はじめまして。すあしチームです。
この企画は足の感覚から価値の変化を測ることに目を向けた体験型展示です。
現在のお金は、紙幣や硬貨のみに形を留めていません。
お金は、電子マネーや仮想通貨など、もはや原型からは遠ざかり、
ふわふわした存在で、その価値を体で捉えることは出来ません。
そもそも、体で価値を捉えるとはどういうことでしょうか。
そのような視点から、靴を履いていると意識しなくなった自分たちの足の感覚で、
ものごとを理解することに焦点を当てました。
素足で外を歩いてみると、様々な感覚で身の回りの物を捉えることが出来ます。
タイルの硬さや草の柔らかさ、石ころの形状まで分かると思います。
この体験型展示は、ただ素足で歩くだけでなく、目隠しをして、
足の感覚に集中し、足の感覚について考えることを目的とした展示です。
概要の動画
「お金の価値」に関するフィールドワークのインタビューでは、人によってお金の価値が違うことがわかりました。
「豊かな人生を送るためのツール」、「自分の成長を促してくれるもの」など、
様々な価値がありました。
豊かさや成長などを実現する状況から発想し、まず取り上げたキーワードが「平和」です。
なぜ「平和」が自分たちの中で豊かさや成長と結びついたのか、
また、「平和」とはどのような状態を連想させるのかを考え、ひたすら書き出しました。
その中から、普通の生活が出来ること、子供が安全に外で遊べることなどから連想し、
お金がない地域では靴を履いて地面を歩くことが出来ないのではないかと考えました。
そして、この着眼点を深める過程で、「平和」だからこそ
安全に地面を素足で歩くことが出来るのではないかと考え、
実際に自分たちでも、校舎の中からキャンパス内を素足で歩いてみました。
このフィールドワークの際、メンバーのほとんどが5~10年ぶりに素足で外を歩きました。
皆が口を揃えて言ったのは、「楽しかった」という感想でした。
靴では感じることが出来ない感覚を、グループ全体で楽しいと感じ、
足の感覚の豊かさを活かしたいと考えるようになりました。
現在、お金はふわふわした存在になってきています。
形が確かにあって触れることができるお金が、現在では単に数字としてしか存在していないことがあります。
そこで、自分達の体を使って、価値とは何かを体験化したいと思いました。
それが足の感覚です。
人にとって切っても切れない感覚、素足のフィールドワークで得た多様な感覚を、
人の捉えられる価値の多様性に結びつけ、展示を組み立てることにしました。
地球に住んでいる限り、人は地に足をつけて生きます。
素足は、地に足をつけて価値ということを知る上で、価値の変動を測るインターフェイスです。
多くの人は靴を履いて、長らく生活しています。
そのため、生物本来の地に足をつくという感覚を忘れているのではないでしょうか。
本展示のターゲット層は、「素足で外を歩く感覚を忘れた人」です。
フィールドワークでは、「楽しい」だけではなく「歩いた場所の温度を感じる」、「トイレには絶対に入りたくない」など
様々なことを思いながら、歩くことが出来ました。
このように、様々な地面や床面を素足で歩くと、より一層思うことがあるはずです。
作品名の由来は、語呂の良さです。
ひらがなにした理由は、漢字だと堅い印象を与えてしまうためです。
「素足、目隠し、面隠し。」だと、近寄り難く、
「すあし、めかくし、つらかくし。」の方が、柔らかい印象があり、素足の感覚も連想させます。
また、最後に「 。」を付けた理由は、この企画を無事に「終わらせる」という意味合いを込めて付けました。
この企画にとって、素足が最も重要な要素であるため、素足をメインにロゴを考えました。
試行錯誤して完成したロゴが左下の画像になります。
足の指の色は、足で感じることができる様々な感覚を表しています。
また足の下の波紋のようなものは、感覚を足で感じるイメージから発想しました。
閉じている目やマスクは、作品名をそのまま反映させました。
私たちの企画を通じて
「足の感覚を大切にしよう」
そう思っていただけたら幸いです。
ですが、それすら忘れてしまうような
健康と幸せが
あなたに訪れますように。
田口奈旺
平田智希
金子嘉光
石野宇宙
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