アドレナリン

アドレナリン

同じハゲ男主演のアクション映画でも「ダイ・ハード4.0」とはずいぶん扱いが違うやんけ。そりゃスケールは中ハードか小ハードだけどさ、熱い男の暴走アクション映画という点では「ダイ・ハード」以上ですぜ。娘がパパのこと嫌うのよ・・なんていう女々しい部分ないだけこっちのキャラの方が潔いですぜ。何しろ中国製の合成毒盛られて、あと1時間で死んじゃう。毒のまわり遅らせるためには常にアドレナリン出してなきゃならない。自分の命かかってるからまわり(車・店・通行人・病人!)にとんでもない損害・迷惑与えつつ、毒を打った張本人捜し回る。キモは「遅らせる」ことしかできないってこと。解毒剤なしってこと?このままじゃ眠ることもできないから、いくら悪あがきしたってそんなに長くは持たない。とは言っても目前の死からとりあえずは逃れるためあばれまくるわけ。しかも彼シェブは、前日ターゲットを前にして突然心変わりしたのよ。腕のいい殺し屋だけど殺せなくなって「足洗おう!」と思ってターゲット逃がしてやる。そう思ったのは恋人ができたからなんだけどさ。ところがライバルの殺し屋ヴェローナがナンバーワンの地位狙って毒を盛ったわけ。まあはっきり言ってこんなストーリーはどうでもよくて、要はアドレナリン出しまくりでないと即死んじゃうというアイデア・・それ一つの映画。作り手は自分達のとりたいようにとってつなげて・・喜んでいる。めまぐるしいしチャカチャカ落ち着かないしうるさい。たまに慣れないことやると不発。例えばエレベーターの中で、薬のせいでシェブの頭の中がごちゃごちゃになるシーン。一緒に乗ってるのが日本人ビジネスマン。日本語のセリフが最悪。日本語だから英語の字幕つくけど、その日本語が聞き取れないんですってば!日本語の字幕つけろ!と言うかこんなへたくそな日本人俳優出してくるな!と言うかそもそもこんな凝ったシーン入れるな!作り手にはこういうシーンまとめるだけの手腕ないんだから。ハデでチャカチャカしてて勢いだけでばーっと映画作ってるだけ。細かい計算、深層心理・・そんな高尚なことムリムリ。タクシーの運ちゃんがくれたクスリドリンクも不発だったな。何がどうなったの?ききめあったのなかったの?描写省略されてなかった?いつもだったらこういう映画見させられたらあたしゃ怒りますぜ。カメラゆらすな~もっとちゃんとうつせ~細切れにするな~金返せ~。

アドレナリン2

でも今回はそういうものと承知して見に来てますから。何でもいいや、文句言わずに見てやるぜ・・って感じですから。我ながら寛大だなあ・・。まあだからと言ってこういううつし方・映画のトーンをほめる気もありませんけどね。まあとにかくじっくり腰を落ち着けて見るような映画ではないの。画面分割とかアニメとかあれやらこれやら、いろいろありすぎてよく覚えてないけど、とにかくやりたいことぜ~んぶやってる。次はない、今この瞬間だけがすべて!・・みたいな感じで作ってる。昔は頭の中で考えても道具や技術がそれに追いつかなかった。でも今はかなりのことまで実現できる。自分達のイメージが形を取るのは、作り手にとってはさぞうれしく楽しかったことだろう。そういうのは十分感じられた。もっともそれをお客が喜んだか楽しんだかは、また別の話なんだけどさ。さて、いくら技術が進歩しても、演じている俳優がそれに追いつけなかったら何にもならない。そりゃスタントマン使ってある程度のことまではできるけど、もしそうならあたしゃ見ようなんて気起こさない。公開されました、ああそうですか・・で終わり。でも今回はジェイソン・ステイサムだからね。彼だからあたしゃ見る気になったんです。これやってるとこ少ないのよ。駅から遠いシネコンまでてくてく歩いてさ。他の客は車かバイクか自転車で来る。暑い中駅からとぼとぼ歩いてくるアナログな客なんて私一人だよきっと。お客は六人くらい。最初誰もいなくて貸し切りかよ・・と本気で思ったくらい。ここ大丈夫かね・・いつもお客の数一ケタだけど・・。でもって話を戻して、ステイサムはホント感心するくらい切れまくり、走りまくり、動きまくり、逃げまくり、壊しまくり・・。魅力全開。彼って一生懸命やればやるほどおかしい。ハゲでヒゲで武骨な顔立ち。コワモテなのに何で笑えるのかしら。変装のため病院の入院患者用の服着るけど、ちゃんとパンツなしでお尻見せてくれる。一時的な変装だからパンツはいてたっていっこうにかまわないのに。だって靴はしっかりはいているのよ。それでもう患者のくせにおかしいぞ・・ってバレバレ。警察のバイク盗んで、でもアドレナリン出すために目をつぶったりハンドルから手を離したり立ったり・・子供はマネしちゃいけませんよ、いや大人だって!それが「タイタニック」の例のシーンみたいで超おかしい。

アドレナリン3

ケイト・ウィンスレットみたいな美女ならまだしも、タコみたいな顔したオッサンが超真面目な顔してやってるんだから。まあ私がこの映画見るぞ!と最終的に決心したのは、このタイタニックシーンのせいなんだけどさ。あのステイサムがここまでアホやるのか、こりゃ見に行ってあげなくちゃ・・って思ったわけ。でもせっかくのシーンもお客が六人かそこらでしょ。クスリとも聞こえてきやしない。あのさ~みんなもっと「アドレナリン」見ようよ、「ダイ・ハード」の後でもいいからさ~ってもう遅いか。ヴェローナ役、ホセ・パブロ・カンティーロはジェット・リーにちょっと似てる。ちなみにステイサムとリー共演の「ローグアサシン」という映画が今秋公開される。シェブが助けを求める医師マイルス役はドワイト・ヨーカム。この人は見たことあるな。「パニック・ルーム」の犯人の一人だな。恋人イヴ役はエイミー・スマート。シェブの正体を知らず、のんびりとした性格。シェブが秘密打ちあける時、なぜかしゃっくりをしているのがかわいかった。するかな・・するかな・・ヒック・・という感じで。しかしその後の○×△は・・女性客は引きます。引くなんてもんじゃない、ドン引き。やりすぎ、下品という批評を事前に読んでいたので「?」と思っていたけど、見てみりゃ確かに悪ノリしすぎ。これさえなきゃ多少残酷とは言えわりと家族で見ても楽しめるんだけどねえ。それと残念だったのは、オバカ映画なんだから最後ははっきりハッピーエンドにして欲しかった。ちょっとホロリとさせてやろうとか、ちょっとシュールに決めてやろうとか、そんな余計な色気出さず、オバカで突っ走って欲しかった。いくら解毒剤のない猛毒という設定でも、どうとでもいじくれるでしょ。何しろ中国製だからなかみいいかげんでした~ってことにしても誰も文句言わないよ。特に今の日本じゃね。ああ中国製ならありうるな・・って全員納得する。あれじゃ医師役にせっかくドワイト出してきているのに見せ場ないじゃん。パンフも悪ノリ気味で内容は今いち。ただステイサムの写真はみんなばっちり決まっていてステキだけどね。オバカ映画なのに全部真面目で鋭い目つきしてるんだもん。さてと・・見終わっても何も残らない映画だけど、とにかく体張ってやってくれているからね。クライマックスのヘリコプターでの格闘もちゃんと空中でやってて、合成なんかじゃないらしいし・・ごりっぱ!