日本語教育を通じたグローバルデジタル
トランスフォーメーション(DX)人材育成
シンポジウム 2025
主催: 株式会社NiX Education
助成: ベトナム日本文化交流センター(国際交流基金)
NiX Education株式会社(以下、NiX)は、2022年にハノイで設立され、ベトナム国内のIT系大学と連携し、キャンパス内に日本語センターを設置して、提携校の学生を対象に日本語教育を提供しています。「NiXEducation」という名称は日本語(Nihongo)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、教育(Education)の3つの要素を組み合わせて名付けられました。この社名に込めた思いの通り、NiXは、日本語教育を通じてDXを支える外国籍システムエンジニアの育成を目指しています。
NiXが育成を目指すのは、技術に精通するだけでなく、多様なスキルセットや多文化共生の力を兼ね備え、日本やベトナム、さらには世界中で活躍できるグローバル人材です。「一生学び続けるグローバル人材を支援すること」を理念とし、言語学習を通じて学生が専門性を発揮しながら他者と協働できる環境を整えることを大切にしています。学生が学びを深められる場を提供することこそが、NiXの経営陣・講師陣が共有する日本語教育の目標です。
過去3年間、私たちはさまざまな課題に直面してきました。NiXは、自社開発の学習管理システム(LMS)を活用し、ブレンデッドラーニング(Blended Learning)の形式に注力するとともに、アクティブ・ラーニング(Active Learning)、プロジェクト学習(PBL)、課題基盤型学習(TBLT)、内容言語統合型学習(CLIL)、初級段階からの状況学習などの方法を取り入れています。
これらの活動を通じて、私たちは多くの貴重な経験を蓄積しましたが、同時に解決すべき多くの失敗や課題にも直面しました。そのため、これまでの活動を振り返り、日本語教育者の皆様と意見交換を行う機会を作るべく、専門セミナー「日本語教育を通じたグローバルデジタルトランスフォーメーション人材育成」を開催することを決定しました。
本シンポジウムは、国際交流基金ベトナム日本文化交流センターによる2024年度「生活・就労のための日本語教育支援」の助成を受けて実施します。本シンポジウムでは、NiX内部の日本語教師と外部の教育関係者を対象に、IT分野向けの専門日本語教育を題材とし、AI時代における言語教育の最新動向について共に考察するとともに、教育ネットワークの強化を目指します。なお、本シンポジウムには、日本語教育の専門家に加え、IT分野の教育専門家もお招きし、多分野にわたる交流や意見交換の機会も設けさせていただきます。本シンポジウムが、ベトナムにおける日本語教育のさらなる発展に寄与し、日本文化の普及や日本語教育の質的向上に繋がることを願っております。
プログラム
第1部:NiX内部向けワークショップ ※内部講師限定のため、参加申込を受付いたしません。
NiXの日本語教師を対象に、自らの教育実践を報告し、日本から招待する専門家のアドバイスを受ける場を設けます。教師のスキル向上と授業改善を目的としています。
第2部:外部向けセミナー ※以下参加申込フォームにてご登録ください。
外部の日本語教師や教育機関向けに、NiXの取り組みや日本語教育プログラムの紹介、日本語教育とIT教育を融合した教育モデルについての講演を実施します。
IT分野で即戦力となる人材を育成するために必要な教育アプローチや、IT専門知識と日本語スキルを効率的に結びつけるカリキュラム開発の事例が紹介されます。さらに、IT分野に特化した日本語教育を推進するための課題や可能性について、専門家や参加者間で意見交換を行い、IT教育と日本語教育を掛け合わせた新たな教育手法の普及と交流の強化を図ります。
開催日時と場所
日時:2025年2月6日(木)
場所:Interconnection Mỹ Đình (32 Đỗ Xuân Hợp, Mỹ Đình, Hà Nội)
地図:https://maps.app.goo.gl/amwfApzTBihsCEBp6?g_st=iz
参加対象者
第1部: NiXの日本語教師
第2部: ベトナム国内にある日本語教育機関の関係者(公的機関、民間センター等)
言語
日本語
参加申込フォーム
8時:開会のことば & NiXカリキュラムの概要紹介
NiXカリキュラムの全体像と進化の背景
ベトナム国内における日本語教育の現状と課題
今後の取り組み方針
8時30分:VKUにおける日本語教育の実践
テーマ: 「コミュニケーション能力向上を目指すPBLアプローチ」
ダナンの大学での取り組み事例紹介
学生の反応や成果、現場で直面した課題の共有
次年度に向けた改善案
9時:PDUにおける日本語教育の実践
テーマ: 「PBLにおける効果的なフィードバック」
PBL3の授業における進め方を共有
学生へのフィードバックの際に直面する課題を共有
学生と教師の振り返り
フィードバックの効果を高めるための方法について検討
9時30分:意見交換
ダナン・ハノイ両チームの発表を基にしたディスカッション
共有された課題への解決策を全員で模索
教育内容の標準化と地域ごとの柔軟性のバランスについて議論
11時:閉会のことば・記念写真撮影
14時 :開会のことば
「日本語教育の未来を多角的に考える」
14時30分:産学連携型NiXモデルの紹介:大学内正規コースのデザインと展望
テーマ:「日本語教育×専門教育の融合:大学内コースの実践と成果」
趣旨:大学内での正規コースとしてNiXがどのようにIT専門教育と日本語教育を統合しているかを紹介。カリキュラム設計のポイントや学生の反応、今後の課題について
発表者:Nguyen Thi Mai Phuong(グエンティマイフォン)
14時45分:奥多摩日本語学校の取り組み:PBLを通じた日本語教育の実践
テーマ:プロジェクト型学習(PBL)を通じた主体性を育む学習環境デザイン
趣旨: 民間日本語学校でのPBLの実践事例を紹介。主体性を育むための学習環境デザインについて、各期の具体的な取り組み事例をもとに、学習者の意識や教師の役割の変容、環境デザインの重要性についての知見を共有。
発表者:平澤 栄子(ひらさわ えいこ)
15時15分:休憩・ティーブレーク
15時30分:企業内研修コース:就職後も継続するための日本語学習デザイン
テーマ: 「実務で培った日本語教育の工夫:IT企業における継続的学習の実践から」
趣旨: 3社のITアウトソーシング企業での経験を基に、日本語教育の工夫や継続的学習の仕組みを紹介。現場のニーズを反映したカリキュラム設計や、学習者のモチベーションを維持する方法を共有。
発表者:Vuong Ngo Huong Giang (ヴォン・ゴー・フォン・ザン)
15時50分:IT系日本語学習者の独学
テーマ: 「自主学習の可能性とサポートのバランス」
趣旨: 学習者が自分で学ぶためのツールや方法について議論。特に、学習管理システム(LMS)やデジタル教材が学習者に与える影響や課題について触れる。
16時10分:座談会
テーマ: 「多様な教育現場の視点から考える日本語教育の未来」
趣旨: 各スピーカーがそれぞれのテーマを振り返り、参加者からの質問に答える形式で議論。教育現場の違いを超えて、学習者中心の教育をどのように実現するかを考える。
17時:閉会のことば・記念写真撮影
17時10分:懇親会・ネットワーキング
プロフィール情報
ハノイ貿易大学日本語学科 卒業
筑波大学大学院 人文社会科学研究科 修士課程 修了
ハノイ貿易大学日本語学部 元教員
株式会社NiXEducation共同創設者・運営責任者
本シンポジウム参加者へのメッセージ
「専門日本語プログラムの設計には、日本語教師と専門科目の教師が密接に連携することが欠かせません。これは、NiXが提携大学で実施しているIT専門日本語プログラムの経験から得た気づきです。
いかに効果的な連携を構築し、学生の学習負担を軽減しつつ、日本語学習のモチベーションを維持するか。その実践報告を通じて、この課題に対する取り組みを共有したいと思います。
また、IT分野を対象とした日本語教育プログラムに携わる先生方からのご意見をいただき、プログラム設計の改善や私たちのノウハウが皆様の教育活動に役立つことを願っています。」
グエン・ティ・マイ・フォン
(Nguyễn Thị Mai Phương)
株式会社NiXEducation、日本語教育事業総括
平澤 栄子(Eiko HIRASAWA)
日本語教育コーディネーター/コンサルタント
プロフィール情報
早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程修了。
修士(日本語教育学)
ビジネス系専門学校講師、日本語学校教務主任等を経て2020年に独立。
OKUTAMA+ education運営
本シンポジウム参加者へのメッセージ
「私は、2017年から2020年まで、日本国内でITエンジニアの育成を目的とした日本語学校を運営していました。Project-Based Learningを主軸にカリキュラムを編成し、様々な教育実践に挑戦しました。ここで得られた知見をみなさんと共有できるのを楽しみにしています。ご一緒に新しい日本語教育の可能性を切り拓いて行きましょう。」
参考情報:
・日本語教育いどばた:「日本語クラス潜入レポート vol.4 奥多摩日本語学校」
・ヒラサワエイコ:Note+
プロフィール情報
ハノイ貿易大学卒業
青森中央学院大学大学院・経営経済学研究科 修士課程修了
ベトナムIT企業での10年の職務経験(ITセールス、アカウントマネージャー、BrSE、プロジェクトマネージャー、事業部長、COOなど)
資格:PMI-PgMP®、PMI-PMP®、PMI-ACP®
本シンポジウム参加者へのメッセージ
「3つのITアウトソーシング企業での経験を基に、社内向け日本語研修プログラムの構築や社員への日本語指導についてお話しできることを大変光栄に思います。私の発表では、企業の業務ニーズに合ったプログラム設計や、社員が長期的に学習意欲を維持できる方法に焦点を当てます。
この経験が、皆様にとって実践的で有益なアイデアとなれば幸いです。」
ヴォン・ゴー・フォン・ザン
(Vương Ngô Hương Giang)
チャン・ゴック・ソン
(Trần Ngọc Sơn)
株式会社DSTSolution、COO
プロフィール情報
第一工科大学 電子情報システム工学科 卒業
日本国内の大手建設会社にて、TechleadおよびBrSEとして従事
開発者(Dev)、Techlead、BrSEなど、合計8年間の実務経験を持つ
オフショア開発およびゲームプログラミング分野でのスタートアップ企業を創業
本シンポジウム参加者へのメッセージ
「日本で10年以上の生活、学習、そしてIT業界でのプロジェクト管理の経験を持つ私は、これまでの日本語学習の道のりを皆さまと共有できることを大変光栄に思います。
このセッションでは、仕事や日常生活で効果を発揮した日本語の学習法やスキル向上の方法を紹介します。また、IT専門の日本語教育において同僚を指導した経験についてもお話ししたいと思います。
私の体験が、実用的な価値を皆さまにお届けできることを願うとともに、この場を通じて先生方や参加者の皆さまから学ばせていただけることを楽しみにしております。」