シャーロック3

シャーロック(ベネディクト・カンバーバッチ版)3

シャーロック3の1 空の霊柩車

ロンドンの街並みを見てシャーロックが戻ったことを実感したように、テレビ画面のシャーロックを見て誰もが思ったことだろう。待ちに待ったシャーロックがやっと見られる、お帰り・・と。二年の間、彼はモリアーティの組織をつぶして回っていた。セルビアにいた彼を連れ戻しにきたのはマイクロフト。地下テロ組織がどうたらこうたら。その頃ロンドンではやっとシャーロックの潔白が証明されて。ジョンは医者に戻り、似合わないヒゲを生やし、メアリーに結婚を申し込もうと思っている。いきさつはあまり説明されないが、彼女は看護師に応募してきたのか。プロポーズの最中にシャーロックが現われるが、素直に喜べない。シャーロックが自殺を偽装したのは、ジョンやハドソンさん、レストレードの命が狙われていたから。その後も秘密にしたのは組織を壊滅させるため。その方が都合のいい場合だってある。この時のシャーロックは楽観的だ。自分が生きていると知れば、ジョンは素直に喜ぶと思い込んでいる。すぐにまた事件解決に協力してくれると思っている。意外なことに彼は、ジョンが結婚しようとしていることは・・気にしてないようで。もちろんメアリーからいつものようにいろんなことを読み取る。その中で(見ている者が)引っかかるのは「娘が一人」と「嘘つき」である。前者は・・未来を透視したとしか思えない。後者は・・まさか後になってあんな過去があろうとは誰も思っていないが、シャーロックにはわかったのだ。ただ、口をつぐんでいたのは・・?ところでハドソンさんはいつものように笑わせてくれる。ジョンが結婚するつもりだと知ると「彼の名前は?」。シャーロックが戻った時の、ノドチンコまで見える叫びもおかしい。レストレードとは余計な言葉はなしで、しっかり抱き合う。この二人に比べ、ジョンはいつまでも拗ねてる。モリーは・・。偽装には彼女の協力が不可欠だった。しかし彼女はこの後次第に重くなるのだ。シャーロックのことを思っているけど、一般の恋人のような関係になれないこともわかっている。ずっと一人というわけでもなく、今回新しい恋人も登場。モリアーティの時は容赦なく分析したシャーロックだけど、今回はノーコメント。モリアーティの正体を見抜けなかったから?モリーに気を使って?とにかく彼女はこの後暗くてどよ~んとしてくるのだ。見ている者は彼女には幸せになって欲しいのに。

空の霊柩車2

この回で一番ハラハラするのはジョンが拉致され、危うく焼き殺されるところだったシーン。この件は地下テロ組織の件とは無関係か。直接3話目に続くのか。地下テロ組織の方は、地下鉄の車両、使われていない線路、大量の爆薬。首謀者はモラン。原作だとモリアーティの一番の部下で、シャーロックが生きていることを知っていて、執念深く命を狙う。でもこちらは・・モリアーティと関係あったっけ?さて、偽装の真相だが、あっちでもこっちでも盛り上がったようだ。室内での撮影と違い、屋外ロケだと見物人がいるから、ばれてしまうかも。でも、三種類くらいとるから、見ている者にはどれが真相なのかわからない。冒頭バンジージャンプの要領で飛び降りた後、反動を利用してモリーのいる部屋へ・・これはアンダーソンの説だ。モリーが窓を開けておかないのは変だけど。だって窓ガラスを破るのは危険だし、破片もそこらに散らばる。アンダーソンはシャーロックが生きていると思い込んでいるが、それは罪悪感のせいだ。後でシャーロックはアンダーソンに真相を話すが、エアーマットに着地するというのは普通すぎて信じられない。アンダーソンになぜ話すのかも不明だが、ジョンに話さないのはわかる。ジョンにとっては「どうやって」はどうでもいいのだ。なぜ自分に知らせてくれなかったのかにこだわる。一番傑作なのはアンダーソンが作ったファンクラブ「空の霊柩車」のメンバーの説。屋上に立っているのはちゃちな人形で、後ろでシャーロックは(文字通り)糸を引いている。隣りにはモリアーティ。狼狽するジョンは見えないけど(見えたらばれる)、ケータイの声でわかる。二人して笑っていたずらっ子みたい。で、ふと目が合って真顔になってそのまま顔を近づけ・・。もちろんアンダーソンは真面目にやれと怒るけど、この説を考えたのは太めでギョロ目で鼻ピアスにゴスメイクのブサイクな女の子。話も笑えるけどこの女の子も笑える。だって彼女はアンダーソンみたいな罪悪感は感じてない。腐女子が考えそうなことを口に出しただけ。しかも映像化までしてくれて・・作り手の皆さんありがとう!繋がりという点ではモリアーティだってジョン以上。結局シャーロックは最初に会った時からモリアーティの自殺願望に気づいていたのだ。でも・・まさか自分の目の前でとは思っていなかったよね?それともわかっていたの?

シャーロック3の2 三の兆候

さて問題の第2話だ。見るのは二回目。一回目はとにかくスピーチの部分が果てしなく長く感じられた。誰でも経験がある、あの感じ。結婚式や忘年会その他・・やっと終わったと思ったら「続きましては・・」と来る。料理が冷めてくる。ひからびてくる。ここではシャーロックがしゃべりまくる。珍しく真っ昼間・・思う存分彼を見ることができる。美しい、透き通っている、この世のものとは思えない。でも内容は・・。まあ二回目だから今回は少しはわかった。冒頭のレストレードとドノヴァンを悩ます事件は結局どうなったのか。解決しないのはシャーロックの協力なしでやってるからか。でもドノヴァンは意地でも力を借りたくないだろう。結婚式の準備の合間の息抜きにと依頼人・・近衛兵のべインブリッジに話を聞きにいくが、彼は密室で凶器もなしに刺されていた。結局未解決。次に看護師テッサが亡霊とデートしたと言ってくる。シャーロックとジョンが酒場めぐりをする意味がわからん。何かの風習なのか。おでこに紙を貼りつけてやってるのは何かのゲームか。テッサが相談に来たのは二人がぐでんぐでんに酔っ払っている時。亡霊とデートしたのは彼女の他にも四人いる。彼女達には何か共通点があるはずだ。最初に見た時はここらへんでうんざりしてしまった。式なら式、事件なら事件、どっちかにしろっての。それにべインブリッジとテッサが二人してシャーロックに相談持ちかけるのは偶然すぎる。さてジョンは結婚しても今までとは変わらないと思っている。シャーロックもそうだ。ジョンとメアリーはすでに同棲している。新婚旅行から戻ればまた一緒に住む。何も変わらない。もちろんハドソンさんの意見は違う。話を戻して夜になってもまだやってる。招待客はさぞ疲れたことだろう。見ているこちらもうんざりだ。みんなに見守られてジョンとメアリーが踊る。何てロマンチック・・ケッ、いいかげんにしろっての。そのうちシャーロックはパーティから抜け出す。彼にとって観客はジョン一人がいればいい。でも、そのジョンも今はメアリーのものだ。せいぜいよくて半分こ。

シャーロック3の3 最後の誓い

3話も見るのは二回目かな。2話目でドボンという感じだったから、少しはマシな出来に思えるけど、メアリーが(どんな理由があるにせよ)シャーロックを撃つのは許せないし、シャーロックがマグヌセンを撃ち殺すのも、あってはならないことだ。シャーロックを撃ったけど、実は命の恩人なのだ・・なんてのは承服できないし、シャーロックが殺人犯になるのもいけない。物事には限度ってもんがある。マグヌセン役はラース・ミケルセン。長身でやや猫背、無表情。有能なビジネスマンだが、冷酷な脅迫者でもある。彼に比べればモリアーティの方がまだマシ・・と思えてしまうほど不快なやつ。まずスモールウッド議員が夫の過去の行状のことで脅迫される。彼女はシャーロックに交渉を依頼するが、結局夫は自殺?ジョンが近所の人に頼まれて麻薬漬けの息子を連れ戻しにいったら、何とシャーロックもいた。ここらへんは「唇のねじれた男」か。シャーロックの狙いは、麻薬が弱点とマグヌセンに思わせること。そのために本当にヤクをやり、怒ったモリーにひっぱたかれる。マグヌセンはベイカー街に現われ、あろうことか暖炉に放尿。こういうとんでもないのがいると、シャーロックはまともにならざるをえない。人の弱味につけ込むやつ・・と嫌悪感でいっぱいになる。いつものシャーロックなら、つけ込まれる方が愚かなのだと気に止めないはず。今回びっくりさせられるのは前回出てきたジャニーンがシャーロックと付き合っていること。寝室から出てきた彼女を見てジョンはびっくり。しかもシャーロックのいる浴室へ入って行った!!その後シャーロックがマグヌセンのことを話しても、ジョンは半分うわのそらで、ここらへんはよかった。彼の反応は見ている我々の反応でもある。信じられない、現実か?マグヌセンのことよりそっちの方が気になる。もちろん見ている者・・女性達はシャーロックが芝居をしているのだと信じる。後でジャニーンはマグヌセンの秘書だとわかる。彼のオフィス兼住居に侵入するための芝居。二人の間には何もなかったこともわかり、女性ファンは一安心(それでもうらやましい!!)。原作・・「犯人は二人」・・ではホームズはメイドを誘惑して婚約するし、ジェレミー・ブレット版ではキスシーンまで。ホームズらしくない行動にびっくりだ。

最後の誓い2

侵入したら先客がいて、マグヌセンに銃を突きつけていた。シャーロックはてっきりスモールウッド議員だと思うが、そこにいたのはメアリー。しかも彼を撃つ。まあこの3話は見ている者をびっくりさせようとあの手この手。まずシャーロックの麻薬、ジャニーンの再登場、撃たれて死にそうになるシャーロック、メアリーの正体。そのせいでマグヌセンの秘密情報庫は・・ちょいとインパクト不足。あらゆる情報はパソコンではなく、書類の形で保管してある。その中にはメアリーの情報も。シャーロックはマイクロフトのパソコン・・国家機密の詰まった・・を代償として差し出す。ところが・・書類なんてないのだ。もちろん保管庫も。マグヌセンが資料を取り出すシーンがうつるけど、あれは見ている者をだますため。マグヌセンのメガネに情報がうつるのも、実際は何もなし。すべてはマグヌセンの頭の中。記憶として保管されている。じゃあ形のあるもの・・手紙とか写真もなし?言葉だけで脅していたの?あの時シャーロック達が侵入していなかったら、メアリーは彼を撃ち殺していたのかな。彼女がシャーロックに気づいた時は、マグヌセンにとってチャンスだったと思うけど、何もしてなかったな。意外と行動は鈍い。あと、シャーロックに頭の中だけにしか存在しないのだなと念を押された時、気づかなかったのかしら。自分が死ねばすべて終わりなんだって。だいたいボディガードが身体検査もせずジョンとシャーロックを連れてきたこと自体おかしいんだけど。ベイカー街ではちゃんとやっていたじゃん。前回あたりから「赤ひげ」だの「東風」だのシーズン4に向けた言葉が出てくる。もちろんこれを見ている時点では何のことやらわからないんだけど。シャーロックは死にそうになったり生き返ったり忙しい。入院しているシャーロックは美しかったな。肌がすべすべで・・。1話目が11月で、結婚式が6月くらい、そして3話目は式の一ヶ月後から始まって、今はクリスマスだ。シャーロックは傷も治り、メアリーのおなかは大きくなり、モリーはトムと別れたようで。1話目のジョンのピンチはマグヌセンの仕業。ちゃんと撮影してあって、「姫君の救出」なんて言ってる。たぶん見ている我々・・特に女性は「そう、そう」とこの時だけはマグヌセンに同意したことだろう!