エアポートシリーズ

エアポート1999

WOWOWで、ヒマつぶしに見た。例によってパイロットが意識を失い、子供が飛行機を着陸させるという内容。あきもせず作られている(見る方も見る方だが)が、結末がわかっていても(墜落して子供が死ぬことはありえない)それなりに盛り上がるので、この手の映画はこれからも作られ続けるんだろう。今回のヒロインは13歳の少女ニコル。コンピューター会社社長の一人娘だが、そろそろ反抗期で両親も世話係二人も手を焼く。ニコル役のエリシャ・カスバートは「24」で知られているらしいが、私は知らん。若さで光り輝いているのは「2004」と同じ。彼女の乗った自家用飛行機が落雷に会い、パイロットも世話係も失神してしまう。子供向け映画だから死人は出ず、大人は役に立たず、彼女が孤軍奮闘する。反抗期もどこかへふっ飛び、すぐいい子になる。例によって彼女をはげまし、誘導する人物が現われるが、今回は熟練パイロットではなく、管制係官ジェフ。いろんな救出作戦が試みられるがすべて失敗する。何たってヒロインが着陸させることに「決まっている」から、その前に助かることはありえない。映画が終わってしまう。救出作戦はどことなく「サンダーバード」風(1話とか7話)。見ていて不思議だったのは無線が途切れた後、代わりの交信手段となるケータイの存在に誰も気がつかないこと。ずーっと後になってやっと利用される。ニコルも世話係二人も、もしかしたらパイロット二人もケータイ持ってるはず。つまり複数存在するはずなのに使われるのは一つだけ。しかもいよいよ着陸という時にタイミングよく電池切れ。両親が管制塔でウロウロするのもあちら風。日本だったらどんなに子供が心配でも、「皆さんにおまかせします。私達は邪魔にならないよう別のところで待ってます」・・となる。こっちはそうならず、うるさく口を出す。クライマックスでは二人して不自然に並び「神様・・」となる。寄り添う二人がひんぱんに大うつしになるので、そのぶん操縦室で奮闘するニコルがうつされず、緊迫感がうすれてしまう。両親がでしゃばりすぎるのは私の趣味じゃないです。大人しく引っ込んでろ!いよいよ・・という時に急に怖くなってニコルが泣き出すところはリアルでよかった。「2004」と違って一人きりだし、シュミレーションやったこともないのだから怖くなって当然。

エアポート1999 2

父親役のジョー・マンテーニャは「ハードロック・ハイジャック」に、正パイロット役のドン・ジョーダンは「氷の接吻」に出ていた。副パイロットはなかなかのハンサムだが、ろくに見せ場なし。世話係のうちフランク役の人は「シティ・オブ・エンジェル」のデニス・フランツかと思ったら違った。冒頭見せ場があるが(反抗期のニコルを諭す)、悲しいかなこの俳優さん、なーんも伝わってくるものがないのよ。例え脇役でも俳優である以上発散するもの(人の注意を引きつけるもの)が必要なんだなあ・・と痛感した。さて・・この映画、お決まりの連続で新鮮味ゼロ。ちゃっちいCGの連続で画面は安っぽい。最初はいつ見るのをやめてもいいや・・なんてバカにしながら見ていたの。それが最後まで見るはめになったのは・・ジェフ役チャールズ・パウエルのおかげ。彼からは伝わってくるものがあった。しかもたくさん。調べてみると「氷の接吻」に出ていたらしい。でも見た覚えなし。どうやら出演シーンがカットされたらしい。ウーム残念。どんな役だったんだろう!彼の特徴は声。はっきりとしたしゃべり方、若々しく誠実そうな声。ヒロインを導く役だからセリフが多い。彼のセリフで事態が説明され、解決に向かって進んでいく。彼の役目は「エアポート’75」のチャールトン・ヘストンと同じ。しかしニコルは「ブラピの方がいい」などとかってなことをぬかす。無事帰還して両親と抱き合う。後ろで立ってるジェフは「ブラピじゃないけど・・」とぽつり。20ほど年が離れているけど、この二人結婚するでしょう(たぶん)。ニコルにとっては「私の王子様」。両親にとっては「大事な一人娘の命の恩人」、しかも反抗期直してくれたし・・。年の差なんて関係なし。ジェフに妻がいようが恋人がいようが関係なし。将来の息子だぜ!ハーレクインだぜ!会社を継いでくれ!まあこの先いったいどうなるのか、見ていて心配になりましたわ。ちゃらんぽらんなのん気者に見えて、実はしっかり仕事をこなすジェフ。見てくれが地味でもこういう人がいいんですよ。いざという時頼りになり、決して希望を捨てない粘り強さがある。手柄を立てても控えめだしね。男は顔じゃないんです。なかみなんです。てなわけですっかりチャールズ・パウエルに興味持ちましたの。そのうち出演作捜して見てみるつもりですぅ。

エアポート2004

WOWOWにて鑑賞。マーク・ダカスコスが出演しているので見たけど、キッズ・アドベンチャーというのと、航空機ものというのがちと心配。だって飛行機の中じゃ彼のアクション見られなさそー、だって狭いもん。でも・・ダカスコス久しぶりだし。「エアポート」とあっても別に・・往年のヒット作とは無関係。かってにそうつけただけで原題は「ジュニア・パイロット」ですぜ。お子様映画だからとにかくゆるい。かったるい。途中で見るのやめようかなと思ったくらい。主人公リッキー(ジョーダン・ギャレット)は空想好きな少年。・・と言うかほとんどビョーキ。飛行機の操縦(もちろんフライトシュミレーション)大好き少年が活躍するってことは、何かがパイロットに起きて彼が代わりに操縦するってこと。展開は見え見え。しかも期待のダカスコスは・・何とボーズ頭ですよ、何で?出家したの?演奏旅行のためロスからワシントンへ向かう飛行機に乗ったリッキー。待合室で見かけた男(ダカスコス)が気になって気もそぞろ。何と彼はピストルを持っているのだ!男の名前は不明。リッキー達はかってにカトーと呼んでいる。「グリーン・ホーネット」ですよ、「ピンクパンサー」ですよ。東洋人(ダカスコスはハワイだけど)見りゃカトー。まあクマノスケよりはマシですが。「フライトプラン」見た後だからカトーが航空保安官なのは察しがつく。まあ悪役ではなさそうなのでホッとしたが、激辛ソースとトイレのギャグなんて見たくないですってば。ダカスコス何でこんな映画に・・(えーん)。途中で、誘拐された資産家令嬢アンと、盗まれたインカ帝国の黄金の仮面が出てきてありゃりゃ・・と思う。テレビや新聞はそのニュースでもちきり。最初の方でその描写あったけど、あんまりゆるい展開なので、事件のことコロッと忘れとった。リッキーの「カトーは犯罪者」妄想と違い、こちらは現実の出来事。・・で、いろいろあって(モタモタして)もちろん事件は解決しますよ。ところが悪天候で機体がゆれて機長が気絶(まあまあお子様映画ですから押さえて押さえて)、コックピットのドアが開かず誰も中へ入れない。・・で、いろいろあって(モタモタして)リッキーがコックピットへもぐり込んで(後から友達二人も来ます)、操縦するわけです。

エアポート2004 2

隣りにF16が来てびっくりするわけです。ハイジャックされたのかと思ったら子供が操縦してるからね。10歳のリッキーが無事もよりの空港に着陸させるわけだけど、もちろん別のパイロットが指示を出す。ここらへん「乱気流/タービュランス」と同じですな。あっちはいろいろややこしい手順踏んで、操縦するはめになったスチュワーデスがパニクっていたけど、こっちはわりと単純でしたな。何度もシュミレーションやっているからリッキーは落ち着いたもの。この映画で感じたことは二つあって、一つは出てくるのが少年少女だから目は澄んでいるし髪はふんわりサラサラ、肌なんかすべすべでピカピカ輝いているんですよ。もうホント見ていてうらやましくなっちゃう。彼らには未来があるんです。老後ではなくてね。意地悪な監督役でエリック・ロバーツが出ている。名前からわかるけどジュリア・ロバーツの兄。でも顔なんかボコボコで月面みたい。スチュワーデスはケバイ。アブラ浮いていそう。まあこれらは外から見た大人と子供の違いだけど、感じたことの二つめは内面的な違い。子供と大人とでは違うことが気になる。違うことが怖い。逆に言うと大人なら見落としてしまうことに気づき、大人なら恐ろしくてすくんでしまうことを平気でやってしまう。世間体や常識にとらわれないから、カトーが怖いとなると逃げようとして荷物室に隠れたりする。まわりにトランクを積み上げ安心する。しかし大人から見れば乱気流でゆれたらトランクの下敷きになるだけ。安全どころか非常に危険。なぜカトーから逃げるのか。なぜピストルを持っていると乗務員に伝えないのか・・となる。まあ伝えたら映画にならないから、リッキー達はひたすら逃げ回るのだ。飛行機の操縦・着陸だって大人ならパニックになる。でもリッキーは平気。子供だから実際の墜落なんて想像もつかないのだろう。シュミレーションなら何度墜落しても次がある。したがって恐怖感もないのだ。隣りにいるメアリー・ジョーとシャーシも、騒いだり怖がったりするのではなく、外を見ているだけ。ところでシャーシ役のジェフリー・テッドモリは、どうもどこかで見たような・・という気がして仕方がなかったのだが、やっと思い出した。「がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン」に出ていた子だ。

エアポート2004 3

さてリッキーは、子供だから操縦席に座っていると前がよく見えない。滑走路を見ようと伸び上がっている後ろ姿に胸キュン(けなげー)。ブレーキペダルを踏もうにも足が届かず、今度は下にもぐって踏みつける。おい、横の二人、ポケッとしてないで手伝え!いや足伝え!と思ったのは私だけ?三人で力を合わせるのがこういう場合お約束だが、協力することなんか思い浮かばずリッキーが一人で奮闘していて、他の二人が見物人になっているところが妙にリアル。「フラップは」「ギアは」と誘導役のパイロットが呼びかけても応答なし。何しろリッキーは忙しいのだ。気をもませる。そこがリアル。リッキーにすりゃ返事しなくても言われた通りちゃんとやってるよってことなのだ。飛行機は無事着陸したし、誘拐事件も解決。黄金の仮面も見つけた。相手が資産家ってことはお礼も出るわけで、資金難で廃止になりそうだったアートプログラム(リッキー達の場合はオーケストラ)も存続できそうだ。めでたしめでたし。飛行シーンはモロCG丸わかりで安易な作りだし、展開はとにかくゆるゆるモタモタ。大人達はとにかく無能で何もできない。何も思いつかない。スピード感ゼロなのだが、でも見終わってみればこんなのもたまにはいいかな・・と。着陸シーンのあたりはそれなりに(ゆるいなりに)緊張したし。ハデな音響効果や音楽であおったり、パニックで泣き騒ぐ乗客達・・なんていうお決まりのシーンを出さないのがかえってよかった。エンドクレジットはちょっとしゃれている。子供達がパイロットやスチュワーデス姿でさっそうと歩く。制服に身をつつみ、りりしいパイロットやきびきびと働くスチュワーデスを見て、あこがれない子供はいない。そんな子供達の夢をちょっぴり満たしてくれる。メアリー・ジョーは髪をきれいにまとめ、お化粧をしている。お化粧したって肌はやっぱりピカピカで輝いている。うらやましー。シャーシは機内で、自慢の激辛ソースを販売する。金属探知機でのチェックも同様。チェック係は太っちょのいじめっ子(もっともお子様映画だからすぐリッキーの味方になるが)ブルーノだ。検査される側から検査する側に回りたいと思うのは子供だけではないだろう。流れる曲もいいし、何ともかわいらしい映画だった。えッ、ダカスコス?えーと・・。