〜写真で見る極限の世界〜

長倉洋海(フォトジャーナリスト)×関野吉晴

『極寒シベリアのトナカイ遊牧民の暮らしと文化、世界観』




長倉洋海の一番最近の取材はシベリア西部の先住民で大規模なトナカイ飼育を展開するネネツの夏と冬の暮らしぶりと彼らの文化だ。広大なシベリアの中でも数千頭規模のトナカイを飼育しているのは西のネネツとシベリア最東のチュクチだ。トナカイがたくさんいるとトナカイ飼育だけで生きていける。

関野吉晴は大規模飼育をするチュクチの他に数百頭規模でトナカイを飼育するカムチャッカ州のと、世界最寒の山脈と言われているサハ共和国のベルホヤンスク山脈に住むヤクートのトナカイ飼育民と暮らし、一緒に旅をした。

トナカイ飼育だけでは生きていけないので、野生動物の狩猟と漁労をして補っている。トナカイ飼育民というより、トナカイを狩っている狩猟・漁労民と名付ける方が敵背だと思う生活をしている。また海岸部のアザラシ、セイウチ、クジラを捕っている狩猟民との協力関係も見逃せない。(関野吉晴記)


極北のツンドラ地帯でトナカイを追いかけて暮らす人びとがいると知った。トナカイの餌となる草やベリー、冬場の苔を求めてソリを操り、テントで寝泊まりしバガラ移動するという。木も生えず、作物も収穫できないところで、その人たちは何を食べ、どんな生活をしているのだろう。私たちの生活とはまったく違う彼らの生活の中に入り、一緒に暮らし、そこで目にしたものを写真に撮りたい。そんな思いを持って今年の2月と8月、ネネツの人々を訪れた。(長倉洋海記)




長倉洋海プロフィール(長倉洋海HPより)

1952年、北海道釧路市生まれ。京都での大学生時代は探検部に所属し、手製筏による日本海漂流やアフガン遊牧民接触などの探検行をする。1980年、勤めていた通信社を辞め、フリーの写真家となる。以降、世界の紛争地を精力的に取材する。中でも,アフガニスタン抵抗運動の指導者マスードやエルサルバドルの難民キャンプの少女へスースを長いスパンで撮影し続ける。戦争の表層よりも、そこに生きる人間そのものを捉えようとするカメラアイは写真集「マスード 愛しの大地アフガン」「獅子よ瞑れ」や「サルバドル 救世主の国」「ヘスースとフランシスコ エルサルバドル内戦を生き抜いて」などに結実し、第12回土門拳賞、日本写真協会年度賞、講談社出版文化賞などを受賞した。

2004年、テレビ放映された「課外授業・ようこそ先輩『世界に広がれ、笑顔の力』」がカナダ・バンフのテレビ祭で青少年・ファミリー部門の最優秀賞「ロッキー賞」を受賞。2006年には、フランス・ペルピニャンの国際フォトジャーナリズム祭に招かれ、写真展「マスード敗れざる魂」を開催、大きな反響を呼んだ。






ー講座内容ー



coming soon



この講演は2019年12月19日に武蔵野美大 三鷹ルームで開催されました。