脂肪肝炎

脂肪肝と肝炎や全身の炎症を伴うものを脂肪肝炎といいます.ウィルス性肝炎がひどくなり,脂肪肝の状態も含めます.ウィルスによらない脂肪肝炎であっても,肝臓に脂肪がたまっているだけでなく,他の臓器を傷つける度合いが強いです.アルコールによるものもそうでないものもあり,脂肪肝よりも厳密な治療が必要です.

どんな症状?

脂肪肝と肝炎を足した症状です.

無症状が一番怖い

脂肪肝と同じく,初めは無症状で気が付いた時は手遅れのこともあります.

●何で気がつくの?

他の病気で偶然受診するか,だるい疲れやすいなどかぜのような肝炎症状で受診し,気が付くことが多いです.

炎症反応を調べないので,健診で偶然に見つかることはまれです.

●放っておくと?

脂肪肝よりも早く肝機能障害が進み,肝硬変,肝がんに至ります.

全身の炎症で動脈硬化などが悪化し,他の臓器を傷つけます.ひいては老化を進めることがあります.

どんな検査?

脂肪肝と肝炎や全身炎症があることで脂肪肝炎を確定します.

●血液や尿の検査

炎症反応(高感度CRPで急性感染などではない炎症を証明します)

糖尿病など他のメタボをチェックします.

貧血・肝・腎機能などの一般的なチェック

●画像検査

院内画像検査

エコー検査で脂肪肝を証明します

院外画像検査

CT・MRI

●他の検査

腹腔鏡検査

肝生検

●他の病気と副作用をチェック

検査は安心して診療できるようにするためのおまもりです.他の悪い病気がないか,副作用が出ていないかをチェックするのが第一の目的です.

どんな治療?

●一般的な生活改善

運動中心の生活リズムと食事などのバランス.

●お薬

脂肪肝炎に直接効くお薬はなく,抗酸化効果のあるお薬(糖尿病薬,高脂血症薬,ビタミンEなど)を基礎疾患に合わせて使用します.

●注射

肝庇護薬(肝機能障害のひどい場合)

診療のながれ

●しらべる

血液と尿の検査,エコー検査で脂肪肝炎を確定します.

●ととのえる

初めのうちは:肝炎や全身炎症が落ち着くまでは,週に1回以上検査をもとにお薬や注射を調整します.

2~4週ごと:血液や尿の検査などから,

1~2週ごと:症状や生活の様子から,生活改善の仕方やお薬を調整します.

●おちついたら

2~4週ごと:生活改善の確認とお薬.

2~4か月ごと:血液や尿の検査.

半年~毎年:院内画像検査/1~2年ごと:院外画像検査

他には?

脂肪細胞が出すホルモン(リポサイトカイン)の善玉と悪玉のバランスが崩れ,脂肪肝炎が起こると考えられています.太ってる場合はまず減量します.そのう上で基礎疾患を治療し,運動や食事を見直します.

ほどほど,コツコツでだいじょうぶ

日々の生活をととのえ,コツコツと診療を続けていけばだいじょうぶです.