山口大学国際総合科学部
2025年度 前期前半 「科学技術論演習Ⅲ(科学技術社会学)」
担当:秋谷直矩
山口大学国際総合科学部
2025年度 前期前半 「科学技術論演習Ⅲ(科学技術社会学)」
担当:秋谷直矩
概要(シラバスより)
本講義では、科学技術と社会の関係についての理解を深めるために、日常生活において技術的人工物がどのように用いられているのかを探求する。具体的には、私たちの「見る」という行為を技術的人工物がどのように支援しているのかということについてさまざまなトピックを取り上げ、正負の側面も踏まえて議論する。また、本講義の受講を通じて、自身でも関連トピックでの調査・分析が行えるようになることも目指す。本講義は、国際総合科学部のディプロマ・ポリシーのうち、特に「1.1科学技術に関する知識・理解」と「4.2科学技術・社会洞察力」を涵養する。
授業の進め方
この授業は、おおよそ以下の流れで進める。指定した文献を講読する。なお、第3回の授業までは、秋谷から導入講義を行う。
予習
履修者は全員、指定した予習用文献を読む。
履修者は全員、全体で議論できるような形式でコメントを最低2つ作り、指定の日時までにmoodleのフォーラムに投稿する。
文献発表担当者は、授業までに秋谷と随時内容吟味のうえ、発表資料を作成する。
授業当日
発表者は文献の内容報告をする。
小グループに分かれ、秋谷が指定したトピック(予習課題としてmoodleのフォーラムに投稿されたものからいくつかピックアップする)について議論する。
議論内容の発表を踏まえたフォローを秋谷が行う。
復習課題
指定したトピックについて、ミニレポートを作成し提出する。
第1回 イントロダクション:技術的人工物を/によって「見る」こと
本講義のスケジュール、成績評価など
第2・3回 エスノメソドロジー入門
予習用文献
デイヴィッド・フランシス&スティーヴン・ヘスター(2004=2014)「1章:社会的相互行為、言語、社会」『エスノメソドロジーへの招待:言語・社会・相互行為』ナカニシヤ出版, 1-35.
デイヴィッド・フランシス&スティーヴン・ヘスター(2004=2014)「2章:エスノメソドロジーをする」『エスノメソドロジーへの招待:言語・社会・相互行為』ナカニシヤ出版, 37-60.
第4・5回 エスノメソドロジーのエクササイズ(1):メディアを見る
予習用文献
デイヴィッド・フランシス&スティーヴン・ヘスター(2004=2014)「3章:エスノメソドロジーと自己省察」『エスノメソドロジーへの招待:言語・社会・相互行為』ナカニシヤ出版, 61-93.
第6回 エスノメソドロジーのエクササイズ(2):公共空間を見る
予習用文献
デイヴィッド・フランシス&スティーヴン・ヘスター(2004=2014)「5章:公共の場所に出かける」『エスノメソドロジーへの招待:言語・社会・相互行為』ナカニシヤ出版, 129-165.
第7・8回 見ることのエスノメソドロジー
予習用文献
前田泰樹(2002)「ヴィジュアル経験へのエスノメソドロジー的アプローチ」安川一編『視覚メディアにおけるジェンダー・ディスプレイのミクロ社会学的分析』1999年度〜2001年度科学研究費補助金基盤研究(C)(2)報告書, 33-52.
第9・10・11回 プロフェッショナル・ビジョン
予習用文献
Goodwin, C. (1994), "Professional Vision", American Anthropologist, vol. 96, no. 3, pp. 606–633. (=北村弥生・北村隆憲訳, 2010, 「プロフェッショナル・ビジョン:専門職に宿るものの見方」『共立女子大学文芸学部紀要』56, 35-80.)
第12・13回 相互行為のなかのテクノロジー(1):スポーツにおける判定・リプレイ技術・偏在専門知
予習用文献
柏原全孝(2021)「サッカーは二度見する:VARと誤審の可能性」『スポーツが愛するテクノロジー』世界思想社.
酒井信一郎(2024)「メディアディスコースとしてのスポーツリプレイ:H・コリンズによる「ユビキタスな専門知」を再考する」『メディア研究』105, 73-90.
第14回 相互行為のなかのテクノロジー(2):登山と放射線量測定機器
須永将史(2023)「計画はいかにして修正されるのか:放射線量の可視化と空間の構造化」小宮友根・黒嶋智美編『実践の論理を描く:相互行為のなかの知識・身体・こころ』勁草書房, 95-113
第15回 オープンデータを用いたテクノロジー×エスノメソドロジー研究の調査設計・データ収集・分析・先行研究との関連付け&まとめ
秋谷講義回