本研究は、科学研究費助成事業 基盤研究(B)(研究課題20H04396)「研究者と教育者の協働によるシビック・アクション促進に向けた環境教育プログラム開発」の助成を受けて実施しました。
環境問題、貧富の格差、ジェンダー問題…。私たちの社会には様々な問題が山積しています。こうした社会課題には、問題を引き起こしている社会のルールを変えたり、新しい仕組みを創ったりしなければ根本的に解決できないものが少なくありません。社会の仕組みやルールを変えるためには、一人ひとりが日常生活の中でアクションを実践するだけでなく、他者と協働し、社会に積極的に働きかけるアクションを多くの人が実践することが重要です(右図の第一象限)。
こうした集団×能動的なアクションのことを我々の研究ではシビック・アクションと呼んでいます。例えば、地域で新しい仕組みを創るために関係者と話し合いをする、法制度や商習慣を変えてもらうために集団で意見を表明する(署名活動、デモなど)、問題解決に取り組む団体を組織する、そんな組織を寄付などで応援するといったアクションが挙げられます。
佐藤真久、高岡由紀子(2014)ライフスタイルの選択・転換に関する理論的考察-多様なライフスタイルのシナリオ選択を可能とする分析枠組の構築-,日本環境教育学会関東支部年報, No.8, pp. 47-54を基に筆者作成
これまでの研究成果から、シビック・アクションを促進する教育プログラムの要件を以下のように設定しました。
多様なシビック・アクションを認識できるようにすること。
シビック・アクションに挑戦してみたいというモチベーションを高めること。
幅広いシビック・アクションの中から、問題解決に効果的で、かつ学習者にとって実行可能なアクションを戦略的に選ぶプロセスを重視すること。
学習者が学びやアクションの主導権を持つこと。
アクションの成功・失敗を問わず、実践してみたシビック・アクションを丁寧に検証・フォローし、次のアクションに繋げること。
下図は、上記の要件を取り込んだモデル教育プログラムです。
ご紹介したプログラム導入事例1、2の他にも、いくつかの中学校・高等学校で本プログラムを導入いただいています。これらの学校では、モデル教育プログラムをそのまま導入するのではなく、学校関係者と十分な協議のうえ、各校の事情を踏まえてモデル教育プログラムを学校に合う形にカスタマイズしながら導入しています。
探究学習を進めるうえで以下のようなご要望・お悩みをお持ちの場合は、ぜひ一度お問い合わせください。
調べ学習、グループワーク、発表という従来の探究学習から脱却したい。
探究学習を進めても、結局生徒から出てくるアクション・アイデアはありきたりの個人アクションばかり。
問題解決に向けた戦略的なアクションの発想を広げて欲しい。
社会や地域の問題に対して、積極的に行動できる市民を育成したい。
環境問題を解決するためには、現場で起きる衝突を緩和し、互いに合意できる着地点を見出す必要があります。しかし日本の学校教育では、実社会の具体的な衝突問題を扱うことに過剰に抑制的であり、環境分野での様々な衝突を通して得られてきた現場の実践知も活用されていません。さらに、教室内での探究学習と問題が起きている現地での対話を組み合わせた、環境分野での総合的な衝突対処教育については、研究及び教育現場の双方において、十分な知見がありません。
そこで本研究では、教育分野で蓄積されてきた教室内外での衝突対処教育の知見と、環境分野での衝突緩和事例を通して得られた実践知を活かして、教室内での探究学習と福島現地への対話型教育旅行を組み合わせた中高生向けの衝突対処教育プログラムを開発・試行・評価することを目的としています。
※この研究プロジェクトは2025年度に開始しました。研究成果は本サイトにて随時公開してまいります。
本研究は、科学研究費助成事業 基盤研究(B)(研究課題25K0333)「教育学と環境学を融合した衝突対処教育は中高生にどのような効果を持つのか」の助成を受けて実施中です。