北海道の北西部に位置し、壮大な日本海と美しい夕日、そして天売島・焼尻島という固有の自然文化を有する街、羽幌町。
2026年6月、この町に新たな地域おこし協力隊が着任した。
その名は、青空カントさん。
これまで北海道の魅力を発信するYouTubeチャンネル『NorthJapanTube』を運営し、多くのファンや仲間に愛されてきた彼が、なぜ次の舞台に「羽幌町」を選んだのか。
自身の映りよりも北海道の美しさを最優先するという独自のクリエイター哲学から、羽幌の海が見せる繊細な表情、そしてこれから地域で目指す「良い意味での有名人」としてのビジョンまで、一問一答形式でじっくりとお話を伺った。
青空カント(以下、カント): ありがとうございます!この活動名は、アイヌ語で「空」を意味する「カント」という言葉がすごく好きで、そこから決めました。 苗字はなんとなく「青空」にしてみたんですけど……後からよくよく考えてみたら、苗字も名前もまったく同じ「空」っていう意味になっちゃったんですよね。まるで「野比のび太」みたいだな、って自分でもツッコミを入れちゃいました(笑)。でも、一度聞いたら忘れないキャッチーさがあって、今ではとても気に入っています。
カント: 『NorthJapanTube』での活動を通じて、本当にたくさんの北海道愛にあふれる視聴者の方々や、一緒に北海道を盛り上げる仲間に出会うことができました。それは僕にとってかけがえのない財産です。
ただ、動画を作って外から発信を続けていくうちに、自分の中で「もっと地域に根付いた暮らしや発信がしたい」という想いが、日に日に強くなっていったんです。旅人として表面的な美しさを切り取るだけでなく、実際にその土地に住民票を移し、生活の匂いを感じながら、内側の人間として魅力を紡いでいきたい。そう考えていたタイミングで、羽幌町の協力隊の募集に出会いました。
羽幌町は、日本海、豊かな山、そして天売島・焼尻島という2つの離島まである。クリエイターとしてのインスピレーションを刺激される要素がこれでもかと詰まっている町です。「ここなら、自分が求めていた『根ざした発信』ができる」と確信して、移住を決意しました。
カント: 一番大切にしているのは、「あくまでも自分は脇役で、主役は北海道である」ということです。
今の時代、YouTubeやSNSの動画って「自分がどう映るか」「どう自分を魅力的に見せるか」を意識するクリエイターの方が多いと思うんです。普通なら、自分の映りが悪かったり、ちょっと見せたくない表情をしていたら、そのカットはボツにしますよね。でも、僕の動画では違います。もし僕の映りがどれだけ悪くても、背景に映っている北海道の景色が最高に美しかったら、迷わずそのカットを採用します。自分の見栄えなんてどうでもよくて、とにかく「北海道が一番映えること」を何よりも最優先にしています。
カント: そう言っていただけると嬉しいです。もう一つのこだわりは「音楽」ですね。僕にとってBGMは、ただ映像の後ろで流れているものではなくて、映像と同じくらい重要な要素なんです。
面白いことに、実際に現地でカメラを回して取材している時点で、その場の空気感や温度、風の匂いなんか肌で感じていると、頭の中に「このシーンにはこの音楽だ」っていう旋律が自然と浮かんでくるんですよね。だから編集のときも、その現地で浮かんだ直感を信じて音楽を選んでいます。
最近の動画のトレンドって、テンポがよくてポンポン画面が切り替わるものが好まれますよね。僕の作る動画に対して、ファンの方や周りから「音楽のパート(風景を見せる時間)がちょっと長すぎるんじゃない?」と指摘されることも実はあります(笑)。でも、そこは僕の譲れないアイデンティティ。「北海道の壮大な風景と、それに寄り添う音楽の融合」というスタイルは、時代がどう変わっても頑固に続けていきたいと思っています。
カント: 僕がこれまでやってきた「風景と音楽」というアプローチは、実はショート動画と最も親和性が高いと考えています。
羽幌町で実際に生活をスタートさせてみて、観光で一瞬訪れるだけでは分からなかったものがたくさん見えてきました。朝の澄んだ空気、夕暮れ時の潮の匂い、地元の人たちの日常の足音。そういった、ここで暮らしているからこそ五感で感じられるリアルな空気感を、そのまま短い動画や写真にギュッと凝縮して、SNSなどを通じてリアルタイムに伝えていきたいです。スマートフォンを開いた瞬間に、一瞬で羽幌町の空気の中に引き込まれるような、そんなショート動画をたくさん発信していきたいですね。
カント: 撮りたい景色は……というか、実はもう毎日のようにカメラを持って撮影しちゃっているんですけど(笑)、やっぱり「日本海の海」「夕日」ですね。これはもう、羽幌町が世界に誇れる最高の主役です。
海って、遠くから見るとすごくダイナミックで力強い印象が強いじゃないですか。でも、毎日海のそばで暮らして、毎日ファインダー越しに覗いていると、実はものすごく繊細な存在なんだということに気づかされます。
ちょっとした天気の変化や、わずかな気温・水温の差、風の向きによって、まったく違う姿や色を見せてくれる。昨日と同じ海は二度とないんです。そんないろんな「絵」を見せて表情を変えていく羽幌の海が、僕は今、たまらなく大好きですね。この繊細な移り変わりを、地元の人間ならではの視点で記録し続けたいです。
カント: まずは、「一人でも多くの町民のみなさんに僕のことを知ってもらい、良い意味での有名人になること」。これが最初の目標です。
どれだけ素晴らしい動画を作っても、作っている人間がどこの誰だか分からなければ、地域の人たちに応援してもらうことはできません。「あ、あの動画作ってるの、いつも町で見かける青空カントか!」と思ってもらえる距離感になりたいですね。
これからの季節、羽幌町ではお祭りや花火大会など、たくさんのイベントが目白押しになります。僕はクリエイターですが、ただカメラを持って遠くから撮影しているだけじゃダメだと思っています。撮影の手を止めてでも、イベントの準備や片付け、運営のお手伝いなんかに、一人の町民として積極的に飛び込んでいくつもりです。泥臭く汗を流して、地域のみなさんのお手伝いをする中で、「カント、よくやってるな」と認めてもらい、地域に深く馴染んでいくことが何よりも大切だと考えています。
カント: 羽幌町のみなさん、改めまして、地域おこし協力隊の青空カントです! 僕は羽幌町の海に、夕日に、そしてこの町のポテンシャルに惚れ込んで移住してきました。これから町の中で、カメラを構えてウロウロしたり、イベントでバタバタと動き回っている僕を見かけることが増えると思います。その時はぜひ、お気軽に声をかけてください。みなさんが知っている、地元の美味しい食べ方や、隠れた絶景スポットをたくさん教えていただけたら嬉しいです。
羽幌町以外にお住まいの方、動画を見て「羽幌の海、綺麗だな」「夕日を見てみたいな」と思ったら、ぜひ実際に羽幌町へ遊びに来てください!その時は、僕がとっておきの風景と、大好きな温泉、そして最高のロケーションをご案内します。
羽幌町の青い空のように、どこまでも広がる可能性を信じて、全力でこの町を盛り上げていきます。これからどうぞよろしくお願いいたします!