Research
転移因子とゲノム進化
生物のゲノムには、自ら移動できるDNA配列である「転移因子(Transposable Elements)」が存在します。
転移因子は突然変異や進化の原動力となる一方で、その活動は厳密に制御されています。
本研究室ではイネをモデルとして、
転移因子の活性化機構
エピジェネティック制御
ゲノム多様性の創出
を研究しています。
低温プラズマ生物学
低温プラズマは植物の発芽や生育に影響を与えることが知られています。しかし、その仕組みはまだ十分に解明されていません。本研究室では、
発芽促進
生育応答
遺伝子発現変化
エピゲノム変化
に着目し、低温プラズマと植物の相互作用を研究しています。
超低温保存と生命の再起動
液体窒素中(−196℃)では細胞活動はほぼ停止します。それにもかかわらず、適切に保存された植物組織は再び成長を開始します。本研究室ではカンキツをモデルとして、
超低温保存技術の開発
保存後の再生機構
細胞間情報伝達
ストレス応答機構
を研究しています。
活性なDNAトランスポゾンとは?
DNAトランスポゾンを用いたイネ遺伝子の機能ゲノム学
ゲノム配列が明らかになった多くの生物では、ゲノム中に多くの転移因子(トランスポゾン)が存在することが明らかになっています。しかしその多くはDNAのメチル化などの修飾を受けて、不活化されています。その中に極まれに転移する事ができるトランスポゾンが存在しています。そのうち、ゲノムの中からDNAのまま切り出されて再挿入する様式で転移するトランスポゾンの事をDNAトランスポゾンといいます。ゲノム中の存在している多くトランスポゾンは、ジェネティックやエピジェネティックな要因によって、その転移は抑制されています。その中で極まれに転移する活性な因子の事が活性な因子です。
活性なトランスポゾンの転移は宿主にとって有害なので、ゲノム中の因子により抑制されているが、転移する事ができる活性型のDNAトランスポゾンが存在した場合、植物では花や葉の斑入り模様として観察できます。イネのゲノム中の13%を占めるDNAトランスポゾンの中から、自然栽培条件下で転移できるhATファミリーに属する複数の活性型を同定し、その転移機構と転移を制御しているゲノム中の因子を明らかにすることを目指しています。活性型と不活型のへの変化は、DNAのメチル化などのエピジェネティクな制御を受けており、さらに活性型をトランスに制御できる因子がゲノム中に存在していたので、その構造と制御機構の解明を行っています。また、同定したDNAトランスポゾンのうち、遺伝子に挿入し易い性質をもっていたnDart1は、遺伝子の機能破壊や機能改変した突然変異体を分離する遺伝子タギング系統の作出に適した性質を持っていました。更に遺伝子機能の欠損した変異体だけでなく、優性変異を含む興味深い変異体も分離してくるのでイネの新規遺伝子の解析も行っています。
nDartを使ったイネの遺伝子機能の解析
nDartは自然栽培条件下で転移することができるDNAトランスポゾンです。転移をするためには、自立性因子であるaDartが必要ですが、不思議なことにaDartはイネゲノム中では転移を検出できていません。エピジェネティックな制御を外してあげると転移することができるので、イネゲノムの中では転移酵素を供給してnDartを転移させているだけで、自分自身は転移できません。aDartを遺伝的に分離することで、nDartの挿入によって得られた変異体は遺伝的に安定な性質を持ちます。
これまでの解析から、nDartは遺伝子領域に挿入しやすい性質を持っていることがわかっています。そこでnDartが活発に転移する系統を育てることによって、様々な突然変異体を分離して機能未知遺伝子の機能解析を行なっています。さらに、優勢や半優勢な変異体も出現するので新たな遺伝子破壊系統を作ることを目指しています。