動物生態ゲストセミナー3月17日!

2016/03/01 5:45 に 京都大学動物生態学 が投稿   [ 2016/03/05 4:04 に更新しました ]
 伊津野彩子さん,坂田ゆずさんをお迎えし,ゲストセミナーを開催いたします.すべての関心のある方のご来聴を歓迎いたします.

日時:2016年3月17日(木)16:00〜18:00

場所:理学部2号館315号室

ゲノムワイド解析に基づくハワイフトモモの環境適応における遺伝的基盤の解明

 伊津野彩子京都大学農学研究科 森林生物学研究室 D3)

  ハワイ諸島の固有樹種であるハワイフトモモ (フトモモ科) は、島内の多様な環境に生育し、優占樹種として生態系を構築する。環境の異なる集団間では樹高や葉形質に著しい種内変異が観察される。演者らは、一種内で生じた劇的な形態変化を伴う進化を理解するために、(1) 空間遺伝構造とその形成要因、(2) 環境適応の遺伝的基盤、(3) 過去の個体数変動を明らかにした。

 ハワイフトモモ種内の遺伝的変異をゲノムレベルで解明するために、まず、ハワイ島マウナロアに生育する1個体を対象に新規全ゲノム解読を行った。得られた配列を連結 (アセンブル) した結果、全長304 Mbpのゲノム配列が得られ、その中には39,305遺伝子と、ヘテロ接合塩基サイト847,078箇所が見出された。また、ヘテロ接合サイトの出現頻度に基づくコアレセントシミュレーションを行い、過去の有効集団サイズを推定したところ、本種は約400万年前にハワイ諸島に移入した際にボトルネックを受け、新島の造成にともなうニッチ拡大とともに個体群が成長し、その後に著しい個体群減少を経験したことが示唆された。

 また、ゲノム中の適応遺伝子座の候補探索と、空間遺伝構造に自然選択と遺伝子流動が及ぼす影響の検証を行った。ハワイ島マウナロア山麓の9集団72個体のSNPs遺伝子型から評価された全遺伝分散のうち、90%は集団内に保持されており、ゲノム全体では集団間の遺伝的分化は低いことが示された。集団間遺伝分散 (10%) は、標高および土壌堆積年数に沿った遺伝的分化で説明された。また、1.6%SNPsは、中立進化から外れたアウトライヤー遺伝子座としての集団間分化パターンを示し、適応的遺伝子座の候補である可能性が示唆された。空間遺伝構造の形成要因を一般化線形混合モデルを用いて検証したところ、全SNPsとアウトライヤーSNPsにおける集団間分化はそれぞれ、地理的隔離と環境による隔離により説明された。従って本種では、集団間の地理的障壁がないために大きな遺伝子流動が維持され、ゲノム全体の集団間分化は小さい一方、集団ごとに異なる自然選択が強く働くため、適応的形質に関連する一部の遺伝子座において大きな集団間分化が生じていることが明らかになった。

外来植物セイタカアワダチソウの抵抗性の時間的な動態:原産地と侵入地における植物—植食者相互作用の地理的変異

坂田ゆず(京都大学生態学研究センター 大串研究室 D3

 生物間の相互作用は環境要因の地理的な違いに応じて変化するため、生物の形質に対して同種の集団間でも異なる選択圧が働き、多様な形質が進化する。外来生物は、侵入の歴史が分かっていることが多いため、形質の進化を追跡できる理想的な材料である。本研究では、北米から日本に100年前に侵入し、全国に分布しているセイタカアワダチソウ(以下セイタカ)と、北米から日本に15年前に侵入し、セイタカに重度な食害をもたらしているアワダチソウグンバイ(以下グンバイ)を材料に用いた。セイタカのグンバイへの抵抗性の進化の時間的な動態と、抵抗性の変異を生み出すグンバイの密度を決める環境要因を明らかにするために、日米での野外調査や相互移植実験を行った。日米におけるグンバイの密度とセイタカの抵抗性の地理的変異、および日米間のグンバイの密度を決める要因について分かったことについて議論したい。

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