週末は田舎暮らし〜ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記〜

講師:馬場未織×関野吉晴


ー講座概要ー



馬場未織さんは建築ライターとして活躍する傍ら、NPO法人南房総リパブリックの理事長としても知られていて、東京と南房総に家を持つ、いわゆる『二地域居住者』のトップランナーです。その暮らしぶりを描いた「週末は田舎暮らし」(ダイヤモンド社 2014)は、国内のみならず中国語、韓国語、台湾語でも翻訳出版されていて、注目を集めています。馬場さん家族(旦那さんとお子さん3人)は、別荘のような、都合のいい時に南房総に訪れて余暇を楽しむというようなスタイルではなく、文字通り週末に南房総の家で生活をしています。草刈りをしたり、野菜を育てたり、近所付き合いをしたり、東京と南房総のどちらにも軸足を置いています。馬場さんが南房総リパブリックを立ち上げたのも、南房総の良さを発信したい、世話になっている地域の人にお返しをしたいという思いからで、「里山学校」という観察会を開催したり、空き家を調査したり、廃校を使ってマルシェを開いたり、いろんなことに取り組んでいます。また、千葉県に多大な被害をもたらした台風15号と19号。馬場さんも被災したわけですが、二地域居住者だからこそできることを見出して、復旧支援に奔走しています。

https://wedge.ismedia.jp/articles/-/17741?layout=b

この秋の台風・大雨の被害は、今後も日本に暮らしていく上で、防災や復旧支援のあり方など、考えなければならないことがたくさん提示されたように思います。 被災の当事者でありながら二地域居住者という特殊な立ち位置で復旧に携わる馬場さんの話は、このタイミングで実現できたらとてもいいのではないかと改めて思い、対談することにしました。




ー講座内容ー





coming soon



ー講師紹介ー


馬場未織(建築ライター・コーディネーター)

わたしには、家がふたつあります。

ひとつは東京の真ん中に。もうひとつは、南房総の里山に。

このふたつの家を行き来して生活する「二地域居住」を実践しています。

生まれた時からずっと都心に住み、土いじりや野遊びとは縁遠い子供時代を過ごしてきました。また、結婚前まで千葉学建築設計事務所に勤めて建築僧侶のように修行に励み、ヒマさえあれば美術館や展覧会、コンサートに行くという脳内享楽系人間そのものの日々を送ってきました。それが、縁あって南房総にセカンドハウスを持つことになり、わたしの生活は突如一変しました。

都心で建築雑誌の執筆や建築イベントの企画運営をする平日業務が終わると、「さあ、行くよ!」と号令をかけて子供らとネコらを車に詰め込み、アクアラインをびゅーんと渡って南房総へ移動。日があるうちは野良仕事に精を出し、夜は古い農家で雑魚寝するという週末里山暮らし。まわりからは「そんな無謀な生活、続かないよ」とやんや言われるも、2007年からこのライフスタイルを続けています。途中で第3子の妊娠出産も経験し、デコボコ珍道中も人生の一部と楽しんでいる次第です。

家を2つも持つなんて、非合理、非効率極まりない、と当初は自分でも思っていました。でも、合理的なことより、大切なこともある。畑で作物を育て、こどもを育て、自分も育つ。虫やカエルを追いかけ回し、親も子もなく楽しみを共にする南房総の里山は、家族の歴史を刻むかけがえのない故郷になっています。

そして、故郷ともなれば、その場所の未来は他人事ではなくなるもの。 今はこんなにも豊かな南房総の里山ですが、いつまでもこの環境を享受できるのだろうか? そんな問題意識を持つようになったのは、自然の成り行きだったかと思います。 こどもたちがこどもを生む時代まで、人と自然が共存する里山環境を保持したい。そのために今からできることは何だろう?と、考えつづけています。

愛情をかける存在は、こどもから里山、その先までひとつながりです。 そして、愛情をかけるところに、手もかける。自然豊かな場所でこどもたちを育てる環境をつくるためのこの活動を、多くの方々と共有できれば幸いです。

ブログ「南房総リパブリック!」

著書『週末は田舎暮らし』を出版しました。ぜひご購読ください。

山崎亮氏推薦!「すごくアナログだけど、とても未来的な生活だ。」 「平日は都会で働き、週末は田舎で過ごす」という暮らし方。「土地探し」から「地域との関わり方」「家庭菜園」まで、等身大のデュアルライフ入門。

(NPO法人南房総リパブリック公式ウェブサイトより)


この講座は2019年11月20日に武蔵野美術大学三鷹ルームで開催されました。