鉱地帯を襲い、若戸大橋を破壊するあたりが、私にとってのクライマックスか。その後の蜂毒の大量生産と散布のあたりは、間に強盗団追跡が入るのでモタモタした感じ。ブルーインパルスの航空ショーも入るし・・って違うがな!!ラスト、アメリカへ行く宗方を見てあれ?と思いませんでした?普通なら秘書の昌代連れていくでしょ。でなかったら桐野とか。でも一人で行くんだよな。駒井と昌代が仲良くなれるようにという配慮かね。マークも帰国するのか、一緒の飛行機。それにしても・・北九州の人はうつされる景色を見て懐かしさに涙がちょちょぎれるんでしょうなあ。できたばかりの若戸大橋、行き来する船、まだ稼働していた炭鉱・・。寝台特急さくら、気絶した駒井に当てられる水枕・・それにカラテチョップ・・これじゃ怪物映画じゃなくて懐物映画ですな。

緯度0大作戦(1969)

調査中の潜水球が海底火山爆発のため、ケーブルが切れて沈んでしまう。乗っていたのは田代(宝田明氏)、マッソン(岡田真澄氏)、記者のペリー(リチャード・ジャッケル)の三人。彼らを助けたのは火山の調査で近くにいた潜水艦アルファー号。艦長はマッケンジー(ジョゼフ・コットン)。マッソンが重傷負ったため、艦は緯度0にある海底基地へ。人太陽があり、一見地上と変わらない。亡命したり行方不明になった有名科学者達がそれぞれの研究をここで続けていて、平等で争いのない楽園。田代はわりとすんなりマッケンジーの説明を受け入れるが、ペリーは記者なのでそうはいかない。どうしても競争とか金儲けとか現実的な考えを捨てきれない。マッケンジーはオープンに何でも見せ、説明してくれる。アルファー号はどこの国のものでもなく、進水は1805年。マッケンジーは204歳。彼にはマリク(シーザー・ロメロ)というライバルがいて、何かと攻撃してくる。研究の成果を盗みたい。今回も部下の黒い蛾が指揮する黒鮫号が帰還途中のアルファー号を襲ってきた。マリクの情婦ルクレシアが黒い蛾に嫉妬したりする一幕も。おりしもノーベル賞を受けたことのある細菌学者岡田が、娘の鶴子(中山麻理さん)を連れて船でサンフランシスコへ。どうやら彼は研究の悪用を恐れ、そのまま緯度0へ姿隠すつもりだったようで。ところがマリクは二人を誘拐。マッケンジー達は父娘救出のためマリク一味の島、ブラッドロックへ。・・コットンがこんな映画に出ていたとは知らなかった。何となく居心地が悪そうに見えるのは気のせいか。武器とか次々に目新しいものが出てくるが、その度に説明がつく。そのせいでスピード感は鈍る。と言うか、海底が舞台だとどうしてもモタモタ感は出る。マリクによって黒い蛾の脳を移植されたポケモン・・じゃない、グリホンとやらが出てくるが、笑っちゃうほど布感ありあり。コウモリ人間や巨大ネズミもひどいし・・まあ仕方ないけど。ラスト、一人だけ俗世へ戻ったペリーが体験するのは・・いったいどういうことなんだろうと想像するのも楽しい。ドクター・バートン役リンダ・ヘインズの健康的なお色気もいやみがなくていい。