芸術とゴミをめぐる対話」

講師:酒井貴史×袴田京太朗×関野吉晴


ー講座概要ー

「物々交換所について」

21世紀を迎え、物質資源の有限さが痛感される現代の世界において、新たに作り出されるものは、「それが役目を終えた後」の事を想定されていることが必要です。『役目を終えた後にそれがどのように分解され、再利用され、あるいは焼却されるか。』その思考を欠いたもの作りやデザインは、労力やエネルギーをより多く消費してしまいます。

美術大学の卒業生達は社会の中の「作り手」になります。美大における課題作品の制作段階で学生達が『作品の解体、素材の再利用、破棄をどのように行うか』という意識を持つことは、将来の社会の在り方へ大きな影響を与えます。役目を終えた素材や余剰資材をすぐに廃棄せず、再活用の余地はないか、分野を超えて再活用の道を探る場所をつくることはできないか。美術大学で物々交換所という試みを行う理由の一つです。 これを書くことにした経緯を説明します。

3年前、武蔵野美術大学の物々交換所が撤去されることになりました。そこに置かれていた自転車が盗難品であることが判明したことが原因です。武蔵野美術大学の物々交換所は2007年にスタートし、僕が卒業した後も清掃用務員さん方が整理を行ってくれていたおかげで7年間に渡って継続してきました。無届けで始めたものであるにも関わらず、これまで交換所の存在について不問としてくれていた武蔵野美術大学の懐の深さは言い表す言葉もありません。

今後の美術やデザインの作り手達は、資源やエネルギーの有限な世界でそれでもいかに豊かな社会をつくることができるか考えなければいけません。物々交換所はその手助けになることができると信じています。

現在2号館gFALで期間限定ですが物々交換所を復活させました。 卒業生達の不要品を新入生や在学生に無償譲渡する目的で企画しましたが、交換所に管理者を置いて運営した場合のモデルケースとして見てもらうために4月15日まで開設しています。https://twitter.com/koukanjyo

酒井貴史



ー講座内容ー





coming soon



ー講師紹介ー

酒井貴史

1985年宮城県山元町生まれ。2009年武蔵野美大油絵科卒業。現在、物々交換所管理人。詳しくはツイッターから。https://twitter.com/koukanjyo

物々交換所物々交換所およびワールドおさがりセンターは、まだ使える不要品を収集して貰い手を探すための場所です。置いてある物は遠慮なく持ち帰ってください。物を置く時、貰う時にどんな物があるかツイッターでつぶやいてください。もしくは交換所の棚を整理してもらえるとありがたいです。


袴田京太朗

武蔵野美術大学教授(油絵学科)1963年静岡県生まれ。1987年武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。1994年文化庁芸術家在外研修員として渡米。1996年五島記念文化賞美術新人賞受賞による海外研修として、中国、チベット、ネパールほかに滞在。ヒルサイドフォーラム、ギャラリーαM、コバヤシ画廊、日本橋高島屋美術画廊X、静岡市美術館、アイショウミウラアーツ、MA2ギャラリーなどで個展を開催。2012年第22回タカシマヤ美術賞、静岡県文化奨励賞受賞。研究テーマは彫刻の可能性と不可能性。


この講座は2017年4月12日 (水)に武蔵野美術大学 1号館103講義室で開催されました。