就業規則は必要なのか?
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければならないとなっています。違反した場合には30万円以下の罰金に処せられます。そのため、常時10人以上の労働者を使用する使用人は就業規則があるはずです。
ということは、10人未満の会社であれば就業規則は必要ないのかという話になります。就業規則は会社のルールです。ルールのない組織に属したいですか。おそらく多くの日本人はルールがあった方が良いと考えるはずです。WJP法の支配指数2016によれば日本は113か国中15番目に法の支配の得点が高いようです。そういう国なのです。
しかし、経営者の中には就業規則の明文化を避けたがる方がいます。就業規則があると自分の裁量が奪われるというのです。たしかに独裁的なことは難しくなるかもしれません。経営者も就業規則に縛られますから。そういう考えの方に聞きたいのが、独裁者の下にいたいですか。おそらく嫌なはずです。従業員も同じ気持ちだと思うわけです。
自分は就業規則などなくても従業員のために決断していくことができると考える方もいるでしょう。今はできているのかもしれません。しかし、ルールがない状況で5年後も10年後も同じようにできますか。
ノースウエスタン大学の心理学者Adam Galinsky氏の研究によれば、権力をもつほど他者の視点で物事を想像することが難しくなるようなんです。だから、今と同じように従業員のために決断していくのは難しくなるかもしれません。
だから就業規則をしっかりと作りましょうよという話でした。
2022年8月5日 伊達