アリゲーター
DVDを買ったのは、「2」にスティーヴ・レイルズバックが出ているからだ。「1」はどうでもよかったんだけど、「1」と「2」がセットになっているから仕方なく。もちろん見た後ではこっちの方が出来はずっといいってわかったけど。コメンタリーがついているので二回見ることになる。で、今回感想書くためまた二回見て・・。1968年、フロリダ土産にアリゲーターの赤ちゃんを買ったマリサ。ラモンと名付け、かわいがっていたけど彼女がいない間に父親がトイレに流してしまう。マリサには死んだと言えばいい。12年後・・ラモンちゃんは下水道で巨大化しておりました。スレイド製薬のヘルムズは、動物を使ってホルモンの実験をやっていて、用ずみになった犬の死骸をペットショップの店主に捨てさせる。この店主はそこらで犬を見つけると、つかまえては売り、小遣い稼ぎ。刑事のマディソン(ロバート・フォースター)は飼っていた犬がいなくなり、子犬を買うが、実は店主が盗んだらしい。その頃下水処理場に腕や足が浮かぶ。どうも噛み切られたらしい。下水道を調べるなんて誰もやりたくないから、みんな何のかのと理由あげて断るが、若手のケリーが同行してくれる。ここらへんのマディソンの置かれている位置の描き方がうまい。過去、相棒をなくしたせいで、いまだに悪夢に悩まされている。まわりの反応は同情してるんだか、からかっているんだか。どちらにせよ近づきたくないのは確かで。ペットショップのおやじを始め、あちこちで薄毛をネタにされる。本人は気にしてないのに。下水道にワニが・・なんて言っても誰にも信じてもらえない。ロッカーを開けると、誰かが入れたワニのオモチャがブラリ・・。セリフも、さりげないようでいて細かいところまで考えられていて。フォースターがまたいい。中年なりかけで、ちょっとくたびれた感じが何とも言えずいい。コメンタリーによると、彼は当時病み上がりだったらしい(関係ないけどコメンタリーでのフォースターの発言・・なかなか含蓄があって、いい感じだ)。子犬を飼ってる独身男ってのもいい。女性の母性本能をくすぐる。これが猫なら、あ、一人でも大丈夫ね・・ってなる。
アリゲーター2
フォースターと同じくらいこの作品の成功に寄与しているのが、爬虫類学者ケンダル役ロビン・ライカー。実はこのケンダル・・あのマリサなのだ。彼女はかわいがっていたラモンちゃんが、巨大な人喰いワニに成長しているなんて夢にも思わない。父親のウソを信じ込んでいる。ライカーは美女だ。とびきりの美女とか、絶世の美女とか、美女にもいろいろあるけれど、彼女の場合はろうたけた美女という表現が思い浮かぶ。美しい髪、白くなめらかな肌、透き通った瞳、古風な美しさを感じさせる鼻や唇。彼女のまわりだけ時間の流れが違う。ゆったり、まったり、おっとり。例え全速力で走っていても、叫んでいても優雅。ところでこの映画、騒ぎを報道するレポーターやキャスターも美女揃いだ。そのうちの一人は「ロリータ」で知られるスー・リオンらしい。店主に続き、コラムニストのケンプも犠牲に。ケリーの死が大ワニによるものと主張しても誰も信じなかったが、ケンプのカメラにワニがうつっていたため、まわりもようやく信じ始める。大がかりな下水道の捜索が行なわれるが空振り。ところがその直後、道路を突き破ってラモンちゃん登場。途中狩りの名人ブロック大佐が出てくるが、わりとあっけなくやられてしまう。演じているのはヘンリー・シルヴァ。昔テレビでよく見かけた人・・「ひとりぼっちのギャング」とか。この後あれこれあるけど、小さな子供が食べられちゃうとか、掟破りの描写もいくつか。その一方で店主、ケンプ、ヘルムズ、さらにはそもそもこんな事態を引き起こした張本人スレイド(ディーン・ジャガー)、腰巾着市長、憎たらしいのが次々にやられ、見る者の溜飲を下げてくれる。クライマックス・・爆発が迫っているのにマンホールのフタが開かず、マディソンがピンチに陥るところなど、大丈夫とわかっていてもハラハラする。とにかく人間にしろワニにしろ見せ方がうまいのだ。それとワニは怖くはあるけど、ちっとも憎たらしくない。「2」もそうだが、悪いのは人間。ワニはちっともワニくない・・じゃない、悪くない。吠えるとうるさいからと実験用の犬の声帯取っちゃうとか・・ひどすぎるぅ!
アリゲーター2
これは見るの二回目。レイルズバック目当てで買ったからすぐ見たのよ。主人公のホッジス(ジョセフ・ボローニャ)が目を覚まして、何か変だぞと銃を持って階下へ行くシーンが何とも間が抜けていて、ここでもうああだめだ・・と思ったのよ。こういうのって例えば若い女性・・新妻とかがキッチンで何かしていると、後ろから誰かが近寄って・・というのと同じ。へたなやり方。ホッジスは刑事で、仕事が忙しく、妻子とはすれ違いの毎日。妻クリスは欲求不満気味だ。一方町では製薬会社の社長なのか不動産業なのかよくわからんが、ブラウン(レイルズバック)という男が土地を大々的に売り出そうとしている。地上げに絡んで黒いうわさもあるが、表向きは合法的にやってるから署長も手が出せない。市長もブラウンの言いなり。ブラウンは汚染物質を不法投棄している。また、製薬会社では成長促進剤の実験に使った動物の死骸も不法投棄していて、たぶんそれらのせいで巨大ワニが出現したのだろう。いわゆるミュータント化だ。ホームレスや魚を取っていた兄弟が犠牲になるが、ホッジスが下水道にワニがいると主張しても、誰も信じない。「1」に比べ「2」はどの批評読んでもボロクソにけなしている。確かに出来は落ちるが、見るの二回目のせいか、酷評ばかり読まされたせいか、そこまでひどくはないんじゃないの?という気も。ボローニャが主人公にしては地味すぎるのがまず失敗かな?駐車違反ばっかしてて、細かいことは気にしなくて、背が高くてぬーぼーとしていて、穏やかなようでいて頑固でというキャラ設定は悪くないんだけど。大学の研究室にいるクリス役はディー・ウォーレス。「デスクロウ」に出ていた人だな。この映画もわりと美人揃えている。ウォーレスはちょっとくたびれかけているけど、市長の娘シェリー役ホリー・ギャグニァー、父と叔父がいなくなったと届け出る女性、両方とも美人だ。ハーモン巡査ウディ・ブラウンは、若い頃のフレデリック・レーンによく似ている。すごいハンサムというわけではないが、隣りにいるのがボローニャソーセージなので、目の保養になる。シェリーとの恋もういういしい。「1」みたいな若手が犠牲になるという悲劇もないので、そこらへんは安心して見ていられる。
アリゲーター2 2
署長のスピードやってるのはブロック・ピーターズ。鼻の穴のおっぴろがった強烈な顔立ちで、「アラバマ物語」に出ていたらしい。ワニハンターのホーク役はリチャード・リンチ。この人も個性的な顔立ちで、ホラー映画でよく知られているらしい。このように「2」は意外といいキャスト揃えているのだ。でも何と言ってもレイルズバックだ!彼がホッジスをやっていたらもうちょっと何とかなっていたかもしれない。でも敵役として彼が出ていなかったら、「2」はもっとだめな映画になっていたとも思えるのだ。汚染物質の投棄を見ている時の冷たくすわった目!体は小さいけど、妖気を発しているし、悪役はこうでなくちゃ!彼は市長や署長に圧力をかけ、自分の帝国を築くのだと、手段を選ばない。邪魔だと判断すると、二人とも殺してしまう非情な男。それはいいのだが、そばにいる部下がどうしようもないアホで。ワニハンターを捜せと命じられてもどうしていいかわからず、果てしなく質問するのが笑える。「1」ではハンターは一人で、わりとあっさりやられちゃったけど、今回は五人。しかもリーダーのホークは見かけはイカレた感じだけど、なかみはまともで。巨大ワニに遭遇して逃げるにも他の四人を先に行かせるし、そこはよかったと思う。土地の”買い取り祭”を巨大ワニが襲うところがこの映画のハイライトだと思うが、迫力は今いち。「1」のように昼間の方がよかったのでは?夜景はきれいだったけどね。ここでブラウンがやられる。もうちょっと粘って欲しかったが・・。その後ホッジス、ハーモン、ホークの三人がボートで湖に出るが、これじゃあ襲ってくれと言ってるようなもので、お間抜けすぎる。案の定引っくり返され、ホークが犠牲に。最後バズーカで吹っ飛ばすのも意外と盛り上がらない。多くの人は、あれ?これで終わり?と拍子抜けしたはずだ。私も、実は二匹目がいたとか、もうひとふんばりあるかと思ってたけど・・あっさり終わり。お金がなかったのかな。全体的にワニの見せ方が「1」に比べお粗末で単調。人間達の部分はそんなにひどくもなかったと思う。ところどころ笑わせるセリフあるし。