シャーロック1

シャーロック(ベネディクト・カンバーバッチ版)1

ピンク色の研究(パイロット版)

NHKBSで放映していることは、かなり後まで知らなかった。と言うか、あんまり興味なくて。シャーロック役はベネディクト・カンバーバッチとかいう知らない人。「ミス・マープル」の「殺人は容易だ」に出ていたらしい。あれはちゃんと見たし、感想も書いた。でも、記憶に残っていない。ネットで調べてみて、「ああ、この人」と、思い出した。ずいぶん変な顔をした人だなあ・・と思ったんだっけ。でも、すぐ忘れちゃった。だいたいマッケンジー版は出来の悪いものが多くて。出演者が悪いわけではないが、ストーリーがメチャクチャ。BSでシーズン1の再放送と、シーズン2の新作を見たんだと思う。で、もうどぼ~んとはまってしまったわけ。即DVDゲット。シーズン3も即ゲット。本や雑誌もいっぱい出てるけど、全部欲しいけど、無理だから懐具合と相談しながら少しずつ。感想も、すぐ書くつもりだったけど、なかなかそうもいかなくて。ジェレミー・ブレット版も見始めたし「エレメンタリー」もあるし。さて、60分用にこれを作ったら、BBCから90分のを三本作れと言われて、作り直したのだそうな。大きな違いはもちろん長さ、それとマイクロフトが出てこないこと。画面は向こうの方がいい機材使ってるとかで、鮮明なのだそうな。シャーロックの居間の内装・・壁紙とかも違う。シャーロックのヘアスタイルも違う。私はどちらも好きだけど。クライマックスの場所も違う。付け足したのでなく、全部作り直したらしい。そう言えば「サンダーバード」も最初30分のはずが、60分にしろと言われたんだよな、そういうことって珍しくないのかな。パイロット版のいいところは、余計なもの・・マイクロフトとか・・がないこと。そのせいでシャーロックとジョンに集中できる。話の広がりや表現の多彩さはないけど、エッセンスが詰まってる感じ。冒頭・・ジョンはパソコンを開くけど、何も打ち込むことがない。アフガニスタンからの帰還兵で、杖をついているけど、後でわかるが負傷したのは肩。脚の方は心因性のもの。治療のため、ブログを勧められるが、何も起こらないから書くことがない。ある日偶然昔の同僚マイクに声をかけられた。軍の恩給だけではロンドンで暮らしていくのは難しい。節約のためルームシェアを考えている。で、マイクが紹介してくれたのが・・。

ピンク色の研究(パイロット版)2

死体安置所で死にたて(←?)の老人に鞭をふるうシャーロック。印象的な登場シーン。彼に密かに思いを寄せているらしいモリー。それにしてもすべてのホームズファンの度肝を抜いたであろうカンバーバッチ。キャスティングしてくれてありがとう!ヘアスタイル、コート、マフラー、色の薄い目。決してハンサムじゃないし、変てこな顔立ちなのに、何と魅力にあふれていることか。基本的に無表情なので、顔にあまりシワが寄らない。彼の変わった性癖、性格、まわりにどう思われているかが手際よく描写される。ジョンの方は振り回されつつも、内部で何かが変わり始めているのがわかる。カンバーバッチよりも、マーティン・フリーマンの方が今まで出会った回数は多い。「銀河系ヒッチハイク・ガイド」「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!」。彼で残念なのは、鼻の形が悪いこと。ちゃんとした形のいい鼻だったら・・と、いつも思う。ちょっとシワが目立つけど、小柄で金髪なのがいい。歩道にぽつんと立ってたりすると、もう哀愁が漂っていて、母性本能をくすぐられる。それでいて犯人を一発で仕留める腕のよさ、冷静さ。表情も変えないし。あと、シャーロックの分析を聞いて「すばらしい」とか感心するところもいい。他の者はまた始まったという感じで、あからさまに冷たい反応示す。レストレードでさえ、せっかくジョンが取ったメモを「いらない」と無視。犯行現場に置き去りにされたのかと、ジョンが一瞬思い込むシーン。巡査部長のドノヴァンが彼に忠告する。「シャーロックはそのうち一線を越える」・・これはシーズン3まで見ると、その危惧が現実になったようにも思える。何しろあのシャーロックが最終話では人を殺してしまうのだから。ジョンがふと上を見上げると、シャーロックが近くの建物の屋上にいるのが見える。暗いせいでよくわからないのが残念だが、このシーンは非常に美しい。後で彼が何をしていたのかもわかる。被害者のスーツケースを捜していたのだ。そして1時間かかってゴミの中から捜し当てる。彼はせっかちだけど、こういう根気強さもある。

ピンク色の研究(パイロット版)3

ケータイを借りるため、ジョンを呼び出すのもおかしい。ものぐさな反面、脳をフル回転させる。彼を見ていて思う。今の人達は考えることを他人に任せていると。自分で考える代わりに人に聞く。わからないことを聞く。どうしたらいいか聞く。なぜそうなのかを聞く。自分はどう思うのかが抜けている。彼にとってはまわりの者がなぜこんなことがわからないのか不思議だ。とは言え、天才には観客が必要だ。犯罪者がそうであるように、シャーロックも自分の頭のよさをまわりに見せたい時もある。彼にとってはジョンが観客だ。自然で素直な反応を見せてくれる。ほめられてまごついたり、向こうが黙っていると「質問は?」と、水を向けてみたり。そういうシーンのいちいちが新鮮だ。二人の相性のよさがわかる。今までのホームズ物にない要素を、作り手が取り入れているのもいい。ヴィクトリア朝時代なら、男二人が同居しようが、腕を組んで歩こうが、誰も何とも思わない。でも現代では、何もなくともまわりが変に気を回し、理解のあるところを見せる。ハドソンさん・・「隣りは同性の夫婦よ」、レストランのオーナーはデートだと思い込み、キャンドルでロマンチックに・・と気を回す。本編の方ではマイクロフト。出会ったばかりで行動共にして、週末には結婚か?オイオイ、うらやましがってるようにしか聞こえないぞ!シャーロックまでが誤解して「自分は仕事と結婚している」「誘ってくれて光栄だが・・」って!!さて、パイロット版ではレストランのシーンから一気にクライマックスへ。なぜ犠牲者達は何の疑問も持たずやすやすと犯人についていったのか。感想を書くため、原作をざっと読み返してみたが、共通するのは犯人の職業・・辻馬車の御者が現代風にタクシードライバーになってるが・・と、犯人が抱えている動脈瘤と、遺体の発見場所くらい。あとは全部違ってる。終わり方もさっぱりしている。シャーロックは、選んだカプセルが当たりだったのかどうか、レストレードに聞かれても答えられない。その方が自然だ。ジョンが犯人を撃ったことは、隠す必要はないように思える。シャーロックの命救うためやったことだし。でも彼は銃をテムズ川に捨てちゃって。知らんぷりを決め込むつもりらしい。

シャーロック1の1 ピンク色の研究

NHKBSでこれを見てはまったとは言え、9話(パイロット版も入れれば10話)全部見て思ったのは、出来不出来があるな・・ということ。私好みかそうでないかと言うべきかもしれないが。それはおいおい書いていくとして、第1話。何の前知識もなく、まっさらな状態で見たので、いろいろ驚かされた。例えばレストレードが記者会見するシーンで、画面に文字が出ること。何じゃありゃ?と、びっくり。死体を調べるところでもいろいろ文字が出る。シャーロックとジョンがタクシーを追いかけるシーンでもびっくりだ。道路標識とか地図とか。その一方で裏道やら屋上を駆け抜ける二人。絶対追いつけるはずないんだけど、アイデア満載の映像で見せちゃう。冒頭・・ほとんど何もない部屋でのジョン。後で出てくるシャーロックの部屋はものでいっぱい。対照的だ。こちらは被害者の描写もやや多め。と言って、そのことで別にどうこうあるわけじゃない。と言うか、見てる人はシャーロックとジョンに目が釘づけで、他はどうでもいいんだけど。四人目が出たところで、シャーロックは現場に呼ばれるけど、それまでは無視されてたのか。ああやって記者会見場にメール送って「違う!」と主張しているってことは、すでに自分なりの考えがあるってことだが。シャーロックが屋上に立つシーンがほとんど削られちゃってるのが残念。コメンタリーによれば、間抜けに見えるという意見が出て、カットされたらしい。信じられない、すばらしく美しいシーンなのに!時間が長くなったのなら、むしろ増やすべきだろッ!風になびく黒い髪、黒いコート、暗闇・・それとは対照的な青白い月の光、透き通った瞳、美しい横顔・・(ほへ~)。マイクロフトなんか登場させてる場合じゃないだろッ!こっちの方がよっぽど間が抜けてるじゃないかッ!最初は・・私だけじゃないと思うけど・・モリアーティだと思った。ジョンの行く先々で鳴る電話、監視カメラ・・いかにもな小道具の使い方。わざわざ車に乗せてどこやらへ連れて行く。ジョンが言うように、彼のケータイにかければすむことなのに、まわりくどいことする。何か意味があるように思わせぶりにする。会っても自分の名前言わない。宿敵とか言うから、てっきり・・。

ピンク色の研究2

今回見直して、観察の仕方とか確かにシャーロックと同じだな・・とは思う。思うけれども私はどうもこのキャラは好きになれない。出て来なくていいのに・・と、いつも思う。とは言え、ここのシーンでいいな・・と思うのはジョン。手を見せろと言われてなぜかためらうところとか、椅子を勧められても断って立ってるところとか。精一杯な感じで立ってるところが、杖も含めて三本足で立ってる妖精みたいで・・胸キュン。カンバーバッチでステキなのは、ニコチンパッチを三つも貼って、ソファに寝そべっているところ。この時の・・上からうつした顔がすっごく魅力的で・・。変な顔立ちなのに・・何とも言えない目つきで、両手を合わせてしゃべって・・。どんなハイテク撮影技術も、俳優の目とか声にはかなわないんだ・・と、つくづく思う。後でレストレードもニコチンパッチ貼ってるのを見せる。二人して見せっこしてるのが笑える。レストランでのシーン、タクシーを追いかけるシーン、犯人を見つけたと思ったら空振りで。その時警官のフリをして警察バッジを見せる。「バッジはムカつくとスリとる」とか「山ほどある」というセリフには笑ってしまった。他にも考えに集中する時「息もするな」とまわりに命じるのもおかしい。ベイカー街へ戻って、バカなことをしたと二人して大笑いするところもいい。犯人と勘違いするところとか、この後の家宅捜索などは、いい流れとは言えないのだが、気の利いたセリフがポンポン飛び出し、テンポがいいことに救われている。家宅捜索は薬の不法所持を疑ってのことか。言い出したのは誰?やる意味ないと思うが。ごちゃごちゃやってる時に、犯人が向こうからやってくる。気づいたのはシャーロックだけ。彼はレストレードにもジョンにも知らせず、自分から進んで車・・タクシーに乗る。彼は謎を解くためなら危険も顧みないというのが強調される。自ら罠に飛び込む。銃を突きつけられたけど、おもちゃだと見抜く。ライターだとわかって、命の危険もなく、そのままその場を去ることもできた。でも、犯人の挑発に乗ってイチかバチか、薬を飲んで運試ししようとする。

ピンク色の研究3

普段は非常に論理的なのに、スリルを味わいたい、興奮したいと思ってしまう。そこがシャーロックの弱点か。あ、でもその点ではジョンも同じで。戦場で悲惨な経験をしてトラウマになってるのに、その一方で危険に直面したい。平穏な日々を送ることの方がいいとわかっていて、心の奥ではそれが嫌。その矛盾が脚を動かなくさせる。でもシャーロックはそんな世間体も常識も気にしない。思った通り行動する。で、それがジョンにも影響する。まわりから見れば悪影響。だからみんなしてシャーロックには近づくなと。話を戻して、犯人の話にはあまり説得力がない。こちらでは犯人の動機も明らかになる。余命わずかな自分が、健康な四人を負かしてやった。どっちかが毒入りのカプセル・・それを相手に選ばせる。選ばなかった方を自分が飲む。運がよければ助かる。そうやって確率が5分5分のゲームを、もう四回も勝った。パイロット版の方はここまでだが、こちらはその先もある。例によって金が絡んでくる。スポンサーがいる。シャーロックのファンがいる。死人が増えれば増えるほど、自分の二人の娘に残せる金が増える。後でシャーロックはそのスポンサー、ファンの名前を聞き出すけど、それがモリアーティ。ここでまたさっきの宿敵思い出す。彼もジョンを金で釣ろうとしていたっけ。やっぱり彼がモリアーティ?でも、部下の女性は悪党側にしてはすっとぼけた感じで。しかもジョンはナンパしようとして失敗してたし。シャーロックと犯人が薬を飲もうとしている時に銃声が響くのはパイロット版と同じ。事件後の・・向こうの、歩道にぽつんもよかったけど、こっちのパトカーのそばにぽつんのジョンもよかった。ジョンには弱々しさと同時にシャーロック以上の強さもまた感じる。同じくシャーロックの狂人・・もとい、強靭さの中には弱さも感じる。で、事件が解決していい感じになってるのに、またまた出てくるのがマイクロフト。結局シャーロックの兄で、政府の役人で、不仲で確執があるのがわかる。でも、そんなのいらんと思うけど。シャーロックにはパパもママもいない、ある日ポコッと大学生あたりの状態で出現するのが彼。それ以前は不明でいいじゃん!

シャーロック1の2 死を呼ぶ暗号

第2話の元ネタは「踊る人形」らしい。シャーロックと大学が一緒だったセバスチャンから調査の依頼が。投資銀行のビルに何者かが侵入し、元会長の部屋にスプレーで落書きをしていった。シャーロックは調査費を受け取らないが、ジョンは代わりにもらっておく。何しろ金に困っている。シャーロックはいつもタクシーに乗っているけど、お金はどこからわいてくるのか。特許料でも入ってくるのかな。ジョンは仕事を得ようと診療所に面接に行く。そこでサラという女性と出会う。こういうのはシャーロックには絶対ない。さて、トレーダーのヴァン・クーン、続いてジャーナリストのルーキスが殺される。今回はなぜかレストレードが出てこず、事件を担当するのはディモック警部。二人のことはうさんくさく思っていて、殺人だというシャーロックの主張も無視。内側から鍵がかかっているのだから自殺・・と決めつける。ヴァン・クーンは香港担当、ルーキスは中国専門。二人とも落書きを見た後すぐ殺されている。これはたぶん脅迫だろう。しかし意味がわからない。その頃古美術博物館で働くスー・リンがいなくなる。彼女に思いを寄せていたアンディは心配する。シャーロックは彼女の部屋で何者かに襲われる。首を絞められたけど、途中で相手が逃げていく。シャーロックにだけ攻撃が中途半端なのはおかしい。暗号と思われた文字は、後で中国の蘇州碼字だとわかる。二組の数字で、ある本のページと行を表わしているらしいが、その本は?ヴァン・クーン達は落書きを見たとたん、それが誰からのものかはわかったけど、意味まではわからないはずだ。でも脅迫だってのはわかったのだ。それにしてもいちいちページめくらなきゃ意味がわからないような通信手段取るか?後でシャーロックとジョンは二人の蔵書を集め、どの本が使われていたか調べるが、わからずじまい。「シャーロック」関係の本には二人が共通して持ってる本を捜したとあるが、めくら滅法にページをめくっているようにしか見えない。結局ロンドン案内みたいな本だったけど、わかったのは観光客が持ってるのを偶然見て。ここらへんは論理的思考のシャーロックらしくない流れ。

死を呼ぶ暗号2

ヴァン・クーン達は”黒い蓮”という組織の運び屋・・中国からの密輸を手伝っていたらしい。二人のうちのどちらかが高価な骨董品をくすね、そのせいで始末されたのだ。でも、だったら殺す前にありかを聞き出そうとするはずで。殺してから捜し回るというのは順序が逆では?スー・リンは生きていくため仕方なく麻薬の運び屋やってたけど、それが嫌でとうとう逃げ出した。もう何年もたって、組織もあきらめたと思ったけど、だめだった。彼女を殺しにきたのは兄。彼は洗脳されていて、ボスの言いなり。彼女が殺されてしまうのは後味が悪い。と言うか、ジョン、そばを離れちゃだめじゃないの。いくらシャーロックが心配だからって。それにしてもスー・リンが何日も博物館に隠れているのは・・。食べ物は?着替えは?組織はサーカスとして動き回っている。ん~じゃあ別にヴァン・クーンとか使わなくても。いくらでも衣装や道具に隠せる。スー・リンの兄は蜘蛛男。ビルの6階くらいなら登っちゃう。ヴァン・クーン達を殺したのも、シャーロックを襲ったのも彼。シャーロックの提案でジョンはサラとサーカスへ。彼はサーカスなんかどうでもいい。サラと仲良くなりたい。だから大きな音にびっくりした彼女に抱きつかれてうれしい。蜘蛛男を二人して口をぽかんと開けて見ているのが微笑ましい。サラは感じがよく、ジョンとはお似合いだ。でも、組織がジョンをシャーロックだと勘違いしたせいでひどい目に会う。と言うか、組織は写真というものを知らないのかね。ほんのちょっと調べりゃ本人かどうかわかるのに、ジョンをシャーロックと思い込み、それ以上調べない。あ、そうか、だからどっちかが怪しいとなるとヴァン・クーンもルーキスも両方始末しちゃえ・・となるのね。あわやというところでサラを救ったのはシャーロック。どう見たって彼の方が颯爽としていて頼もしく冷静。何にもできないでいるジョンがみじめ。アンディ役の人は見たことがある。アル・ウィーヴァー・・「DOOM」に出ていたらしい。もっと出てくるかと思ったらあれきりで、扱いが軽い。全体的に乗れない感じで不完全燃焼なエピソード。出来はよくない。

シャーロック1の3 大いなるゲーム

コメンタリーによると、この3話が一番先に作られたらしい。冒頭のベラルーシのエピソードは何?死刑囚の男に会いに行ったものの、シャーロックはたちまち興味をなくす。ただのアホな殺人犯。おまけにしゃべる言葉もアホ丸出し。シャーロックはいちいち文法の間違いを訂正するが、そこがおもしろいと?ベラルーシくんだりまで出かけるのが彼らしいと?それくらい退屈しているのだと?でもロンドンからベラルーシまでの旅費・・しかも往復・・はどうしたんだ?ロンドンでタクシーに乗るのとはわけが違うぞ。出だしでつまずいてる感じだけど、幸いあとには引かない。事件が起こらず退屈なシャーロックは、銃で壁を撃ったりする。この時の、ひょいひょいという感じの撃ち方、ソファに倒れ込む時の動き、入口に背を向け、脚を曲げてふてくされたようなところ・・いずれもすばらしい(←?)。ジョンが出て行って、代わりに帰ってきたハドソンさんの「夫婦喧嘩を?」というセリフがおかしい。ガウン姿で荒れる妻と、相手するのに疲れて(他の女のところへ)逃げ出す亭主の図。三文メロドラマと違うのは、その後爆発が起きること。よく見るとシャーロックはジョンの様子をうかがいながら銃を撃ったりしてる。半分は彼に見せるためにやってる。ジョンは観客なのだ。彼が出かけようとすると、ぴくっとして「どこへ?」と真顔で尋ねるシャーロックが笑える。前回あんなひどい目に会ったのに、サラとはまだ続いているらしい。今ではジョンがお泊まりするほど。それなのに以後出てこなくなるのはなぜ?メアリーなんかよりずっとサラの方がいいのに。向かいの爆発はガス漏れ事故と思われたが、その後事件性をおびてくる。現場からシャーロックあての封筒が見つかり、中にはピンクのケータイ。今回ようやくモリアーティがちゃんと出てくる。途中で病院のラボでモリーが恋人のジム(アンドリュー・スコット)を紹介する。病院で働いているにしては服装が変だが、私はこのジムがモリアーティだとは気がつかなかった。どうしてももっと年配で大柄で奇怪な顔立ちというイメージがあるから。気がつかないのはシャーロックも同じで、すぐゲイと断定。意識から締め出す。

大いなるゲーム2

モリーはショックを受け、怒るが、シャーロックにすれば今のうちに別れればそれだけ痛みは少ないと親切心で言ってる。ラボで顕微鏡覗いてるシャーロックの横顔が美しい。肌のきれいさ、髪のかかり具合、マフラーを巻いていないせいで剥き出しの長い首・・。1話目で最初にジョンを見る時の目つきも印象的だった。ラボの清潔さ、蛍光灯による青白い光など、冷たい感じがシャーロックの顔立ちとマッチしている。表情をいっそう引き立てている。こういうハッとするようなシーン、2話目にあったっけ?全然思い浮かばないんだけど。1話と3話の監督はポール・マクギガン。「ホワイト・ライズ」をとった人だ。あの映画もけっこう入り組んだ内容で。主役はジョシュ・ハートネットだったけど、寝起きのような目の腫れぼったさが若々しさ、新鮮さを感じさせた。こちらのカンバーバッチもそう。彼の場合は目の色の薄さからくる透明感があり、神秘性が増す。そういう男優の美しさがよくとらえられている。フリーマンまでいつもよりハンサムに見える。それに比べると女性は・・。シーズン1で美しさが際立った女優さんている?みんなシワとかくすみ、そのまんまうつしてる。今は男優の美しさ引き出すためにライトの当て方、角度を工夫するのか。3話の元ネタは「ブルース・パーティントン型設計書」と「五つのオレンジの種」らしい。マイクロフトが依頼してきたのが前者で、原作では潜水艦の設計書だが、こちらはミサイル防衛システム。書類ではなくフラッシュメモリー。Mi6で働くウェストという青年の死体が線路脇で見つかる。機密を持ち出して売ったのか。しかしフィアンセのルーシーは、彼はそんな人じゃないと涙ながらに主張。シャーロックは、機密が売られた気配がないことから、犯人は奪ったものの誰にどうやって売ったらいいのかわからないのだと推理。結局ルーシーの兄ジョーが犯人だった。シャーロックは、マイクロフトのために働くのが嫌なので、主にジョンに調べさせる。でも、気は配っていて、さっさと解決する。「五つのオレンジの種」の方はpip・・オレンジやリンゴなど果実の「種」と、「時報」のピッという音をかけているようだ。

大いなるゲーム3

先に送られてきたピンクのケータイを使い、次々に指令が来る。時間内にシャーロックが答を見つけないと、人質につけられた爆弾が爆発する。単なる脅しでないことは、下宿の向かいの爆発で証明ずみだ。シャーロックは今までの退屈さが吹き飛び、生き生きしてくる。時々にんまりと顔がほころんでしまう。ジョンには不謹慎に見えるが、彼は気にしない。同情したからって人質が助かるわけではない。そんなヒマがあったら答を捜す。時には多数の犠牲者が出てやりきれないムードが漂うが、だからってモリアーティがそこでやめるわけではない。また次のゲーム仕かけてくる。最初は下宿の地下室に置いてあったスニーカー。ベイカー街221には地下室があるのだ。ハドソンさんによると湿気が多いため誰も借り手がいないらしい。スニーカーの持ち主はカールという少年。1989年にプールで泳いでいて水死。シャーロックにとっては最初の事件。服があるのに靴だけなくなってるのはおかしいと警察に言ったけど、相手にしてもらえなかった。まだ彼も子供だったし・・と言うか、モリアーティもだいたい同じ年頃だから、その頃からすでに殺人を?二番目は銀行家のイアンの失踪。車に大量の血・・でも死体はない。こちらもさっさと解決。三番目がテレビの人気司会者コニーの死。引っかき傷から破傷風の菌が入り・・でも、弟のケニーが怪しい。彼はゲイらしく、ジョンに早速色目を使う。ジョンが掛けているソファの横にどすんと腰をおろし、妙な目つき。ジョンは彼が飼い猫の爪に菌を塗って引っかかせたのだと推理するが、シャーロックは一蹴。犯人は使用人のラウルだった。次は画廊のガードマン、アレックス。テムズ川の岸で死体で見つかる。素手で顔を押しつぶして殺す手口から、シャーロックはゴーレムと呼ばれる殺し屋ズンザの仕業と推理。ゴーレムやってる人は身長が218センチもあるらしい。シャーロックとジョン二人がかりで組みつくが、なぜ足を狙わないのだろう。結局逃げられてしまったが、いつかまた出てくるのかな。

大いなるゲーム4

巷ではフェルメールの絵が発見され、3000万ポンドの値が。アレックスが働いていた画廊で今夜お披露目されることになってる。天文学に熱中していた彼は、絵の中に描かれた超新星を見て、フェルメールの時代にはまだ見つかっていない・・したがって贋作だと見抜いたようで。彼に助言した女教授もゴーレムに殺される。このエピソードは、シャーロックはある分野では驚くほど無知だというのを表わすのが目的。「緋色の研究」によると、シャーロックは文学、哲学、天文学の知識ゼロ。政治学の知識はきわめて薄弱、園芸については全く無知・・などとなってる。彼に言わせれば記憶の容量は決まっているのだから、余計なものは入れない。むやみに知識を詰め込むから取り出せなくなるのだ・・と。たぶん恋愛も彼にとっては余計なことなんだろうな。友情は別だけど。アレックスのが四番目、ウェストの件も解決し、シャーロックはテレビの俗悪番組にツッコミを入れる。このシーンもポアロみたいでおかしい。フラッシュメモリーはマイクロフトに渡したとジョンには言うが、これはウソ。メモリーがモリアーティの狙いだと気づいた彼は、わざと荒れてジョンがサラに会いに行くよう仕向ける。一人になるとすぐモリアーティにメールし、プールへ。そもそもカールのプールでの水死から始まったんだし。DEEP ENDという表示があるけど、そういう題名の映画があったな。邦題は「早春」。いよいよ対決・・と思ったら出てきたのはジョン。たいていのことには驚かないシャーロックだけど、これにはびっくりしただろう。一瞬、ジョンがモリアーティ?って。その後あのジムが現われた時もびっくりしただろうな。ゲイって決めつけて分析終わりとなって意識から消去・削除。わざとケータイ忘れていったのに、何も気づかない。このケータイはどうなったんだっけ?ジョンがモリアーティにつかまった経緯も不明。サラのこと何も言ってないから巻き込まれてはいないだろうが、いろいろ省略されてるなという感じ。モリアーティはメモリーをプールに捨てちゃう。いい金儲けの種になるけど、彼にはどうでもいい。

大いなるゲーム5

手に入れようと思えばいつでも手に入れられる。もうお金なんかいっぱい持ってるだろうし。彼にはゲームが終わってしまうことがつまらない。シャーロックは邪魔ばかりするから始末したいけど、その反面生かしておいて、またゲームの相手をさせたい。シャーロックと同じでモリアーティも退屈が一番嫌い。で、あれこれあるけど、ここはちょっと長い。最初ジョンが現われて、シャーロックがかたまってしまうところで次シーズンへという手もあった。ジムが出てきたところでという手もあった。最初の対決が終わってやれやれとなったところで終わってもよかった。モリアーティが行ってしまって、シャーロックがジョンから爆弾むしり取って、遠くにほうり投げる。ジョンは半分上着が脱げたままへなへなっとくずおれる。ここらへんのあれこれで終わってもよかった。でもなぜかモリアーティは戻ってくる。この部分がちょっと余計。でも、作り手はモリアーティがいなくなった時のあれこれをどうしても(←?)入れたかった。ジョンがモリアーティにしがみついて、シャーロックを助けようとしたこと。「身を挺してくれて」、そこで二人の仲はぐっと近づいた。今まではちょっとぎくしゃくすることもあったけど、いざとなれば命もかけるほどの友情。真っ暗なプールで上着をうんぬんのセリフも意図的(←?)。たぶん放映後のチャットはにぎわったことでしょう。誰にも見られなくてよかった?アタシ達がしっかり見ていたゾ!!・・とか。しかもうつし方が・・(以下自粛)。そこへモリアーティが戻ってきて、振り出しに戻るわけです。この時のシャーロックの顔のアップはあんまり美しくない。1話で犯人にスポンサーは誰だと言わせようとする時の顔もよくなかった。うつし方によっては平凡に見えちゃうのがカンバーバッチの不思議なところ。てなわけでシーズン1について書いてきたわけだが、私の評価は10点満点でパイロット版が満点、1話が9点、2話が5点、3話は8点といったところか。3話は次々にゲームが仕かけられ、頭がごちゃごちゃしてくる。それに無理にブルース・パーティントンの件がくっつけられている感じ。