協力隊の鈴木です。
2025年6月の活動報告になります。
東北北部は6月14日頃から梅雨入り発表となり、村でもしばらく雨が続くかと思いきや、結構晴れていた1ヶ月?だったような気がします。気温も6月にしては真夏を先取りしてしまっている日があったりなど、自然環境への適応力が求められる今日この頃です。最近は7、8月に大雨警報がよく出る傾向なので常日頃から注意が必要ですね。
一方、季節はしっかりと巡っていて、村にも気持ちのいい夏がやってきました。周りを囲む山々と田んぼの緑色が綺麗に色づいてきて、日本の原風景ってこういうのだよなと思わせる風景が村には広がっています。
夏ならではの行事もこれからたくさん控えているので、協力隊として過ごす最後の夏を楽しみたいと思います。
さて、今月のトピックスは下記3件になります。
仙北道踏査活動・自然観察教室へ参加、古文書解読講座、仙人太鼓の演奏など、村の自然にまみれながら太鼓を叩いたり古文書を読む1ヶ月でした。
その他では、歴史探訪教室の開講式がふる里館で行われ、年間スケジュールについての話し合いが行われました。来月には以前に紹介していたお隣宮城県は村田町歴史みらい館での見学ツアーも控えており、そちらでは東成瀬村で見つかった「猫絵の掛け軸」が出張展示される予定であり、どんな形で会えるのか今からとても楽しみです!
仙北道を歩き始めて3年目のシーズンがやってきました。
毎年6月の「弘法の祠まつり」がスタートとなり、月末には本格的な踏査が続きます。
まずは弘法様を奉っている祠まで歩き、お堂周辺の清掃とお供えなどを行いました。
仙北道を知り尽くしたベテランメンバーにようやくついて行けるようになったのか、あっという間に弘法様まで辿り着きました。
お堂の状態確認と御神酒や御幣などを用意します。今年は熊による被害もなく無事でしたね。
毎年必ず集合写真を撮ります。
何百年と行き交う人々を見届けてくれている弘法様に感謝の気持ちを込めて。歴史を今まさに紡いでいっている瞬間でもありますね。
帰りはブナやナラではなく杉の木々がそびえ立っています。行きと帰りで雰囲気がまったく違うことに毎回驚かされます。
無事に行程を終えたあとは、直会のように全員で食事を取ります。
村で採れた新鮮な山菜料理(ミズの味噌汁、ワラビの一本漬けなど)をいただきながら、仙北道でのエピソードを語り合いました。
続いて、6月末に行われた仙北道踏査活動についてになります。
行程は林道終点の「姥懷」~「柏峠」、姥懷まで戻って「首もげ地蔵」になり、約12㎞となりました。
仙北道を歩く時は必ず御神酒とお塩を供え、二礼二柏手一礼を行ってから行きます。山の神様を敬う気持ちを忘れない事が山歩きの基本中の基本ですね。
最も眺めのよい「丈のくら」から「柏峠」へ向かう稜線沿いの道です。
写真右側には雄大な山々が広がり、いつ来てもワクワクする場所ですね。
「柏峠」に到着し、いつも通り集合写真を撮ります。
安心と安全のメンツです。願わくばもう10年くらい一緒に歩いていたいです...。
ちなみに東山が見えるのですが、なぜかいつ来ても雲がかかっていてよく見えないんです。
ばっちり晴れた日に写真を撮れるまでは歩き続けなければいけませんね!
「丈のくら」へ向かう稜線沿いの道です。先程の写真とほぼ同じ位置で撮っていました。
こちらが「丈のくら」から見える絶景です。これでもかというくらい緑色に染まった景色は見応えたっぷりです。
よく見ると焼石岳山頂付近には雪が残っています。
谷底にも雪が残っていたのでスマホを伸ばして撮影してみました。
季節感がごっちゃになりますが、自然環境の面白さも学べますね。
新緑あふれる6月の仙北道は個人的にかなりオススメします。
気温もそれほど高くなく、適度に風が吹いてくれるので汗だくレベルもそこまで高くないと思います。
そしてこの季節でしか生息していない蝉である「エゾハルゼミ」などの鳴き声が聞こえるので、初夏を感じるにはぴったりなのです。
次回は8月末、本来であれば岩手県側に抜ける全ての行程を歩きたい所ですが、諸般の事情で今年も途中までになる予定です。現在中心になっているメンバーも年齢が高くなり、通り抜けができるかどうか...という話がいよいよ現実味を帯びてきているところです。元気な内にもう一度だけでも歩きたいという気持ちが高まってきているので、トレーニングを積みながら、なんとか歩けるように力添えをしていきたいと考えています。
最後に今年度1回目の自然観察教室について紹介します。
場所は村と岩手の県境近くにある「すずこやの森」で、移住して間もない頃に訪れた以来、久しぶりに来ることができました。
希少種である「ナベクラザゼンソウ」や「クリイロキセルガイモドキ」(陸生の巻貝の一種)を探索しながら、森の道を進んでいきます。
小さな沢もあり、水の流れる音と森に吹く風の音、そして蝉の鳴き声が合わさり、美しい音色が聞こえてきます。
帰り道、少し時間に余裕があったのでパークゴルフ場内にある「巨大地すべり岩塊」を見にいきました。
村を流れる成瀬川沿いは東北でも有数の大規模地すべりが分布する所であり、敷地内を含む柳沢地区全体が地すべり現象によって形作られているとの研究結果が出ているそうです。
大自然に囲まれた東成瀬村ですが、地質や地理的要素でも興味深いことが多いので、満遍なく知識を深めていきたいですね。
お隣の横手市さんより、市商工会の合併15周年記念祭にご招待をいただき、仙人太鼓の演奏を披露させていただきました。
あいにくの雨模様となり、急遽屋根のあるステージへと変更、大きな柱との共演という形になりました。
仙龍翔舞と仙路を続けて披露させていただき、最後はおまちかねの道中タイムです。
観に来て下さったお客様方は大変ノリがよく、楽しみながら太鼓を叩いていました!
老若男女に大盛況で終え、子供達にはキャンディーなどのお菓子をプレゼントします。
いつか仙人太鼓で太鼓を叩いた日を思い出してくれる時が来たら...なんだかエモい感じになりますね。
今回のお祭りは丸一日かけた大ボリュームなもので、我々の他にも秋田が誇るご当地ヒーローである超神ネイガーショーや角館おやま囃子、そして100年以上の歴史がある鍋倉ばやしなど、たくさんのステージが用意されていました。
上写真はその内の一つであるRANCY&ROWGUN's のバンド演奏場面です。実は私、若かりし頃にほんの少しだけバンドを組んでいまして。ボーカルをやったりドラムを叩いたりしていたのはどうでもいいですが、その当時のメンバー1人と劇的再会を果たしたのがこの日でした。
約10年ぶりに会いましたが、お互い基本は変わっていないもんなんですね。相変わらずドラムを愛し、いろんな事にチャレンジしている。次に会う約束なんてことは交わさず、また会おうで別れました。
これから控えている乱視&老眼に負けずに頑張っていこうな。
今月も秋田県公文書館にて古文書解読講座を受講してきました。
講師はいつもお世話になっている畑中先生で、第3、4回の教材は「絵本真田三代記 全」と「女大学」「廻文」になり、主に変体かな文字が使われている資料になります。
真田三代記は真田昌幸・真田幸村・真田幸隆の三代が徳川家を相手に躍動していく物語で、江戸中期~明時頃にかけて語り継がれてきた軍記物語です。
先月の講座で勉強した「鼠小僧次郎吉尋問書写」の読み下しの回答が配られ、答え合わせをしていきながら正解率が低いくずし字を中心に解説をしていく流れが前半で、後半はいよいよ変体かな文字へ挑戦です。
私達が普段使っているひらがなは「正体かな文字」と言い、一つの音韻に対して一つの字が当てられていることが前提で教育を受けてきましたが、そもそもひらがなは一つの音に対していくつかの字が当てはめられていたのをご存じでしょうか?
年代にすると1900年(明治33年)以降の学校教育などで用いられていないひらがなのことを「変体かな」と区別でき、例を挙げると「す」というひらがなには「寸」「春」「須」「数」「寿」「受」の6つの文字が使われていました。
いや、なんで「寿」が「す」になるの?と思った方、意外にもたまに見かけることがある文字かもしれません。グルメな人はすぐにお気づきかもしれませんが、「お寿し」という看板を見かけたらそれが正解です。つまり「お寿司屋さん」では未だ現役ということになります。
ちなみに「す」は「春」と「須」で書かれることが多く、この文字がさらに崩れているので読みづらいんです...。
「絵本真田三代記 全」では漢字の文章にふりがなという形で変体かなが使われており、文章自体も楽しみながら読めるグッドな教材でした。
上写真は「女大学」という江戸中期以降に広まった女性のためによる教訓書の内容になります。
女子名尽と題して、女性に使われる主な名前を水金地火木の属性で分類したもので、それぞれに漢字と変体かなで記載されているのが分かります。
ぱっと見てなんとなく読めるものもいくつかありますが、いやこれ何て読む?みたいなひらがながまさに変体かななんです。
菅原家文書でも当然のように出てくるので、とにかく文字を読んで頭と体に叩き込みたいと思います!
例のおばあちゃん家ではプロ野球を観ながらご飯をいただく機会が多いのですが、いつも野球とまったく関係の無い話をしながら過ごします。
「両親には感謝、親孝行は常にしなきゃダメよ」と一言。
今度帰省したら何か言葉をかけたり、美味しいものでも食べに行こうかな、そんな優しい気持ちを芽生えさせてくれる素晴らしい言葉の次に決まって出るのが「うちはなんにもないから...」
時々感情が読み取れず沈黙が流れます。これもまた人生。
最後に一言、網戸でも小さい虫は入ってきます。
これはガチです。