このウェブサイトは、2022年度『見えないお金のシーソーゲーム展』に出展した37チームの成果をまとめたものです。この展示会は、ネットワーク情報学部2年次の必修科目「基礎演習D」の応用課題の成果発表会として設定されました。
* * *
電子マネーやクレジットカードでの買い物が一般化し、手軽に決済できるようになりました。また、ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨がじわじわと普及し、新しい経済圏を作ろうとしています。一方でさらに目を移せば、世界情勢の変化の中で日本円(JPY)は徐々に立場を弱め、海外に持っていく時に以前ほどの交換価値を持たなくなりつつあります。
いつのまにか、お金は、これまでのように目に見えるモノではなくなっています。物理的な「紙幣」や「硬貨」から、デジタルな「数字」になり、さらに価値がダイナミックに変動するものとなっています。それに加えて、お金が前提となる資本主義の問題も議論されることが増えてきました。社会の中で富はどうやら多くの人に行き渡るのではなく、一箇所に集まっていく性質を持っているようです。Z世代とよばれる若者たちが、他者との競争よりも自己実現や社会貢献に対する欲求が高くなっていることは、便利なモノに囲まれても幸せになれるわけではないことを、本能的に分かっているからだとも言えるでしょう。
こうした急激な変化は、お金という仕組みを理解することを、一層難しくしています。目の前で触ることができた現金から、量の感覚がつかみにくい概念へ。経済を回すために、ただ貯めるだけでなく、どのタイミングで何に対してどう使うかの選択肢が問われるものへ。見えなくなった「お金」のやりとりのしくみは、万人がどこかで学ばなくてはなりませんが、学ぶ機会は限られています。
* * *
こうした背景と問題意識をもとに、われわれは「見えないお金のシーソーゲーム展」に取り組みました。広義の「お金」(貨幣 / 地域通貨 / 仮想通貨 / 証券/ 為替 / 小切手 etc)と、それをとりまく出来事(信用 / 交換価値 / 経験価値 / 意思決定 / 帳簿 / 資産管理 / 寄付 / マイクロファイナンス etc)をとりまく出来事を幅広く対象とし、新しい「サービス」または「コンテンツ」の開発に取り組むものです。教室をミュージアムに見たて、37チームがアイデアを探索し、具体化しました。
シーソーゲームとは、外的状況、個人的状況によって、上がったり下がったりする主観的な価値に対する比喩です。学生たちはまさしく「Z世代」の当事者であり、彼らの提案は未来をかたちづくるプロトタイプでもあるため、某企業の協力を得て、未来の金融サービスのためのリサーチの基礎データとなるようにも位置づけています。
稚拙な成果ではありますが、全員が真剣に課題に向き合い、10週間にわたる演習を経て成果発表までたどりつきました。ご関心をお持ちの方がいらっしゃいましたら、どうぞご来場ください。
専修大学ネットワーク情報学部
基礎演習D スタッフ一同