シャーロック2

シャーロック(ベネディクト・カンバーバッチ版)2

シャーロック2の1 ベルグレービアの醜聞

前回シャーロックをベラルーシへ行かせたのはモリアーティなのかしら。シャーロックを追っぱらっておいて、ベイカー街の地下室へ忍び込んだとか。まあ、手下にやらせたのかもしれないけど。コメンタリーによると、シーズン1の3話と、この1話とでは、一年半間があいてるのだそうな。プールのシーンは全くの続きだから、同じに見せるのはさぞ大変だったことだろう。ヘアスタイルとかね。今回の目玉はアイリーン・アドラーの登場。演じているララ・パルヴァーは「ジェームズ・ボンドを夢見た男」に出ていた人。彼女もカンバーバッチもどちらかと言うと爬虫類系。やっとちゃんとした美人が出てきたなとは思うけど、胸はぺちゃんこだし、目のアップになるとシワが多いのに驚く。まだ30を過ぎたばっかなのにねえ・・。とは言え、アイリーン役としては合格。猫みたいな感じがいい。全裸で登場したり、シャーロックからカラーを取って歯にはさんだりと、意表を突く行動に出る。いかにも裏社会を生きてきたという感じも出ている。モリアーティとの対決が持ち越しになり、またシャーロックには退屈な日々。ジョンのブログのせいで次々に依頼人が来るが、そのどれにも食指が動かない。でも、その中には後になって考えてみれば重大な事件に繋がっているのもあったんだけど、シャーロックは気がつかなかったと。レストレードからも依頼は来るが、詳しい描写はない。ちゃんと解決したのか、途中でおっぽり出したのか。車のトランクから見つかった男性の死体。持ち物から見て飛行機に乗っていたらしいが、その飛行機は墜落していた。これなんかシャーロックの興味を大いに引くはずで。アイリーン関係のことに忙殺されたとしても、彼なら絶対この謎を突き止めようとするはずで。太っちょの依頼人の登場の仕方は「プライオリ・スクール」風、バッキンガム宮殿へ連れていかれ、依頼人の名は明かせないと言われるところは「高名の依頼人」風。他にコメンタリーによれば「ギリシヤ語通訳」や「まだらの紐」でも遊んでいるようで。主な元ネタは「ボヘミアの醜聞」。アイリーンは、ホームズが心を動かされた唯一の女性として描かれることが多いが、恋愛感情ではなく、自分を打ち負かした才気に敬意を払ってのこと。

ベルグレービアの醜聞2

だから「エレメンタリー」みたいな描き方されると、ちょっと違うんじゃないの?と思ってしまう。ありがたいことに、「シャーロック」ではそこまで行かない。自分一人の才覚でのし上がって、いろいろ後ろ暗いことはやっているけれど、純粋なところもあって。たいていの男どもは操れるし、女だって。でもシャーロックは違った。自分と似ているところはある。対等に渡り合える頭脳の持ち主。世間の常識にとらわれない自由さ。たぶん欲得抜きでこんなに興味を引かれた男性はシャーロックが初めてだろう。でも彼女の思いは彼には通じない。ラスト、処刑されそうになっているのをシャーロックに助けられるが、彼を動かしているものは恋愛感情ではない。彼女の首をはねようとしたカラチの連中にも、彼女の魅力は通じなかったってことだ。私がこのエピソードで一番印象に残ったのはそのこと。性的魅力、美しさ、策略・・何でもいいけど、とにかくそういうものの通じない問答無用の世界がこの世にはあるのだ。だから自分の身を守る保険が必要で。それが情報の詰まったケータイだった(それともスマホ?持ったことないのでわからん。以後それらしきものはすべてケータイと表記します)。でも、命綱であるそれはシャーロックの手に渡り、しかもロックを解かれてしまった。あんなに懇願したのに・・。ラスト、シャーロックがカラチくんだりまで彼女を助けに来たのは、気がとがめたからか。さて、最後まで書いちゃったけど、後戻りして・・。太っちょの依頼の件・・ハイカーの死・・で、ちょこっとダニー・ウェッブが出てくる。コメンタリーで、「いつもオドオドしている」と言ってたのが笑える。もっと出て欲しかったのに。現場にはジョンを行かせ、自分は彼がパソコン越しに送ってくる映像を見て推理。ちょっと見ただけでもう彼にはハイカーの死因がわかる。でも、彼もジョンも宮殿へ連れていかれてしまい、後はどうなったのやら・・。シャーロックは着替えを拒み、体にシーツを巻きつけただけ。真っ白なシーツと、シャーロックのピンク色の肌。この世のものとは思えないほど美しいシーンが続く。透き通った美しい瞳・・ほへ~。コメンタリーによると、カンバーバッチは転倒したそうだが、そのシーン使って欲しかった。美しい室内調度にも負けないカンバーバッチの美しさ・・はへ~。監督さん、カメラさん、照明さん、ありがとうございます。

ベルグレービアの醜聞3

後で出てくる、顕微鏡覗いているところも美しかった。こんなに顕微鏡の似合う男優が他にいるだろうか、いやいない。どうして顕微鏡メーカーは彼にCMを依頼しないのか!ジョンと一緒にソファに座っているところもいいムード。男はいつまでたっても悪ガキ。で、マイクロフトが出てきて、もう一人は侍従らしいが、さるお方のまずい写真がアイリーンの手元にあって、取り戻して欲しいとか何とか。じゃあ今回のメインはそれかな・・王室のスキャンダルを未然に防ぐための、アイリーンとの駆け引きあれこれかな・・と思っていると、途中でどうでもよくなる。無理に仕事につかせたくせに、マイクロフトは途中で手を引けと言ったりするし、どうもわからん。最初いい感じで始まったのに・・。一番わけがわからないのは、飛行機の中が死体だらけで、その理由が明かされ、ついでに例の男の死体の件もここで理由が半分わかるんだけど・・。少し前デュッセルドルフで飛行機が墜落したが、あの死体はそれに乗せられるはずだったらしい。テロ組織をだますための作戦らしい。死者を出すのはまずいから、最初から死体乗せておく。シャーロックのところへ持ち込まれた相談のいくつかは、この死体集めのせいで生じたもの。ここらへんはうまいが、あの男性がなぜトランクから見つかったのかという残り半分の理由は不明のまま。死体運搬者がいたはずだが。まあそれはいいとしても、マイクロフトがわざとシャーロックとアイリーンを近づけたみたいな感じなのはどういうことかね。弟が王室のスキャンダルもみ消しに動いている間に、自分の計画を・・って思ってたのかね。ところがシャーロックは飛行機墜落計画に気づき、そのことがアイリーンを通じてモリアーティにもれてしまった。そのため、計画はおじゃんに・・という流れなのか。それと何だかいつの間にか六ヶ月経過しているみたいで・・。もやもやもたもたスピードダウン。アイリーンも、ケータイをシャーロックに送って、一度は死んだと思わせておきながら(あの死体・・誰を身代わりにしたんだ?)、すぐに考え直し、返して欲しいと言ってくる。ここらへんも変な流れ。たぶん90分というのがネックなのだろう。いろいろ掘り下げ、じっくり描写できる反面、時間稼ぎのため余計なシーン入れるはめにもなる。

ベルグレービアの醜聞4

一度はこうしたのに、考え直すとか、場所を移してもう一度とか。作り手は、アイリーンとシャーロックの関係に目を奪われて、視聴者はそんなこと気にしないと思ってるかもしれないが、そうでもないのだ。あれはどうなったんだ、ここはくり返しだ、いらないんじゃないのか、そこんとこおかしくないか・・とか、あれこれ思いながら見ている。まあカンバーバッチの美しさに目を奪われ、アイリーンの刺激的なセリフ・・「慈悲を請わせたい」とか「首輪をつけて飼いたい」とか・・に妄想をかき立てられ、たいていのことは許しますけどさ。シャーロック自身はどう反応していいのかわからず、かたまっているのがおかしい。アイリーンが猫なら、シャーロックは子犬。さぞ首輪が似合うことだろう!とは言え、彼が・・と言うかカンバーバッチがトカゲか蛇に見えることもある。アイリーンへの感情とは違い、ハドソンさんへの感情は理屈抜きのもの。大事な人、守ってあげなければいけない人。だから怖がらせたり、ましてや傷つけるなんて・・許されないことで。あの美しい瞳が・・乾いて輝きのない、感情のない、人間的ではない目になっちゃうんです。そこがすごい。ケータイのありかを吐かせようとした男・・CIAらしいが・・は、シャーロックによって窓から突き落とされる。この男をにらみつける目の鋭いこと!どんな犯罪者に対してよりも冷たく、憎悪のこもったまなざし。さて、季節はクリスマス・・ジョンはサラと別れたらしく、その後も何人かと。今はジャネットだが、その彼女もシャーロックに振り回されるジョンにあいそつかして帰っちゃう。彼女はブスッとした顔つきで、嫌な女に見えるけど、ある意味賢いとも言える。楽しいクリスマスパーティのはずが、無礼なシャーロックのせいでムードぶち壊し。それでいてジョンは彼のことで気もそぞろ。何であんなやつのために自分まで時間を無駄にしなきゃならないのか。つまらない思いをしなきゃならないのか。モリーは精いっぱいおめかしして現われるが、そのいでたちや持ってきたプレゼントのことで早速シャーロックの分析攻めにあう。誰か止めなさいよ・・と、こっちまでハラハラ。

ベルグレービアの醜聞5

レストレードにも妻は不倫しているなんて言うし。それに対し、レストレードが黙っているのが気の毒で・・。そう言えば「エレメンタリー」でもグレッグソンは妻とうまくいってなかったっけ。不倫してるかどうかホームズに調べて欲しいけど、プライドが許さないみたいな複雑な気持ち。今のレストレードもそうかもね。でもあんなふうにズバッと言われちゃって・・ああやっぱり・・みたいな。モリーの渾身の(?)プレゼントが何だったのかは不明。シャーロックときたら別のプレゼントに気を取られ・・。あれ?あの「アハ~ン」メール送ってきたの誰?だってその時にはもうアイリーンは死体となって安置所に・・(身代わりだけどさ)。モリーにすればいったいどうなってるのか・・と気になる。シャーロックへの思いが実りのないものだってのはわかっている。でもそれでも何とか彼と関わっていられるのは、彼が他の女性にも興味がないとわかっているから。自分だけではないのだ。今日だって精いっぱいおしゃれして、レストレードだってそれなりに反応してくれたのに、シャーロックときたら容赦なく分析して終わり。さすがに後悔したらしく、珍しくあやまってくれたけど、それもつかの間、他のことに気を取られてしまう。直後に顔をつぶされた死体と対面、体を見ただけですぐ身元わかったみたいだし、いったいどういうこと?何で裸見てわかるの?この時のモリーはいつもの格好に戻っている。いつものさえない女の子。クリスマスなのに・・非番なのに・・何で死体と?でも世の女性達は思う。あなたも私もアイリーンにはなれない。あなたも私もそこらにいるイケてない女の子。でもあなたは時々シャーロックと一緒にいられる。多くの場合無視されたり無慈悲な分析の対象にされたりするけど、それでもそばにいられる。それだけでも十分なんじゃないの!?この作品・・原作もそうだけど、ジョンの目線、視点で語られることが多い。でもそれと同じくらいモリーの目線、視点も印象に残る。彼女が果たす役割は大きい。てなわけで、事件そのものはうやむやな感じで残念だったけど、1話目としては期待を裏切らない出来。今回はシャーロックの寝室も出てきたんだよな。アイリーンに打たれた薬のせいでフラフラしたり引っくり返ったり、かわいかった・・。

シャーロック2の2 バスカヴィルの犬(ハウンド)

「シャーロック」は1シーズン3話ずつだが、初回はサプライズで始まり、3話は盛大なフィナーレで締めくくることになり、2話目は何をやるか決めるのが一番面倒なのだそうな。「バスカヴィル家の犬」は何度も映像化されているので、作り手がこれまでにないものを・・と意気込んでいるのはわかる。でも・・成功していない。シャーロックは例によってイライラ状態。コカインをやるわけにはいかないから、タバコの禁断症状にしてある。光るウサギがいなくなったとか、ろくな事件しかないのもイライラに拍車をかける。そんな時に訪ねてきたのがヘンリーという青年。最初のうちシャーロックは興味を示さない。20年前ダートムアの湿地にあるデュワーズ窪地で、ヘンリーの父親が怪物に殺される。遺体は見つかっていない。目撃していた幼いヘンリーはトラウマに悩まされている。セラピストのモーティマーに勧められ、自分と向き合うため村へ戻ってきたものの、再び怪物を見、幻覚に悩まされている。近くにあるバスカヴィル研究所では、怪物を作っているといううわさがある。おかげで村は観光客が増えたけど。シャーロックが興味を示し始めたのは、ヘンリーの”ハウンド”という言葉がきっかけ。怪物は犬のようだが、なぜドッグではなくハウンドと表現したのか。村へ向かう車を運転するのはシャーロック。なぜジョンじゃないんだろう。宿では早速「ダブルベッドじゃなくて悪いね」と言われる。忘れていませんよと言わんばかりのゲイネタ。シャーロックは観光ガイドのフレッチャーにカマをかける。どうせウソなんだろう?でも相手はマジだ。フレッチャー役スティーブン・ワイトはどこかで見たような顔だ。彼が怪物を見たのは、霧でお客が少ない時。この霧ってのが実は曲者で。次にシャーロックとジョンは研究所に入り込む。マイクロフトから盗んだ許可証を使い、バレるまでの間に何とか情報を得ようとする。二人のピンチを救ったのは研究者の一人フランクランド博士。ヘンリーの父親の友人で、シャーロックのこともジョンのブログも知ってる。こんな感じで進んでいくのだが、今いち盛り上がらない。ヘンリー役ラッセル・トヴェイに魅力がない。重要な役だしもうちょっと見映えのいいの出してくればよかったのに。

2 バスカヴィルの犬(ハウンド)2

ヘンリーは一族最後の生き残りで、かなりの金持ちらしいが、詳しいことは不明。ここを離れて何をやっていたのか。ここへ帰ってから何をやっているのか。幻覚におそわれ、おびえているだけ。コメンタリーによると、トヴェイはホームズ物は全然読んでいないようで。役を射止めた時、「バスカヴィル家の犬」くらいは読んでおこうと思わなかったのか。ヘンリーも彼も何もしないという点では共通している。それにしてもヘンリーの家は・・ガラス張りでカーテンがなく、外からベッドがまる見え。防犯装置だけじゃなく、カーテン付けたら?途中で彼だけじゃなくシャーロックも怪物を見るが、認めようとしない。カンバーバッチの横顔のアップを延々とうつすが、ここはあまりよくない。鼻の下が・・彫刻刀で削るべきところをし残した・・みたいな感じで美しくない。それにこういうふうにオタオタするのはシャーロックらしくない。作り手は彼がだんだん人間らしくなっていくのを描きたいようだが、そんなの必要ない。常人とかけ離れているからこそ彼は魅力的なわけで。彼は自分もヘンリーもクスリを盛られたのでは・・と、ヘンリーの家にある砂糖を疑う。ブラック派で普段は砂糖を使わないジョンのコーヒーに入れて反応を見る。研究所でジョンが恐怖におそわれるところは意味がよくわからない。シャーロックが砂糖を分析するが何も入っていない。・・別にジョンに試さなくたって最初から砂糖を分析させてもらえばいいだけの話で・・ジョンの見せ場を作りたかったのか。後で、研究所内に漏れた微量のガスのせいで・・とか言っていたが、わかりにくい設定だ。ジョンがたまたまガスを吸ったってことは、他の所員も吸う可能性があるってことになっちゃう。この頃にはヘンリーのノイローゼも頂点に達し、自殺を図ろうとしたりする。結局フランクランドが極秘に毒ガスの研究をしていたのをヘンリーの父親に知られてしまったとか、霧に見えたけど実は毒ガスだったとか、そんなふうで何となく解決。ラストはなぜかつかまってるモリアーティが、なぜか釈放されるのをうつす。何だか低調で、こんなんで大丈夫?と、心配になる出来。

シャーロック2の3 ライヘンバッハ・ヒーロー

前に見た時は意味がよくわからなかったけど、シーズン4を見終わってから再び見ると、また印象が変わる。冒頭ジョンが18ヶ月ぶりにカウンセリングを受けている。シャーロックの死をいまだに受け入れられない。で、三ヶ月前に戻る。次々に難事件を解決し、マスコミの寵児となったシャーロック。この頃のシャーロックは・・あのシャーロックだ。暑くても寒くても、晴れでも雨でも、昼間でも夜でも・・彼のまわりにはそこだけ澄んだ冷気が漂っている。黒々とした髪、コート、瞳、姿勢、声。途轍もなく冷静で無駄がなくて、そのくせ時々お茶目。モリアーティが連続して事件を起こし、逮捕されるが、わざとつかまったように見える。裁判では何の申し立てもしないが、なぜか陪審員は無罪の判定をくだす。釈放された彼はその足でベイカー街へ。シャーロックはそれを見越してお茶の用意をし、皿にはりんごが盛られ、彼はヴァイオリンを弾く。モリアーティは陪審員全員を脅し、審議をコントロール。例えば家族の誘拐とか。「誰でも急所がある」「傷つけたくない存在」「最後の問題」「実はもう教えてある」「聞いていたかな」・・なぜか多弁なモリアーティ。この時点では我々はシャーロックの急所、傷つけたくない存在はジョンのことだと思う。他にいたとしてハドソンさん。でもシーズン4を見終わると・・。陪審員達がそうだったように、シャーロックの急所も家族?マイクロフトが何かと引き換えに取引したのも、この時点ではどこにでも入れるキーのコードのことだと思っている。マイクロフトがシャーロックの情報を流し、モリアーティはそれを元にシャーロックをペテン師に仕立て上げる。その情報の中には妹のユーラスのことも含まれていたのでは?今になって前のエピソードを見ると、将来のことまでいろいろ考えて作られているのだ・・とわかる。と言ってシーズン4がおもしろくなるわけじゃない。どこかで何かが狂ったのだ。モリアーティの操作によって、シャーロックは自分で犯罪を犯し、自分で解決していたのではないかと疑われ始める。警察の専門家にも見つけられない手がかりを次々に見つけ、やすやすと解決するなんて普通はありえない。ドノヴァンやアンダーソンが疑い始め、レストレードをせっつく。シャーロックの普段の言動がそれに拍車をかける。

ライヘンバッハ・ヒーロー2

レストレード自身困ったことになる。民間の探偵に協力してもらっていたことが警視正にばれてしまった。新聞に暴露記事も出る。書いたのは女性ジャーナリスト、キティ。ん?「エレメンタリー」にもキティって出てたけど・・。シャーロックに冷たくあしらわれたキティの前に現われ、情報を提供したのがリチャード・・実はモリアーティ。モリアーティなんて実在しない。自分は役者でシャーロックに雇われただけ。ジョンにはとても信じられないことだ。カンバーバッチ同様アンドリュー・スコットの演技も自由自在だ。前に見た時はわざとらしさの方が先に立ってあまり好きじゃなかったが、裏側にあったことがわかってから見れば、印象も変わってくる。金儲けも犯罪もモリアーティを満足させない。世の中凡人ばかり。シャーロックの存在だけが彼を楽しませてくれる。相手にされないのはプライドが許さないから、意地でも自分の方を向かせる。彼はどこまで自分についてこられるのか。でも残念なことにこの世では二人で同時に存在することはできないのだ。どちらかが消えなければならない。自分の分身、片割れなのに。負けを認めて自殺をするようそそのかすモリアーティは「レベッカ」のデンヴァース夫人みたいだ。飛び降りなければ三人の命はないぞ。ジョン、ハドソンさん、レストレード。この時点ではモリーは候補にあがらないのか。4の3では彼女が標的だったが・・。モリーは自分なんてシャーロックにとっては空気と同じだと思っている。そばにいるのに見えてない。でも、せっぱつまったシャーロックが頼るのはモリーなのだ。ジョンではなくて。それにしてもシーズン4の、より人間味を増したシャーロックに、モリーが距離を置こうとするのは皮肉な話だ。この頃の取っつきにくいシャーロックの方が、まだ(モリーに対し)吸引力があった。DVDには特典で撮影の裏話がおさめられている。シーズン1の成功がウソみたいと、みんなして喜んでいるのが今見るとういういしい。インタビューに答えるカンバーバッチには、こぼれるような美しさ、色気がある。キラキラと輝いている。