アローン・イン・ザ・ダーク

アローン・イン・ザ・ダーク

普通「ブラッドレイン」見たらこりて「アローン」の方はパスするところだが、この二作、チラシもパンフも一緒なのよ。同じ監督だからでしょうけど、安直と言うか効率的と言うか・・そりゃ片方見ればもう片方も・・って思うわな。パンフも買ったことだしと思う私のようなアホは必ずいる。ま、それもあるけど主演がクリスチャン・スレイターとスティーブン・ドーフってことが一番の決めて。この二人なら見てみたい。多少のことは大目に見てあげましょうよ。二回見て二回ともお客は20人足らず。女性がちらほらいたのはやっぱ主演の二人のせいでしょう。どの批評もものすごくけなしていて、確かにひどい出来なんだけど、何でここまで?ってちょっと不思議。今回は二回見たし、見ながらあれこれ考える余裕もあった。「ブラッド」はものすごくうるさくて考えるどころじゃなかった。見ているのが苦痛だった。出かけてからはたと気がついたわけよ。同じ監督ってことはまた大音量の可能性大。どうしよう・・ってね。でも心構えがあったせいか耐えられた。音量はエンドロールは別だけど「ブラッド」ほどじゃなかった。このウゲウゲ・ボルシチ・・じゃない、ウーヴェ・ボルという監督、長所ももちろんあるんだけど、自分の欠点増幅させているようなところがある。自分のやっていることに自信を持ちすぎている。引っ張りすぎる。こういう内容だと登場人物が銃や懐中電灯持ってそこらへん動き回るシーンが必ずあるわけ。見ている方は彼らがいつどうやって襲われるかハラハラドキドキするわけ。襲われることはわかってるからそのことにはびっくりしないけど、襲われるタイミングにびっくりするわけでしょ。・・で、その期待感って大して長続きしないのよ。あまり早すぎてもだめだけど遅すぎてもだめ。この監督は引っ張りすぎ。博物館の展示延々うつすから見ていてあきてくる。襲われようがどうなろうがどうでもよくなっちゃう。間があきすぎるのよ。自分では緊張感持続するよう工夫をこらしているつもりなんだろうけど、お客はそこまで辛抱強くはない。何かずれてる。ラストも長々と無人の町うつす。ろくな説明ないから見ていてもわけわからん。「バイオハザード」のラストみたいな状況なのかな・・って思うけど、何か起きたという痕跡がうすすぎるから恐怖感も何もわいてこない。車が一台道路の真ん中にあるだけ。

アローン・イン・ザ・ダーク2

でもそういうのを自信満々でやっているのよ。どうだこの的確な表現は!って感じでね。素人くさいやり方。それとこの監督女優の使い方へた。「ブラッド」もそうだった・・と言うか、そもそもクリスタナ・ローケン自身演技力不足だったんだけど、こちらのヒロイン、アリーンがまたまるでだめ。タラ・リードは「ルール」しか見たことないけど、ブロンドで小作りでムッチムチで、ついでに頭の中も無ッ知無恥。お色気満点しめった甘い声の持ち主。あんなに若くて博物館の副館長なんてムリですってば。有能な人類学者、考古学者、それもムリでーす。見えません。ウエートレスか店員か、ま、そんなとこ。インテリって柄じゃない。髪まとめてメガネかけたくらいじゃだめ。役に合っていないから演技もへたに見えちゃう。もしタラちゃんがやるとしたら館でアルバイトしているカワイコちゃん。アシスタントのそのまたアシスタント、そんなとこ。メガネ取ると何も見えないド近眼の、ドジなカワイコちゃん。そういう設定にしてギャグシーン入れれば彼女の持ち味が生きる。スレイター演じるカーンビーとのお約束のラブシーン入れるよりよっぽど気がきいてる。そう、いちおうあるんですよ。音楽が突然それらしいのにチェーンジ!はいちゅーもーく、寝ている人起きてください始まりますよー。素人じゃあるまいし、何だこのわざとらしい切り替わり方は・・。カーンビーは疲れ果てて自宅にたどり着く。「やっと一息つける」と寝込むわけ。しかしタラちゃんは・・いや、アリーンは休ませてなんかあげないんです。自分の都合(と言うか欲望ですな)しか考えない。かわいそうなカーンビー。私だったらゆっくり寝かせといてあげるけどなあ・・。なくてもいいムダなシーンでサービスのつもりなんでしょうが、それでいてタラちゃんは脱いでくれませんから、ますますこの映画に対する男性客の評価は下がるわけですな。さてこの映画「バイオハザード」の原点なんだそうな。まあ「バイオ」に限らずいろんな映画の寄せ集めですよ。目新しいものは何もない。冒頭カーンビーのナレーションが入る。一回目はただ字幕を読んでいるだけ。読んでも意味わかんないし、次の瞬間には内容忘れちゃってる。でも二回目、ストーリーわかった上で読むと・・ほぼストーリー全部ここで明かしているのよ。

アローン・イン・ザ・ダーク3

アメリカの先住民アビカニ族ってところでまずオヨヨ。屑、ゴミの他に失笑の連続というのがこの映画の批評にあるが、ここでまず失笑。途中、人体に寄生する共生器官が出てくるけど、まあおなじみですなこういうの。どっちかと言うとムカデに見えるけど、赤くネチャネチャしたのがついているからどう見たって「エビの殻つきチリソース」。・・ってことでここはエビカニ族にして日本のお客さん笑かして欲しかった。だって冒頭の字幕見てお客さん全員「えッエビカニ族?ああアビカニ族・・」って思ったはずだから。彼らの遺物を集めるとカギになり、封印された扉が開き、中から古代悪魔が現われるわけ。前にも一度アビカニ族が開けちゃって、そのせいで滅んだらしい。どういう時でも悪い方に味方する人間はいて、全部は封印できなくて、そいつらはいつか開封されて仲間が出てくるのを待っていると・・ま、そういうストーリーらしい。今回悪役は博物館の館長。「A.R.C.A.M.<アーカム>713部隊」の元局員。このアーカムとは「対悪魔殲滅特殊部隊」という、何じゃそりゃ対空ミサイルじゃあるまいしと思うようなわけわからん組織で、カーンビーもそこの出身。見切りをつけてやめて、今はバーク(スティーブン・ドーフ)が隊長。22年前、館長は人類の未来のためとかうまいこと言ってシスターを言いくるめ、孤児20人に共生器官を植えつける。ところが孤児の一人だったカーンビーは(なぜか)脱走し、(なぜか)感電したため器官が発達せずそのまま。22年後他の19人はゾンビみたいになってカーンビー達を襲う。きっかけは館長がある棺を海底から引き上げたため。棺が金でできていたため、中にはもっとすごいお宝があるに違いないと欲を出した船員達が、館長の制止を振り切って開けてしまう。出てきた古代悪魔は船員達を皆殺しにして逃走しちゃった。まあそれはわかる。でもその後この古代悪魔は(なぜか)館長にとらえられ、(なぜか)血液を取られ、(なぜか)館長はそれを自分に注射するのだ。と言って別に変身もせず、後で簡単に殺されちゃうのよ。筋の通ったストーリーはだから期待しちゃだめなのよ。見る人はそういうことには目をつぶり、別のこと、例えばハデな銃撃戦とかに目を向ける寛大さ、柔軟さが要求されるわけ。だから私も、どうだっていいよ、いちおう最後まで見てあげるから・・って思いながら見ていたわよ。

アローン・イン・ザ・ダーク4

何でタラ・リードは脱がないのだ・・なんて文句言ったりしませんよまあ女の私がそんなこと言うわけありませんが。古代悪魔の造形は「リディック」の監獄惑星に出てくる獰猛な獣にそっくり。ただしなかみはとんでもなくオバカで、何が何だかよくわからないのよ。人間を殺すために出てくる。人間に殺されるために出てくる。それだけで、あとは何もなし。何をしたいのか、館長はこいつらを使って何を企んでいるのかぜーんぶ不明。テレビゲームが元になっているらしいけど、そっちの設定どうなっているのか知らないし、知りたいとも思わない。とにかく基盤になるものがなくても、勢いだけで映画って作れちゃうんだなーって、そういう感じ。とは言えいくつか見どころはある。カーンビーが謎の男に襲われるシーンは非常によくできていた。男は実は713の元局員で、共生器官に支配されているから超人的なパワーがある。頭ツルツルで、何でも頭から突っ込んでくるから、プロレスラーみたいだなあと思いながら見ているわけ。ところが心臓のあたり撃たれても足を撃たれても平気で向かってくるから、アッこの男尋常な状態じゃないんだ、何かにあやつられているんだ・・ってわかるわけ。そこがよかった。スレイターもよく戦っていて、この肉弾戦は見ごたえがあった。ちょっと「パニッシャー」のロシアの殺し屋との死闘思い出した。顔をそむけているところではスタントマンに代わっていると思うけど、そうは言ってもよくやっていましたよ。銃弾が発射され、氷を貫通し、その向こうにいる男に当たるというありがちな作りのシーンにも私はワクワクしましたよ。どうもこういうスローモーション見ていると、撃たれてもよけられるんじゃないかと錯覚しそう。実際はよけられるわけないんだけどね。ドーフは若々しくきびきびしていてとってもよかった。「ブレイド」はよくなかったけど、今回はよかった。正義感が強く責任感が強い。最初辞職したカーンビーに冷たくあたるので、ありゃ憎まれ役かよ・・と心配したけど、途中から協力するようになったのでホッとした。でも・・ラスト、死んじゃいます。ああバーク隊長あんなもののためにあたら若い命を落とさんでも・・(えーん)。ホントはね、もしかしたら助かったのかも・・っていちるの望み持って見ていたんですけど・・最後までだめでしたな。前にも書いたけどラストは「バイオ」風。

アローン・イン・ザ・ダーク5

無人の町を行くカーンビーとアリーンを長々とうつす。何か起こるにしてももうどうだっていいやというくらい引っ張る。やっと後ろから何か迫ってきて、二人が振り返ったところでエンド。雰囲気としては生き残った古代悪魔に襲われる・・って感じだけどはっきりしない。闇の世界に生きる古代悪魔が朝明るくなってるところに現われるかな?って気もするけど、船の上で棺から出てきた時には明るくても平気だったみたいだし。まあここは二人に何か迫って観客ドキッとさせといて、振り返ったらススだらけのバークが・・ってことにして欲しかったな。それで生きていたのかいがったいがったとハッピーエンドになって、怒涛のエンドロールに突入と・・。まだ戦いは終わってないけどそれは「2」で・・ってことにして。いやもちろん「2」なんか作られるわけないんだけどさ。「ブラッド」にしろ「アローン」にしろアメリカではコケていて、何でああいうのが映画作れるのかって不思議がってる。でも私はこういうクズみたいな映画でも存在する意義はあると思っている。いろんな映画があっていい。ほとんどの館が大作・話題作で占められていたとしても、どこかの館ではこういうくだらないのやってるってのがいい。内容がしょぼくても一生懸命やってまーす・・みたいな愛敬のある作品が好きだ。他によかったのはドハデな銃撃シーン。「DOOM」とか「スズメバチ」みたいなやつ。でも713全滅しちゃう。軍隊に頼まないで自分達だけでやろうとしたのが間違いだったのよ。彼らだけじゃ負けるに決まってる。いよいよ扉が開いて古代悪魔が閉じ込められている空間が出てくるわけだが、インパクトないから拍子抜け。巣みたいなのがあって古代悪魔がうじゃうじゃいても、遠くだから怖さも気持ち悪さも伝わってこない。でも私は「ザ・キープ」の、あの空間思い浮かべてニヤついてましたけどさ。あっちのような冷気はなくて、こっちは何となく生暖かい感じ。悪魔達はずっと閉じ込められていて何を食べ、何をし、何を考えて気の遠くなるような時間を過ごしていたのかね。エンドロールはものすごい大音量で、どなりまくりわめきまくりのヘビメタ(って言うの?)。メチャクチャなの見た後だから頭ははい何でもどーぞ状態。ワーワーギャーギャーハンニャーハーラーミタードカドカドンドンで、すっきりさっぱりして帰ってきましたとさ。