エリア52

エリア52

見る前はさほど期待していなかった。題名からしていかにもって感じ。オーストラリア製ということは、知らない人ばっかだろう。WOWOWで見たのだが、劇場でも公開されたらしい。ガイドブックに載っている写真も、どこかで見たような。まわりが白っぽくて、若い女性が一人。見たことないけど「CUBE ZERO」とか?たぶんゾンビかモンスターが出てきて、たぶん登場人物少なめで、たぶん狭いところをウロウロ。で、見始めるとその通りで。冒頭に出る文章は何じゃらほい。1966年・・じゃないよね、現代だよね。オーストラリアにあるアメリカの秘密の軍事施設で囚人が脱走。地下を封鎖。一人の女性がハッと気づく。自分は誰?腕に巻いたベルトにはイヴとある。頭には手術のあと。まわりには血みどろの死体。で、施設に近づくヘリ。ターゲットは囚人、見つけ次第殺せ、科学者チームは救出せよというアバウトな指令。囚人の中にはあのイヴも。救出チームの一つがチーフのロミオ、ウィキ、キッド、フォーパック。彼らが出会ったのがイヴ。何となく「DOOM」や「バイオハザード」のような流れ。それにもちろん「エイリアン」。ダクトの中を這い回るから「エイリアン2」か。それにしてもダクトの中はなぜあんなにきれいなのだろう。うつし方は偏っている。うつしているけど、よくわからない。それを言えば彼らに下された命令もおかしい。とにかく殺せ、容赦するな。うつしてるけど、変だな~と感じる理由はそのうちわかる。その人が見ているのは幻覚なのだ。本当はそうじゃないのに、そうだと思わされている。例えばキッドが見た怪物は幻覚なのだ。その時点では見ている我々も幻覚だと知らないから、ああやっぱりゾンビみたいな怪物が出てきたぞ・・と思う。この施設では凶暴な囚人を実験台にしてああいうのを作り、それが反乱を起こしたのだ・・やっぱ「DOOM」じゃん!キッドが死んだため、ウィキはイヴに怒りをぶつける。彼女はキッドの子供を宿しているらしい。イヴを殺さないのはロミオの命令。彼はイヴを見て驚く。なぜなら彼女は彼の妻で、死んだはずだからだ。でもイヴは記憶を失っているのか、彼のことを覚えていない。

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任務遂行の途中で、死んだはずの妻に出会うなんて、偶然にもほどがある。当然フォーパック達はいぶかるが、ロミオの答は「彼女か確かめたかった」と、説得力ゼロ。何ていいかげんな脚本なのだ!しかもロミオがイヴを助けたせいで事態がややこしくなるし。でも後でこれにもちゃんとわけがあったのだとわかる。この映画のことをネットで調べてみると、たいていの人はボロクソにけなしている。演技も含め、何もかもだめ、見る価値なし・・みたいな。だから私には意外で。と言うのも、私にはなかなかよくできているように思えたから。この人は弱いのか強いのか、いい人なのか悪い人なのか、正しいのか正しくないのか、みんな見た目と違う。見ている我々も含め、登場人物のほとんどが、現実とは違うことを見させられている、信じさせられている。そうなると何でもアリだから、感心する人がいる一方で、な~んだとがっかりする人もいて。施設に入り込んだのが何人かは不明だが、たぶんロミオ達以外は全滅したのだろう。そのうち科学者らしき数人と出会う。その際ロミオは誤って一人の女性を射殺してしまう。彼には彼女が人間ではないように見えたのだ。そのせいで中の一人マシューズがえらく興奮していきり立つ。シーザーという男に何度も黙るよう制止されるが、止まらない。ここで少し事情がわかる。しかし、ここで話されたことが全部真実というわけではない。後でマシューズによって、シーザーによって、より真実に近づいていく仕かけ。これをうまいやり方と見るか、何が何だかわからないじゃないかと怒るか。この施設ではバイオメカニクスとやらが研究されている。イヴは脳の移植手術を受けたらしい。なるほどそれで頭に傷があるのか。ところが彼女に異変が起きたらしい。囚人脱走というのは彼女のことなのか。それとも他の囚人?ロミオは死んだはずの妻が生きてここにいるわけを知りたがるが、シーザーにもわからない。とは言え、この言葉も当てにならない。ロミオ達が施設に入り込む時、安全装置をダウンする必要があった。そのせいで囚人達の独房が開放されてしまったと。それって「バイオハザード」と同じじゃん!シーザー達が進めているのは「ジェネシス計画」。超能力関係。イヴは私を元に戻して・・と、混乱気味だが、これはまだ自分の能力を制御できずにいるせい。

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彼女には超能力があったが、神経疾患があり、このままでは死ぬというので、移植手術に同意したとか何とか。後でマシューズは彼女に別のことを言う。彼女はブルームという伍長で、精神に問題があった。頭の中で声がし、突然凶暴になる。マシューズはその時の映像を見せる。頭の中で声・・精神分裂?突然凶暴に・・多重人格?とにかく、シーザーが言っていた、このままでは死ぬというのはウソだった。マシューズの方が少しは事実を言っているのか。イヴが何を移植されたのか、その時は(ドナーを)見せない。私なんぞは、同じような手術された者が、キッドと戦ったような怪物になるのかな・・なんて(まだ)思ってる。同じように作られても片方は美しく、片方は醜い怪物というのは「バイオハザード2 アポカリプス」でもあったじゃん。でも・・違うんだよな。ウィキ、マシューズ、フォーパックと、次々に死ぬ。イヴがマシューズを殺したのは、彼女を殺そうとしたからだが、フォーパックを殺すのは・・。ロミオがやめてくれと懇願したのに。で、やっとこすっとこシーザーが真相を話す。今までウソだらけだったから、この時点では何が何だかわからなくなってる。今更真相話されたっていっそうわからなくなるだけだと思うでしょ、皆さん。でもこの作品に限っては、なぜか素直に「そうだったのか!」となるのよ。私だけかもしれないけど。本気で超能力を研究し、利用しようという試みは昔からあった。イヴもそうだけど、シーザーが連れているエミリーも超能力者。西欧諸国の政治家や独裁者は、超能力者によって守られている。何からかと言うと、敵国の超能力者の攻撃からだ。ばかばかしい・・と思いつつも、もしかしたらそれもアリかも・・と思える。星占いに頼る政治家だっているのだから、超能力者に頼る人がいたって不思議じゃない。シーザーが言うには、イヴはロミオの心の中に入り込み、コントロールしているのだそうな。イヴは彼の妻ではない。彼の記憶はすり替えられている。ロミオはある女性と新婚夫婦を装って任務についていたが・・ここも「バイオハザード」風味・・国への忠誠心を示すため、自分の手で妻を溺死させるはめになる。イヴはその後悔の念を利用し、自分の身の安全をはかったのだ。

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ロミオは本来ならば見つけ次第殺すことになってるのに、それができない。彼女をここから脱出させようと手を尽くす。・・と言うことは、冒頭ヘリの中でイヴの写真を見た時にはまだ記憶はすり替えられてなく、何とも思わなかったってこと?彼が不審な行動取ってた理由がここでわかる。それと今までの・・キッドが見た怪物、ウィキが見た犬、フォーパックのヤケドとかの怪現象の理由も。みんなイヴの仕業。彼女はエミリーも殺す。エミリーはシーザーがイヴに操られないよう、自分の超能力で守っていたのか。あの時マシューズがすごく興奮してイヴを殺せと騒いだのもそのせいか。あの時ロミオが撃ち殺した(もちろんイヴがやらせたのだ)女性は、マシューズを守る超能力者だったのでは?ガードがなくなったせいでパニクったのでは?話を戻して、何のためにいるのかよくわからなかったエミリーだが、わけがわかってみればなるほど・・となる。じゃあイヴは悪者で、シーザーはいい方かと言えばそうでもない。イヴの能力は増大しつつあり、つまりは研究は成功したということだ。超能力で敵の考えがわかるだけでなく、こちらの考えを植えつけることもできるのだ。軍になんか戦争をまかせられるか!と、鼻息の荒いシーザー。どうも超能力で戦争をなくす・・という方向へは行かないようで。でも、エミリーが死んだためシーザーは無防備だ。イヴの念力で・・頭爆発「シックス・パック」かよ。ロミオはイヴを道連れに自殺を図る。自分が妻を殺したってのをまざまざと思い出し、生きる気力なくしちゃった。早く愛する妻の元へ行きたい・・。もちろんイヴは生き延びる。手榴弾の爆発でちょっと意識が飛んだけど、すぐ気づく。で、これが冒頭のシーンなわけ。そばにあった血みどろの死体はロミオ、エミリー、シーザーというわけです。で、イヴが移植された脳ですけど・・ああ、それでエリア52?ここも見せ方が凝っている。手術を受けようとしているのはイヴに思えるが、実は・・となる。イヴ役はアンバー・クレイトン。ラダ・ミッチェルとマリア・ベロをミックスしたような。ロミオ役ディッチ・デイヴィーはジェイソン・ステイサム風味。ラスト、施設は自爆する。一人脱出したイヴはこれからどうするのでしょう。いやホント、よくできてましたよ、拾い物です。