東京工業大学-基礎生物学研究所-生理学研究所-中部大学
合同マッチングワークショップ
生命と情報の新たなる融和:超階層生物学とAI・数理
日時 : 2024年2月21日(水) ~ 22日(木)
場所 : 岡崎コンファレンスセンター(OCC)
主催 : 基礎生物学研究所、東京工業大学
共催 : 生理学研究所、中部大学
後援 : 自然科学研究機構オープンミックスラボ公募研究プログラム (課題番号OML042301)
超階層生物学とAI・数理
基礎生物学研究所や生理学研究所では早くからAI解析に注目し、中部大学AI数理データサイエンスセンター等との外部機関と連携を進めてきました(下記参照)。その成果として、生き物の野生型と変異体の行動の違いの検出、脳のAIモデルで錯視知覚の再現、レザバー計算を用いた脳の知覚学習数理モデル、多様体学習で脳波ダイナミクスの個性の可視化、等の研究を進行しています。この様に、「AIによる学習」と「学習に用いるデータ」を多彩に組み合わせることで生命科学分野のデータから”未踏の新たな学術的意義”を見出せることを示唆しており、さらなるAIの利活用が重要となってきました。
そこで今回、未踏の学術的意義の発見につなげる生命科学と情報科学の連携研究グループ形成を目指して、本ワークショップを開催します。生命科学と情報科学の両者の分野で研究を展開している東京工業大学、基礎生物学研究所、生理学研究所、及び、中部大学の研究者や大学院生が一同に介し、「対面形式でのシーズ・ニーズマッチング」を進めることで、新たな連携研究の芽出しを目指します。重要な点は、生命科学で取得されたデータや情報科学で確立された解析手法は互いにシーズとなり、生命科学研究者が目指す解析の方向性やAI科学研究者が知りたい取得されるデータの多様性はそれぞれがニーズとなる、という事です。生命科学の研究者とAI科学の研究者がお互いに顔を突き合わせて議論し、両者の垣根を下げ、4機関での生命科学と情報科学が連携した新たな研究の展開を目指す場を提供したい思います。
今回のワークショップでは一つのテーマを設定いたしました。それは「超階層生物学とAI・数理」です。現代の生命科学では、遺伝子から高分子、細胞小器官、細胞、組織、器官、個体、個体群にいたる様々な階層に渡る生物現象の研究が進められています。これらの階層を超えて生物現象を統合的に理解する必要があり、基礎生物学研究所はそれを「超階層生物学」と呼びます。しかしながら階層間の因果関係は極めて複雑で、これを理解するためには現象を観察・測定するだけではなく、数理・統計・機械学習・人工知能(AI)など情報科学の力で因果関係を解き明かしていく必要があります。例えば、Alphafold2というAIは、アミノ酸一次配列からタンパク質の立体構造を推定しますが、これは一種の超階層生物学であると言えます。その因果関係は未だAIのブラックボックスに隠されてはいますが、アミノ酸一次配列という階層とタンパク質の立体構造という階層を情報科学が橋渡しをしたことによって研究の可能性は大きく広がりした。
私たちはAlphafold2はまだ始まりに過ぎないと考えます。AIを始めとする情報科学の手法はまだ見ぬ階層間の暗闇に光を照らしてくれるのではないでしょうか。「超階層生物学」では、生命科学の様々な階層から、多様なデータを使ってアプローチすることが可能です。生命科学も情報科学も、個々の研究者にはそれぞれの熱い思いがあるはずで、それらを統合することにより階層を乗り越えていく原動力になっていきます。「超階層生物学とAI・数理」というキーワードで岡崎の地に集まり、生の議論をぶつけ合うことで、新しいカテゴリーが生まれていくことを私たちは期待しています。みなさんの熱い議論をお待ちしております。
Time table
2024年2月21日(水)
10:00~11:00 受付
11:00~11:15 開催挨拶
阿形清和(NIBB 所長)
11:15~12:15 招待講演1:
説明可能AIで探る生命の複雑さ
宮野 悟(東京医科歯科大)
12:15~13:15 昼食
13:15~14:00 機関別講演:基礎生物学研究所
ライブイメージング画像を用いた多細胞
組織内の力の3次元推定とAIの活用
小山 宏史(基礎生物学研究所)
基礎生物学研究所で展開している「おもしろ生物」の超階層生物学
重信 秀治(基礎生物学研究所)
14:00~14:45 機関別講演:東京工業大学
サブリーマン幾何学の空間識および
イメージングへの応用
荒井 迅(東京工業大学)
AIで広がる分子設計の可能性
大上 雅史(東京工業大学)
14:45~15:15 コーヒーブレイク
15:15~16:00 機関別講演:生理学研究所
ヒトの脳波非線形ダイナミクスを
対象としたデータ駆動型脳科学
北城 圭一(生理学研究所)
脳波と人工知能技術を用いた協調技能に
関する脳情報特徴量抽出の試み
上原 一将(生理学研究所)
16:00~16:45 機関別講演:中部大学
基盤モデルによる第4次AIブームの到来
藤吉 弘亘(中部大学)
動物行動分析のための教師なし機械学習
森田 尭(中部大学)
16:45~16:50 ショートブレイク
16:50~17:10 総合討論
17:10~17:15 移動(大隅ホール→中会議室)
17:15~18:45 ポスター発表&個別議論
※ポスター発表番号、及び、セッションの詳細は
こちらをご覧ください。
18:45~20:00 交流会
2024年2月22日(木)
9:00~10:00 招待講演2:
生成 AI で読み解く多細胞システムダイナミクス
島村 徹平(東京医科歯科大)
10:00~10:30 招待講演3:
計算科学研究センターの施設紹介:
超階層生物学で有効利用いただくために
江原 正博(分子科学研究所)
10:30~10:45 コーヒーブレイク
10:45~11:45 グループディスカッション
テーマ1:基盤AI
テーマ2:超階層生物学
テーマ3:行動x情報処理
テーマ4:生命数学の可能性
※詳細はこちらをご覧ください。
11:45~12:00 閉会挨拶
高安 美佐子(東京工業大)
12:00~13:00 昼食
13:00~15:30 施設見学(希望者のみ)
講演予定者 ※順不同
宮野 悟 東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター・センター長
島村 徹平 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 計算システム生物学分野・教授
江原 正博 分子科学研究所 計算科学研究センター・センター長/教授
荒井 迅 東京工業大学 情報理工学院・教授
大上 雅史 東京工業大学 情報理工学院・准教授
重信 秀治 基礎生物学研究所 進化ゲノミクス研究室/TSBセンター トランスオミクス解析室・教授
小山 宏史 基礎生物学研究所 初期発生研究部門・助教
北城 圭一 生理学研究所 神経ダイナミクス研究部門・教授
上原 一将 生理学研究所 神経ダイナミクス研究部門・准教授(兼任)
藤吉 弘亘 中部大学 理工学部AIロボティクス学科・教授
森田 尭 中部大学 創発学術院・特任講師
ポスター発表
本ワークショップでは、4機関からポスター発表を受け付けています。
現地での議論や交流に積極的な参加をお願い致します。 特に若手研究者や大学院生の方は大歓迎です。
詳細は下記「参加者の皆さまへ」をご覧いただき、参加登録は各機関のコーディネーターにお問い合わせください。
各機関の参加者の皆さまへ
ポスターの発表形式は「100人論文」をベースとし、サイズは自由です(最大でA0のポスターを掲載可能ですが、A3サイズでも構いません)。
必ず以下の3点を含めていただくようお願い致します。
(1)「私の研究(関心事)はこんな感じ」
(2)「こんなことに挑戦したい!~他分野の研究者と一緒に新しくチャレンジしたいこと~(実現できるかは別問題)」
(3) 「私、こんなことができます、こんなデータ・手法を提供できます。」
ポスター発表について、機関ごとの分野の縛りは設けていません。情報工学、生命科学双方から興味を持っていただける方はぜひご参加ください。
お弁当代、交流会費を徴収させていただきます。詳細は後日、ご連絡いたします。
2日目の午後に、基礎生物学研究所と生理学研究所の施設見学の時間を設けています。生命科学のデータが生まれる場所をぜひ御覧ください。
参加申し込みフォーム
東京工業大学、中部大学、自然科学研究機構に所属されている方限定のワークショップです。講演者の方は申し込みの必要はありません。
関連するイベントのご紹介
科研費学術変革領域 先端バイオイメージング支援プラットフォーム(ABiS)が主催するシンポジウムが2024年2月19日(月)~20日(火)に岡崎コンファレンスセンターにて開催されます。バイオイメージングデータの取得や解析に関する講演も行われます。ぜひ、ご参加ください。
ABiSシンポジウム 〜バイオイメージングの未来:モダリティを超えて〜
日時: 2024年2月19日(月)13:00 ~ 20日(火)12:15
場所: 岡崎コンファレンスセンター
※詳細は以下のWEBサイトをご覧ください。https://www.nibb.ac.jp/abis/ev20240219/
「第37回 自然科学研究機構シンポジウム」が2024年2月23日(金/祝)に東京・国立科学博物館 日本館 講堂にて開催されます。『生物界にも分子や数学によって生成される秘密のルールがあるのだろうか!?』と題し、オンサイト開催とオンライン配信のハイブリッド形式で開催します。学生や若手研究者の皆様には、ぜひ、こちらにもご参加ください。
第37回 自然科学研究機構シンポジウム『生物界にも分子や数学によって生成される秘密のルールがあるのだろうか!?』
日時: 2024年2月23日(金/祝)13:00 ~ 17:00
場所: 国立科学博物館 日本館 講堂(東京・上野)
※詳細は以下のWEBサイトをご覧ください。https://www.nibb.ac.jp/sympo37/
(参考)基礎生物学研究所の過去の連携イベント。第3回 中部大学・生理学研究所・基礎生物学研究所連携セミナー ”AIと生命システム” https://sites.google.com/nibb.ac.jp/ai-to-seimei/
会場
岡崎コンファレンスセンター
岡崎のふたつのキャンパスの中間あたりに位置しております。
基礎生物学研究所からは徒歩5分、最寄りの名鉄東岡崎駅からは徒歩20分ほどです。
会場建物内ではEduroamがご利用いただけます。
また、自然科学研究機構のゲストネットワークも提供いたします。
ファシリテーター・コーディネーター
東京工業大学
ファシリテーター: 高安 美佐子(情報理工学院 教授)
コーディネーター: 加藤 英之(研究・産学連携本部 リサーチ・アドミニストレータ)
基礎生物学研究所
ファシリテーター: 渡辺 英治(超階層生物学センター AI解析室 准教授)
コーディネーター: 立松 圭(研究力強化戦略室 RMC助教)
生理学研究所
ファシリテーター: 北城 圭一(神経ダイナミクス研究部門 教授)
コーディネーター: 丸山 めぐみ(研究力強化戦略室 特任准教授)
中部大学
ファシリテーター: 藤吉 弘亘(理工学部 AIロボティクス学科 教授)
コーディネーター: 桑畑 裕子(創発学術院 学術推進機構URA組織 准教授(URA))
協力者:
亀井 保博(基礎生物学研究所 超階層生物学センター RMC教授)
加藤 輝(基礎生物学研究所 超階層生物学センター RMC助教)
小泉 周(自然科学研究機構 共創戦略統括本部 特任教授(統括URA))
連絡先
基礎生物学研究所 研究力強化戦略室 国内国際連携グループ
立松 圭(RMC助教) ktatem@nibb.ac.jp
基礎生物学研究所 超階層生物学センター AI解析室
渡辺 英治(准教授) eiji@nibb.ac.jp