325年の思いを超えて

愛に変わる学びを、白百合で

2021年、白百合女子大学の設立母体は創立325年を祝いました。

始まりは325年前のフランスのルヴェヴィル村から

白百合女子大学は、設立母体であるシャルトル聖パウロ修道女会の創立の精神に則り、知性と感性の調和のとれた女性の育成をめざしています。

シャルトル聖パウロ修道女会の創立者ルイ・ショーヴェ神父が南フランスのアヴィニョンから幾つかの小教育を経てパリ郊外のシャルトル聖パウロ修道女会の寒村不ヴェヴィルに赴任したのは1694年のことでした。

当時のフランスはルイ王朝の華やかさの陰にあって、一般民衆は生活に困窮しており、教育も施されておらず精神的にも窮迫した状況でした。

最初の教室

ルヴェヴィル村の人々の状況を見たショーヴェ神父は、子どもたちに読み書きや編み物を教えると共に、病人や困っている人々の世話をすることを通して愛の教えを実践する者となるようにと村の若い女性たちを招きました。その呼びかけに最初に応えたのがマリアンヌ・ド・ティイと、皆さんと同じ年頃の10代の二人の若い娘たちでした。以後、彼女らに続く娘たちが次々と共同体に加わり、子どもたち、貧しい人たち、病人に対しての関わりと教育活動を続けながら、この娘たちの集まりは「学校の娘たち」の会と呼ばれるようになり、静かに育っていったのです。

日本でのスールたちの活動

「学校の娘たち」は1708年にシャルトルに招かれ、そこの司教ポール・ゴテ・デ・マレ司教によって「シャルトル聖パウロ修道女会」と名付けられました。1727年、招きに応えてフランス領ギアナへ派遣されたのを皮切りに、ヨーロッパ諸国、アジア、アフリカ、アメリカ大陸へとスールたちの活動の場は広げられていきました。

ルヴェヴィルでの創立から325年を経て、現在35カ国で約4000人のスールたちが教会での司牧、福祉、医療、教育などの活動に従事しています。

1878年(明治11年)5月28日、Sr.マリ・オウグスト、Sr.マリ・オネジム、Sr.カロリヌの3人がオズーフ司教の要請に応えて、函館に到着。置き去りにされていた孤児の世話、貧しい人々のための施療院、教育事業など、日本での活動が始まりました。

*「スール soeur」は英語のシスターにあたり、修道女を表すフランス語です。

知識を愛に変える学びを

初代学長、Sr.クララ三島初江先生の言葉です。

「17世紀フランスの思想家ボシュエは、『愛に変わりえない知識は虚しい』と言っています。4年制大学において学び、修得した知識は、愛に変えられなければなりません。それは将来、家庭や社会において周囲に喜びと慰めを与えることによって愛となります。ここで学ぶ女性たちは修得した知識を愛に変えて社会に貢献してくれることと信じております。」 

Sr.クララ三島初江先生は、創立から23年間(1965-1988年)にわたり、本学の土台作りに献身されました。11号館3階にあるクララ・ホールの名称はこの初代学長にちなんで付けられています。