講義ノート 2024改訂版 [PDF]
問題解答 [PDF]
数学は下剋上。さっきまで集合の間の写像 f : X → Z として大手を振っていた f が、写像全体からなる集合 Map(X, Z) においてはその1メンバー(元または要素)に成り下がる。応じて、事実の記述も変わってくる。たとえば、Y を X の部分集合とするとき、「写像 Y→ Z は必ず写像 X → Z に延長可能である」という事実は、「定義域の制限 f ↦ f|Y が与える写像の集合の間の写像 Map(X, Z) → Map(Y, Z) が全射である」、と言い換えられる。この種の言い換えに習熟することが、ガロア理論の理解のカギと思われる。ガロア理論とは「体拡大の様子を、写像から成る集合(しばしば群)の様子から読み取る」理論であるから。
上の講義ノートはこの種の言い換えを多用しています(それらをすべて拾い出すのも1つの能動的な読み方として勧められます)。
レポート問題2014年度 [PDF]
上のレポート問題にはマニアックなものも含まれます。たとえば問VIIはガロア理論のアルティンの補題を、環上の加群(あるいはもっと一般にアーベル圏の対象)の単純性判定定理から導くことを求めています。また最後の問VIIIは、クンマー拡大の理論を、基礎体が1のベキ根を含まない場合に拡張する Mark Kneser の結果 (1975) を証明する問題です(この種の拡張の最初の貢献については諸説あるようです。Kneser の仕事はそれらの1つに含まれるはずです)。