ここまで学んできたことを利用して、3週にわたるミニプロジェクトを行います。1週目が企画で、2週目が設計・実装で、3週目が発表・振り返りです。
お題
先週までに個別に学んできたことを組み合わせて、日頃感じる問題や不都合を解決するシステムのプロトタイプを作成してください。日頃感じる問題や不都合とは、自分の身近な問題でも社会の大きな問題でもどちらでもよいのですが、共感を得られるものにする(そして共感を得られるような発表をする)ことが大切です。
先週までに学んできたこととは、デジタル入出力・アナログ入出力・コンソールへの出力(print()関数)です。まだスイッチとCdSセルとLED以外のセンサやアクチュエータのことは習っていないわけですが、プロトタイプを作成すればよいわけなので、すでに習ったスイッチやCdSセルやLEDを任意のセンサやアクチュエータに見立てて、今後置き換わる予定であることを前提として話を進めてOKです。
発表会(発表の方法)
3週目の5限の時間に発表会を行います。(3週目の4限の時間は発表前の最終調整にあててよいです。)発表会は2部構成として、第1部はスライドを用いた口頭発表・第2部は展示会方式のデモ発表とします。
第1部の口頭発表は、グループごとに教卓のスクリーンの所まできてもらって、PowerPointやKeynoteで作成したスライドを投影して発表を行います。発表時間は各グループ5分以内とします。どんな問題を扱うか・なぜその問題を扱うのか(その問題が解決するとなぜうれしいのか)・どのようなシステムなのか・仕組みはどのようなものか・スライドでできる範囲のデモ・第2部ではどこでデモ展示を行うか・あればその他必要と思う情報、というようなことから必要なものを選んで5枚程度のスライドにまとめることを想定しています。しかし、発表時間5分以内であればこれに限りません。
第2部のデモ発表は、教室を展示会会場に見立てて、各グループの座席にて展示を行います。展示で示すことは、実機を用いたシステムの動作デモです。デモをする人とデモを見学しに行く人に前後半で分かれて、見学の人は好きな展示を見に行くという方式をとります。第1部のスライド口頭発表でのデモを、第2部の実機デモを見に行きたくなるようにつなげられるとよいと思います。また、今回の質問タイムは第2部でのデモ後の自由対話でのみ行うこととします。第1部の発表を聞いて疑問に思ったことも、この第2部で質問するようにしてください。
問題から考える
作るもののテーマを考えるとき、ついいまできること(シーズ)から考えてしまいがちです。しかし、そうすると、できたものの実用のイメージがわきづらかったりして、それがあったほうがよいという共感を得られにくかったりします。ここは、何を解決したいのか(ニーズ)から考えたほうがよいと言えます。問題から考えるということです。そのほうが説得力があります。
各種センサ・各種アクチュエータがあればできるであろうことの扱い
問題から考えるといっても、まだ対してできることを習っていないために、本当にその問題を解決できるのかがわからなくて、そのテーマで本当によいのか不安に思ってしまうという人もいると思います。その感覚はある意味正しくて、実際の創作活動では、やりたいこととできることが必ずしも一致していなくて、その両側から繰り返し再検討をすることはよくあります。また、最終的にどちらかを妥協して済ませるということもよくありますし、ときには必要なことでもあると思います。(だからこそ、日頃からできることのスキルやツールを増やしておくこと(=できることの範囲を広げることで,やりたいことをカバーする確率を高めること)は大切なことなのです!)
しかし、今回のミニプロジェクトでは、実現できるのかどうかは深く考えないこととすることをポリシーとしたいと思います。もちろん、このセンサを使えばこのようにしてできるはずだという裏付けがあると本来はよいのではありますが、その裏付けがないことを理由に考えたことをあきらめなくてもよいこととします。本当にできるのか(≒いまできること(シーズ))は深く考えずに、何を解決したいのか(ニーズ)を焦点を当てて考えてほしいと思います。「すでに習った範囲でプロトタイプを作成して、今後置き換わる予定であることを前提として話を進めてOK。」という設定である意味合いはこの点にあります。
センサがあればできるであろうことは、本当に実現できるのかどうかがわからなくても、スイッチの入力(デジタル入力)やCdSセルの入力(アナログ入力)をそれに見立ててプロトタイプを作成してOKです。
モータがあれば/ブザーがあればできるであろうことの扱いも同様で、本当に実現できるのかどうかがわからなくても、LEDへの出力をそれに見立ててプロトタイプを作成してOKです。
Coggle
Coggleはマインドマップのような図を描くためのツールです。今回アイディアを広げていく段階で使用して、「必要なもの」を追求していくのに使えると思います。個人ワークで深めていって、それを披露しあってよいものをみつけていくとよいと思います。
Jamboard・Miro
JamboardやMiroはデジタル付箋ツールです。Miroのほうが高機能で便利だという話をよく聞きますが登録が必要で、Jamboardはみなさんの専修大学Googleアカウントで自由に利用できます。今回アイディアをグループ内で収斂させていく段階で使用して、最終的に作品の方向の意識合わせをするのに使えると思います。また、役割分担を書き留めていくことなどにも使えると思います。
1週目・2週目には提出物はありません。一方、3週目には発表会を行いますが、「口頭発表のスライド」に加えて「ミニプロジェクト報告書」の提出を課します。「口頭発表のスライド」はグループで1人が提出すればOK(ほかの人は白紙で提出してOK)ですが、「ミニプロジェクト報告書」はグループメンバーそれぞれに提出してもらいます。
したがって、第3週に向けては、実装・プレゼンとデモの準備に加えて、ミニプロジェクト報告書の下書きを書き進めておくとよいと言えます。Classroomの課題ファイルにスライドと報告書のファイルを作成してありますので、そこに必要事項を書き加えてください。
また、この期間にも前回までと同様の実習課題も用意しています(↓主に前回までの実習課題でやりきれなかった課題・個人実習1と呼ぶことにします)。これも、「ミニプロジェクト報告書」に記載して報告してください。
個人実習1
まずCdSで明るさを計測してみましょう。前回3.4節で説明されている回路を実際に作ってください。CdSを手で覆ったりして暗くしたり、スマートフォンの光を当てて明るくしたりして、どんな値が出力されるのか観察してください。
次に、CdSで計測した室内の明るさに応じて、LEDの光を強くしたり弱くしたりします。例えば、部屋が暗ければLEDを明るく光らせ、部屋が明るければLEDを暗く光らせます。このときに、CdSセルがどのくらいの値であるときに、LEDをどのくらいのデューティ比で光らせるのか、前段落で観察したことをもとに決定して示してください。「部屋が暗ければLEDを明るく光らせ、部屋が明るければLEDを暗く光らせる。」というのは例なので、逆でもなんでもかまいませんが、どういうシナリオでどういうときにどのくらいの光らせかたをするかというのを説明してください。