研究紹介

自律移動ロボットおよび作業車両の自律化

 オペレーターの負担軽減や人手不足の解消をサポートする目的のため、重機などの作業車両の自律化に関する研究開発を行っています。

 自律化するべき作業を検討して、その環境に合った認識システムや自己位置推定に基づいた自律走行性制御システム、さらに音声案内やカメラによる対象物の認識などの付加技術を研究開発して、対象とした作業を実現します。

 これまで、無人化施工における遠隔操作車両やゴルフ場におけるメンテナンス車両の自律化、ミュージアムにおける案内ロボットを研究し、実証機を開発してきました。

雪面作業支援システム

 除雪車両に簡易後付け可能な雪面作業支援システムを開発しています。これは、雪のないときに測量した3次元環境地図上に、深雪面上の除雪車両の3次元位置・姿勢をリアルタイムに表示するものです。

 除雪作業に活用してもらい、オペレータから前向きな評価が得られ有用性が確認できたと共に、その評価を基に、改良を行っています。

 また、本作業支援システムは、除雪作業のみならず、スキー場のゲレンデにおける圧雪作業への活用も期待できます。

高効率な広域3次元環境地図の構築

 最小限のセンサを持ち込み現地で調達した車両に簡易設置して,走行しながら計測するのみで高効率な広域3次元環境地図を構築することを研究開発している。

 RTK-GNSS、IMU、3D LiDARを簡易的に後付けした現地調達の車両で、山岳部道路における地図作成の検証実験により、従来型の地形測量と比較して精度と再現性が高いことを実証しました。さらに、補正情報もしくは衛星情報が取得困難な区間においてもIMUを用いた位置補間により3次元環境地図構築にも成功しました。

 更なる精度向上を図ると共に、本手法は様々な移動体に後付け可能なため、ドローンなどにセンサを搭載して地図構築の検証を考えています。

マテリアルハンドのための柔軟静電吸着デバイス

 静電気力を応用し、対象物の凹凸面に倣って接触面を確保する柔軟静電吸着デバイスを開発してきました。静電吸着は,対象物の材質に依存せず,コンクリートや木材,アクリルにも吸着できる特長があります

 一方、物流分野では最大10kg程度の重量がある段ボール箱が対象となります。段ボールは空気を通す材料で、産業用ロボットでの把持で多く利用させるバキュームタイプのハンドでは把持困難です。

 これに対して、柔軟静電吸着デバイスを段ボール箱のピッキング作業に活用する場合、段ボール箱の(保管棚から見えている面)のみを利用した把持動作が実現でき、省スペース化できる利点があります。

ドローンの半自律飛行システム

 西武建設株式会社との共同研究にて,コンクリート構造物のひび割れ等にピンポイントで補修剤を吹き付け可能なマルチコプタ「吹付ドローン」の研究開発を行ってきました。

 構造物のある狭所空間における測域センサを用いた環境認識、自己位置推定に基づいた半自律飛行システム、さらに画像処理技術を用いた吹付箇所の自律追尾などを開発してきました。

 上記の半自律飛行システムの更なるロバスト化を目指し、カメラなどの複数のセンサを融合した自己位置推定システムの研究開発を行っています。