バイナンス、BSC上のBUSDに完全な裏付けがないとの報道にコメント
ニュースURL:https://jp.cointelegraph.com/news/binance-pushes-back-against-report-stablecoin-isn-t-fully-backed
※TSUDOIアナリストの見解となります。
〜 BUSDの仕組みを要約 〜
BUSDの仕組みとして、NY州金融サービス局から承認を得て運用をしており、100%資産が担保されおり、透明性を担保するために、EthereumベースのBUSDに対して準備金は独立した監査会社Withumによって毎月監査されています。
その監査レポートは内訳も含め、Binance公式サイトにて誰でも見られます。 しかし、担保準備金のUSD 相当の担保があるのは、あくまでもEthereumをベースにしているBUSDのみとなるという記載があることから、Binance で売買可能な他のチェーン上にあるBUSDは、担保されているものではないことも記載されおります。
※Withumは、ニュージャージー州プリンストンに本社を構える2,000名以上の従業員を抱える会計・経理事務所となります。
また、Paxos社も、BUSD保有レポートを毎月公開しています。
PaxosのStatmentのリンク :https://paxos.com/2022/12/13/statement-from-paxos-on-busd/
〜 今回の問題について 〜
担保されているEthereumベースのBUSDの発行量よりも、他のチェーンであるバイナンス・スマートチェーンで流通しているBUSDの量より低い残高を、定期的に保持していたことが判明したことにあります。本来、EthereumベースのBUSDの1の数量に対し、他のチェーンであるバイナンス・スマートチェーンをベースにして発行するBUSDは1の数量でなければならないところを残高が合わなかったということで、現在のBUSDは、ドルによる担保が完全でないということが発覚したということが問題となっています。
〜 以上を踏まえましての考察 〜
バイナンスとしては、独自チェーンの経済規模を拡大したい思惑があったため、Ethereum 以外への資産の移転を安全な範囲内で実行していたものと思われるが、移転に関するコントロールが安全ではなかった。
その要因としては、去年より有名なステーブルコインの崩壊や取引所等の破綻が連鎖するというような想定外の出来事が多発し、業界の通貨全体が下がったことにより、担保資産の準備が間に合わず、一時的に発行総量を支えるほどの価値を維持できなくなったのだろう。
現時点で担保資産の総量が発行量とバランスするように回復していたとしても、この状況に一時的であったとしても陥るようなリスクマネジメント体制であったことが判明し、またそれを外から判断することもできない状況であったことを踏まえ、USDの運用体制については危険と言わざるを得ない。
・投資家の方々への留意点について
前述の通り、Paxos社からStatementにて英語で記載されている内容の通り、Binanceが提供するEthereum以外のブロックチェーンネットワークをベースとしたBUSDは、Paxos社が直接担保しているステーブルコインではない。
従って、Binance経済圏で投資をする場合、中長期的にステーブルコインを保有する必要があれば、担保されるEthereumベースのBUSDか、USDTやUSDCなどBinance経済圏から資産を出して管理する方法を検討してはどうでしょうか?
※もちろんUSDTやUSDCなども運用体制に不備がある可能性はありますので、自分の資産を守るために、引き続きステーブルコインの不穏な動きについてはニュース等に注目していくとよいでしょう。