糞を食べる糞虫、死体を食べるシデムシなどは鼻つまみ者の生きものなのだろうか

講師:舘野鴻×高槻成紀×関野吉晴


ー講座概要ー



以下、高槻先生の文章より


(タヌキの糞から)もうひとつおもしろいことがわかりました。糞は時間をかけて分解され、土に帰っていきますが、そのときに糞虫といって動物の糞を食べるコガネムシの仲間がやってきて分解します。玉川上水にはコブマルエンマコガネという糞虫が一番たくさんいました。この糞虫はファーブル昆虫記に出てくるスカラベという糞を転がして運ぶ糞虫ではなく、大きさが5、6ミリほどしかない小さな虫で、糞の中にもぐりこんで糞を分解します。


私はこの糞虫を容器に入れて飼育してみました。容器にピンポン球ほどの馬糞をいれ、糞虫を5匹入れて飼育すると、半日ほどで糞は割られて、20時間くらいでバラバラにほぐされていましました。(高槻成紀)


高槻先生は鼻つまみ者とみられる糞中も一生懸命生きているだけでなく、生態系の循環の中で、大きな役割を果たしていると言います。(関野吉晴)



ー講座内容ー





coming soon



ー講師紹介ー


舘野鴻(たてのひろし)プロフィール:

1968、神奈川県横浜市に生まれる。札幌学院大学中退。幼少時より故・熊田千佳慕に師事。1986年北海道へ居を移し、昆虫を中心に生物の観察を続けるが、大学在学中は演劇、舞踏、音楽に没頭する。その後、舞台美術等の仕事をしながら音楽活動と昆虫採集を続ける。1996年神奈川県秦野に転居してからは生物調査の傍ら本格的に生物画の仕事を始め、図鑑や児童書の生物画、解剖図プレートなどを手がける。生物画の仕事に『ニューワイド学研の図鑑生き物のくらし』、『原色ワイド図鑑 昆虫Ⅰ・Ⅱ』(いずれも学習研究社)、絵本に『しでむし』『ぎふちょう』『つちはんみょう』(第66回小学館児童出版文化賞受賞・いずれも偕成社)、『はっぱのうえに』(いずれも福音館書店)、『宮沢賢治の鳥』(国松俊英・文/岩崎書店)、原作に『あまがえるのかくれんぼ』(世界文化社)などがある。


著書:

『しでむし』(偕成社)2009

『ぎふちょう』(偕成社)2013

『つちはんみょう』(偕成社)2016

『なつのはやしのいいにおい』(福音館書店ちいさなかがくのとも)2014

『はっぱのうえに』(福音館書店ちいさなかがくのとも)2019

(絵)

『こまゆばち』(福音館書店 澤口たまみ・作/舘野鴻・絵)2012

『世界の美しき鳥の羽根』(誠文堂新光社 藤井幹 イラスト・舘野鴻)2015

『宮沢賢治の鳥』(岩崎書店 国松俊英・文/舘野鴻・画)2017

『なりすますむしたち』(福音館書店 澤口たまみ・作/舘野鴻・絵)2018

(原作)

『あまがえるのかくれんぼ』(世界文化社 絵/かわしまはるこ)2019

(装画)

『ダニ・マニア』(八坂書房 島野智之著)2012

『野生のオーケストラが聴こえる』(みすず書房 バーニー・クラウス著)2013

『壁抜けの谷』(中央公論新社 山下澄人著)2016

『ツチハンミョウのギャンブル』(文芸春秋 福岡伸一著)2018



高槻成紀(たかつきせいき)プロフィール:

1949年鳥取県出身。1978年東北大学大学院理学研究科修了、理学博士。東北大学助手、東京大学助教授(1994-2007)、教授(2007)、麻布大学教授(2007-2015)を歴任。現在は麻布大学いのちの博物館上席学芸員。専攻は野生動物保全生態学。ニホンジカの生態学研究を長く続け、シカと植物群落の関係を解明してきた。最近では里山の動物、都市緑地の動物なども調べており、玉川上水ではタヌキを軸に生き物のつながりを調べている。食べ物を調べて種子散布をしていること、糞虫に食物を供給していることを示した。糞虫はタヌキの糞を分解することで循環に貢献し、おそらくは植物の生育を支援している。著書に「北に生きるシカたち」(どうぶつ社)、「野生動物と共存できるか」「動物を守りたい君へ」(岩波ジュニア新書)、「シカの生態誌」(東大出版会)、「唱歌「ふるさと」の生態学」(ヤマケイ新書)、「タヌキ学入門」(誠文堂新光社)などがある。



この講座は2019年11月07日に開催されました。