研究室理念:犯罪心理学を人と社会のために
犯罪は個人の行動であり,社会との相互作用によって生じる社会現象でもあります。犯罪心理学は、心理学の知識を使って犯罪や犯罪者について考えていく学問であり、私達が犯罪を多角的かつ客観的に捉えることを助けてくれます。
犯罪や犯罪者を理解していくことは、自分を知り、他者を知り、社会を知ることにつながります。そして、犯罪を予防し、犯罪者の更生を支援することは、他者から傷付けられる人を減らすだけでなく、支援を要する人がちゃんと支援され、皆が安心・安全に暮らせる社会を作ることにもつながります。この考え方は,犯罪等に限らず様々な逸脱行動や社会問題にも通じる部分です。
大江研究室では、人や社会のために自分ができることを探したい方、目の前の課題の解決に向けて多角的かつ柔軟に取り組みたい方をお待ちしています。
研究活動
当研究室では,犯罪・非行や逸脱行動(いじめ,逸脱した性的関心,ハラスメント行為,自傷,各種依存的行動など)を臨床心理学を軸に,認知心理学,社会学,法学などの視点から学際的に捉え,その影響因を見つけ,具体的な支援策・解決策を検討する研究を行っています。以下は,研究室で扱っている分野の一例です。
・犯罪者等のアセスメント,犯罪等の生起及び改善メカニズム
・犯罪者等に対する介入技法,処遇プログラムの開発,効果検証
・犯罪等の予防プログラムの開発、効果検証
・犯罪者処遇理論
当研究室では、問題や現象を捉えるために、様々な研究手法を柔軟に用います。例えば、量的研究であれば、質問紙や認知課題などを用いた研究や大規模データの生存分析など、質的研究であれば、グランデッド・セオリー・アプローチやテキストマイニングなど、研究仮説に適した手法を単独あるいは組み合わせて使用します。知的探求をする一般的な研究に加えて、行政評価や効果検証などプログラム評価の視点による研究も行っています。
心理臨床
当研究室では,犯罪臨床に限らず,様々な心理臨床の現場で使える実践的な知識やスキルの習得を目指したスーパービジョンを行っています。具体的には,統合的心理療法(エビデンス重視のeclecticism派)で,認知行動療法を軸に,精神力動学派的の介入や心身一致を促す日本的な介入,その他効果的とされる技法を柔軟に取り入れています。心理臨床における危機場面や葛藤場面における対応,集団療法やグループワークにおけるテクニックなど,様々な臨床現場で使える知識を学ぶこともできます。
また、当研究室では、心理検査を含むアセスメントのスキルアップも重視しています。要望があれば、ロールシャッハやTATなど投影法のスーパーバイズも行います。
なお、研究室外でスーパービジョンをご希望の方はご相談ください。
教員の紹介
大江 由香(准教授)
アメリカのマサチューセッツ州立大学で犯罪社会学を,ジョンジェイ刑事司法大学で司法心理学を学んだ後,筑波大学大学院の社会精神保健学分野で博士(学術)を取得。少年鑑別所において法務技官(心理)として採用され,刑務所での性犯罪再犯防止指導や効果検証センターでの効果検証業務などを経て,2025年4月から現職。猫とアイスクリームとラウドロックと,かわいい,面白い,ワクワクが好き。