Cryopreservation Conference 2023(クラカン2023)でご講演いただく皆様を紹介いたします。
■ 招待講演者
北海道大学大学院 理学研究院 生物科学部門
講演タイトル:「家禽配偶子の保存と体外受精技術の開発に向けて」
家禽の受精卵や配偶子(精子と卵子)を長期に保存する技術は未だ確立されていない。特に多量の卵黄が蓄積した卵の保存に関しては、1日の保存すら叶わず、光明すら見出せていない。また鳥類に特異な多精受精の存在もまた鳥類体外受精技術発展の弊害となっている。我々は、ニホンウズラ卵を用いて、多精侵入の本質的な意義の解明に取り組んできた。本シンポジウムでは、ニホンウズラやニワトリ卵を用いた体外受精技術の現状を紹介する。さらに、凍結保存精子の受性能や鳥類卵の特性を利用した卵子の低温保存についての新たな試みについて解説したい。
農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
講演タイトル:「高病原性鳥インフルエンザや自然災害に備えた家禽遺伝資源の保存」
近年、高病原性鳥インフルエンザ感染や自然災害による養鶏業への被害が恒常化している。我が国では都道府県の約80%が地域特産鶏を生産しており、その大元となる種鶏を細胞レベルで保存することが喫緊の課題となっている。しかしながら大きな卵黄をもつ鳥類は、ヒトやウシなどのように受精卵の凍結保存は困難である。そこでニワトリをはじめとする家禽では精子や卵子の源の細胞である始原生殖細胞(PGCs)を利用した遺伝資源保存技術の開発が進められている。本講演では最新のPGCsの採取・凍結保存技術、凍結PGCsからの個体生産技術および講演者らが現在取り組んでいるPGCs凍結技術普及事業について紹介する。
筑波大学 生存ダイナミクス研究センター
講演タイトル:「始原生殖細胞凍結によるショウジョウバエ系統の保存」
遺伝子の働きを解析するには、突然変異などの遺伝的系統が必要である。これらの系統を保存し、後世に残すことは、基礎研究だけでなく産業分野においても重要な課題である。モデル生物では、このような遺伝資源を長期間にわたり安定的に保存するために凍結保存が用いられている。しかし、モデル動物の一つであるキイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)では、系統の凍結保存技術が確立していなかった。そこで、私たちは、始原生殖細胞を凍結保存することにより、系統を保存する技術を開発した。始原生殖細胞は、次世代の個体を作ることができる唯一の細胞であり、凍結保存した始原生殖細胞を不妊宿主に移植することで、始原生殖細胞を得た系統を復元することができる。この技術は、国内のショウジョウバエのストックセンターに移転済みである。
■ 施設見学先機関 講演者
国立環境研究所 生物多様性領域 微生物系統保存施設
講演タイトル:「NBRP藻類における多様な藻類リソースと凍結保存」
国立環境研究所 生物多様性領域 生態リスク評価・対策研究室
講演タイトル:「国立環境研究所における絶滅危惧種の遺伝資源保存事業のこれまでと今後の活動について」
理化学研究所 バイオリソース研究センター 遺伝工学基盤技術室
講演タイトル:「理研BRCの役割と平衡ガラス化法の宇宙実験への応用」
農業・食品産業技術総合研究機構 基盤技術研究本部 遺伝資源研究センター
講演タイトル:「農研機構における超低温保存技術開発とジーンバンク事業への実装」