未来を拓くニューロリハビリテーション:
脳・身体ネットワーク連関の増強から機能回復の最前線
小金丸 聡子
大阪医科薬科大学 医学部 総合医学講座 准教授
脳損傷後の随意運動の回復には、脳・身体ネットワーク連関の再構築が重要である。すなわち、生じた脳活動が有効に身体活動に変換され、身体活動の結果生じる末梢フィードバックが脳に伝えられる回路の回復が必要である。近年、その連関を強化し機能回復を促進する技術が開発されている。その一つが、クローズドループ刺激システムである。身体活動をトリガーに、関連する脳領域が刺激され、効率よい脳出力が可能となり身体活動が促通される。促通された身体活動に応じて、脳刺激が行われ、ループ状に脳と身体活動が増強し合う。脳―身体相互型刺激システムともいわれ、機能回復を最大化する手法として注目されている。一方、すでによく知られた技術として、ブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)がある。BCIは運動意図を示す脳活動をトリガーとして、補助デバイスが作動し、意図した動作を実現する。脳状態駆動型システムであり、特定の脳状態で刺激が入力されるが、出力は一定であり、出力結果が直接入力を変えることはない。脳―身体相互型システムと比較すると、ネットワーク連関増強作用は強くない可能性がある。
本講演では、脳・身体ネットワーク連関を増強し、機能回復を最大化するための最先端アプローチについて概説し、今後の展望について述べる。
ご略歴
Research map:https://researchmap.jp/satoko
2024年8月 - 現在:大阪医科薬科大学 医学部 総合医学講座 リハビリテーション医学教室 准教授
2024年8月 - 現在:京都大学 大学院医学研究科 脳機能総合研究センター (研究員)
2021年4月 - 2024年7月:京都大学 大学院医学研究科附属脳機能総合研究センター 神経機能回復再生医学講座 特定准教授
2019年1月 - 2021年3月:獨協医科大学 生理学講座 准教授
2017年1月 - 2018年12月:北海道大学病院 リハビリテーション部 助教
2016年4月 - 2016年12月:京都大学医学研究科 脳病態生理学講座 学振特別研究員(RPD)
2013年4月 - 2016年3月:京都大学医学研究科 認知行動脳科学講座 学振特別研究員(PD)
2011年10月 - 2013年3月:京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター 博士研究員
2010年4月 - 2011年10月:京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター 研修員・研究員
2007年10月 - 2010年3月:京都大学医学研究科附属脳機能総合研究センター 特別研究学生
2007年4月 - 2010年3月:兵庫医科大学 大学院 医学研究科 医科学専攻 高次神経制御系リハビリテーション科学 博士課程
1999年4月 - 2005年3月:京都大学 医学部 医学科 学部生
中枢神経系リハビリテーションの変遷と次世代への期待
沼田 憲治
脳機能とリハビリテーション研究会 顧問 / 茨城県立医療大学 名誉教授
本研究会が設立した1995年は、脳研究が世界的に活発化しはじめた時代背景と重なる。脳研究はとりわけ中枢神経疾患のリハビリテーションの分野が注目され、多くの研究成果が提出された。これらはエビデンスに基づく治療(以下ニューロリハとする)としてリハビリテーションの在り方にブレイクスルーがもたらされた。しかし、そうした流れの中にあっても、臨床におけるニューロリハは当初必ずしも歓迎されるものではなかった。本研究会は発足時より脳に関する基礎研究と臨床研究を中心とした学術集会、および脳画像読影や脳の機能的構造に関する研修会を開催するなど、脳科学に基づく臨床実践の振興に努めてきた。そうした努力の一端として、脳画像による病態の予測や分析、エビデンスに基づく治療の試みが徐々に散見されるようになってきた。
ニューロリハの出現によって、従来からのリハビリ手法に新たな選択肢が加わった。しかしそれぞれの手法には特殊性と限界がある。したがって、優劣をつけたり互いに対峙させたりするものではない。どの手法を選択するかは、患者が有する障害の医学的、社会的背景などによって適切に選択することが肝要であろう。
ご略歴
2024年4月-現在に至る:茨城県立医療大学 名誉教授
2020年4月-2024年3月:東京保健医療専門職大学 リハビリテーション学部 理学療法学科 教授
2019年4月-2020年3月:植草学園大学 保健医療学部 リハビリテーション学科 理学療法学専攻 教授
2007年4月-2017年3月:茨城県立医療大学 理学療法学科 教授
: 茨城県立医療大学 保健医療科学研究科 理学療法・作業療法学専攻 教授
: 昭和大学 大学院保健医療学研究科 客員教授
2002年4月-2007年3月:昭和大学 保健医療学部 理学療法学科 助教授
1997年4月-2002年3月:昭和大学医療短期大学 理学療法学科 助教授
1995年4月-1997年3月:千葉県救急医療センター 診療部集中治療科 主任
2015年4月-現在に至る:脳機能とリハビリテーション研究会 顧問
1995年4月-2015年3月:脳機能とリハビリテーション研究会 会長
1992年4月-1999年3月:千葉大学 大学院医学研究科(認知行動生理学)委託研究生
1990年4月-1995年3月:千葉県医療技術大学校 理学療法学科 講師
1989年4月-1991年3月:順天堂大学 大学院スポーツ医学研究科 修士課程
1982年4月-1990年3月:東京都立医療技術短期大学 理学療法学科 助手
1982年4月-1987年3月:千葉県千葉リハビリテーションセンター 訓練治療部 理学療法科
1979年4月-1982年3月:東京都立府中リハビリテーション専門学校 理学療法学科
1971年4月-1975年3月:中央大学 理工学部 精密機械工学科