ピグマリオン紙芝居国語の目的は「言葉を通じて自然や社会を見る新たな視点や概念を獲得すること」です。人は何かを考えるとき、言葉を使って思考しますが国語力はその人の知性、感性、人間性とも密接に結びついていると考えます。
そもそも、国語力とはどういうものでしょうか。一つの例として、以下は東京大学のWEBサイト内「高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと」の国語についての文章です。その中で3つのキーワードが挙げられています。
(1)文章を筋道立てて読み解く能力
(2)それを正しく明確な日本語によってあらわす表現力
(3)自己の体験に基づいた主体的な国語の運用能力
(1)(2)は国語の読解問題や記述問題、あるいは作文や小論文のように一般的な国語学習のイメージに近いです。一方(3)は聞き慣れない表現かもしれませんが非常に重要で、この3点は決して無関係なものではありません。
例えば「平和」という言葉、概念は誰もが知っているものと思います。しかし、「平和」という概念を獲得したプロセスは誰一人として同じ人はいないのです。自分の経験を総動員しながら言葉や文章を理解していくプロセスを大事にすることが、主体的な国語の運用能力に繋がっていきます。これは他人の言葉の引用ではなく、自分の言葉で理解したり相手に伝えたりする力とも言えるでしょう。概念とは新しいモノの見方と言えます。同じものを見ても、人によって捉え方や見え方は千差万別です。自然や社会を見るためのこの特別な視点を持つ子には、世界の見え方は驚くほど面白く興味深いものになります。そして新しい概念を理解する力は人生において必要となる本物の国語力と考えます。
では、上記の図の通り、「自分の経験を媒介として考える習慣」「国語における推理能力」「自分の獲得した諸概念をネットワーク化していく習慣」はどのように獲得していくか。絵本を多読しただけの幼児が国語力がつかないように、ただ文章を読むだけでは十分とは言えません。スーパーピグマリオンのレッスンでも同様に能力は使うことによって創られていきます。国語においても同様で、獲得した経験や概念を使う機会を作ることが重要です。
概念を伝えるための論説文を物語文の形式で伝えることです。本教材が取り入れている紙芝居とは小さなお子様も十分に楽しむことができるものです。通常の紙芝居では十数枚程度で作られることが多いですが、どの一枚が抜け落ちても子ども達は気付きます。年長や小学生低学年頃になってくると、物語の流れを掴んだりページとページの間の繋がりを理解したりする能力が備わってきています。その点を踏まえて各場面の関係性を意識できるような形で提示することで、文脈を把握する能力が備わっていきます。これは算数的な推理能力とも近いと言えます。
物語を読んだ経験が子どもの人生の一ページとして着床していくための支援をすること。ある文章を理解するにあたって、それまでに自分が経験してきた色々な出来事が繋ぎ合わさるプロセスがあります。そして、その文章を読んだ後もその後の自分の人生の出来事と繋がっていかなければなりません。そのような仕組みを入れ込んだ教育が必要となります。
ある概念は他の概念と無関係ではありません。人はある概念を他の物事を繋ぎ合わせながら、新しい理解したり、新しい発想を得たりします。概念同士の因果関係や法則等自分の頭の中で上手く繋がりを持って行けるような働きかけを教室やご家庭で提供していくことが非常に大切です。
全120話からなるピグマリオン紙芝居国語。最難関の中学、高校、大学入試レベルの良質な評論文(国語と英語)と、国内外の良質の児童文学を、多彩な分野から厳選し、独自手法で児童向けの日本語に噛み砕いて紙芝居化しました。一緒にご参加いただいている受講生の保護者様からも「面白い」「やりたい」と仰っていただけることがあります。
漢字交じり文章に写真や挿絵をつけて幼児~児童もわかりやすいように物語形式でかみ砕いて文章化しました。(以下は評論文の例「第1話スキマの植物」より抜粋)
※このサンプル教材は、塚谷裕一「スキマがはぐくむ都市の緑と生命のつながり」(『學鐙』113(2), 2016夏,P.2-5; 愛光中学校入学試験問題・国語出題文)を独自の方法でかみ砕くことで作成されたものです。
本教材を構成する全120話の紙芝居同士が有機的につながるようデザインされています。これにより、児童の皆さんは、すでに持っている視点や概念を総動員しながら、新しい視点や概念を批判的に受容するという姿勢を獲得することができるようになります。こうして得られた学びの姿勢は、生涯にわたって役に立ち続けるでしょう。
全120話タイトル 文化、社会、科学等幅広い分野から厳選して紙芝居化しました。
レッスンでは講師と生徒同士あるいは保護者様も加わって、対話をベースとして進んでいきます。
論説文の場合のレッスンの流れ
前回の振り返り(5分程度)
前回のレッスンの振り返りや正解のないクイズのフィードバックを行います。
本文の内容理解(20分程度)
本文をじっくり読み、その内容を確認します。ここでは各ページの本文の内容理解とページ同士の繋がりや関係の理解を試みます。
要約クイズ(20分程度)
紙芝居の構造を自分の言葉で説明できることを目的に、本文の内容をまとめて文章化します。
正解のないクイズ(5分程度)
今回の紙芝居で登場したエピソードや概念を身近な生活の中で探したり、調べたりしてもらいます。
・要約クイズ
今回の紙芝居の内容を読んだことのない友達や兄弟にもわかるように文章化を行います。もちろんいきなり要約することは難しいため、各場面ごとにわけて1~2フレーズ程度にまとめていき、繋げていきます。表現力や記述力に留まらず、各場面の意味合いや場面同士の繋がりを考えていくことになり、内容把握や読解力にも繋がります。以下、小学2年生の要約の一例です。
・正解のないクイズ
要約クイズはいわゆる読解問題や入学試験でも問われるようなタイプの能力を育成するためのものですが、それに加えて特色となるものがこちらのクイズです。今回得た概念や読んだ文章を自分自身の経験の1ページとして定着させていくことを目的としたものです。
面白い物の見方、概念を集めた各紙芝居は文章同士で関連してくるものが沢山あります。このようなネットワークを意識しながら紙芝居に触れることで、各概念が独立した物の見方ではなく、各概念を他のことと結び付けたり発想をさらに広げたりしていく力を育てていきます。このことがさらに新しい次の概念を理解できる力に繋がっていきます。
小学校以降はさらにピグマリオンの学習が深化していきます。昔から言われる「つ」の付く年齢までの教育が大事、の言葉の通り1才~9才は人間形成の基礎ができる時期です。ピグマリオンではその後の人生の土台となるように算数・数学分野と言語・国語分野それぞれを独自の手法で高い能力を育てていきます。
ピグマリオン紙芝居国語は3年間全120回のカリキュラムで、通常レッスンに加えての受講がおすすめです。ピグマリオン紙芝居国語は対象は小学校1年生以上を想定していますが、ご希望の方は年長の方や小学校3年生以上の方、既にピグマリオンを卒業された方、紙芝居国語のみ受講したい方も受講可能です。ピグマリオン紙芝居国語は他にはない教材と講座内容で、一生モノの国語の力を育てていきます。まずはお気軽にご相談・お問い合わせください。