協力隊の鈴木です。2024年3月の活動報告になります。
例年にない暖冬シーズンを経て、東成瀬村での春を迎えるための日々を過ごしてきました。
3月下旬からは最高気温が10℃以上の日が見られ、降り積もった雪たちがどんどん溶けていく毎日です。
雪寄せ業務が少なくとても楽だった反面、5月や6月の農業用水に使用される雪解け水が不足するという懸念があります。山々からの綺麗な雪解け水の恩恵を受けて育つ作物達がこの地域を支えている、と言っても過言ではないと私は思っているので、深刻な問題にならないことを祈るばかりです。
さて、今月のトピックスは下記3つになります。
昔の道具についての勉強会、なるせ芸術文化祭、埋蔵文化財基礎講座・埋蔵文化財担当職員連絡会などが行われました。
埋蔵文化財基礎講座・埋蔵文化財担当職員連絡会では、文化財保護法のうちの埋蔵文化財保護制度について学びました。村へ着任する前から少しずつ勉強していた分野でしたが、専門とする先生方からのお話を聞くことができ、実りある時間となりました。
来月で私が村に移住して1年となります。暖かい春、猛暑の夏、涼しい秋、暖冬の四季を過ごし、ようやく村の一員になれたのかなと思うこの頃です。新たな活動も控えているので、まずは健康第一に生活していきます。
村の小学校3年生の生徒達がふる里館を訪れました。
展示されている昔の民具や農具について、櫻田館長と友信さんからの説明を聞きながらまわり、様々な質問を投げかけていました。
「けらこ」などを実際に使用した事がある友信さんからの説明を受けた際は、『おじいちゃん、おばあちゃんちで見たことがある!』『昔の人達の知恵ってすごい!』などの声が多く挙がり、興味津々に聞いていました。
私が小学生の頃も同じように昔の道具についての勉強があったので、懐かしくもあり、若い世代の人達へちゃんと受け継がれて行く姿を見ることができました。
Z世代、デジタルネイティブ世代などと呼ばれる存在であり、生まれたときからIT技術が身近にあり、それらを幼い頃から使いこなしている生徒達独自の目線で観察していて、例えば鉄製アイロン(炭の熱気を用いて衣服のシワを伸ばすもの)の説明を聞くと、現環境で使われている最新アイロンと比較した感想が出てきたりしていました。
私が小さい頃から使ってきた道具たちもあと30年もすれば史料として扱われ、櫻田館長や友信さんの立場となって未来の子供達へ説明をする日がくる...そんな妄想も膨らんだ1日でした。
村の地域交流センターゆるるんにて、東成瀬村芸術文化協会発表会 なるせ芸術文化祭が開かれました。
私はなるせ仙人太鼓メンバーとして曲の演奏で出演させていただきました。
個人的な理由で直前まで練習に参加できずにいたので不安がありましたが、去年の夏に猛練習した曲であったため体が覚えていました。久しぶりにお客様を前にした演奏だったのでとても楽しかったです。
その後は舞台裏スタッフとして各ステージを見守りましたが、出演者のステージ発表に対する意気込みがとても熱く感動させられました。
生涯学習教室しかり、東成瀬村の人々は郷土芸能文化を愛する気持ちがとても高いと思っています。そして、発表会という目標に向けて日々努力を積み重ね、かけがえのない時間と成果を得ることが村全体を活気づける要素かもしれないとも思いました。
素敵な発表会をありがとうございました。
埋蔵文化財保護行政基礎講習・令和5年度市町村埋蔵文化財担当職員連絡会が秋田県秋田地方総合庁舎にて開催され、東成瀬村代表として初参加させていただきました。
それぞれの目的について、基礎講習では埋蔵文化財に関する文化財保護法の条文や判例の解説等を行い、県内担当職員の埋蔵文化財保護制度に対する理解の向上を図り、各自治体における制度の適正かつ円滑な運用に資することとし、連絡会では埋蔵文化財保護に関する近年の動向や調査・活用事例等の情報を県・市町村の担当職員間で共有し、県内の埋蔵文化財保護の充実及び協力体制の強化を図ることとしています。
埋蔵文化財保護行政基礎講習では、文化庁主任調査官の近江俊秀さんによるビデオ講義のもと、文化財保護法中の埋蔵文化財に関する規定について、制定と改定の歴史や規定の運用等について学びました。埋蔵文化財保護に携わる身として、絶対に習得しなければならない知識であることを改めて感じました。
埋蔵文化財担当職員連絡会では、始めに文化財主査(兼)班長 ※元県埋蔵文化財センター所長である谷地薫先生による講演がありました。谷地先生がこれまで体験してきたことを、ユーモア溢れる内容で説明されており、その中には哲学的なアプローチもあり非常に興味深いお話でした。中でも印象深く残っていることとして、「法令分の理解力を身につける」ことが論理的思考力の訓練に適していると仰っており、学ぶべき法律が文化財保護法に絞られるため集中して勉強することが可能であり、文化財保護の仕事の根本マニュアルかつ手引書になる、という言葉がありました。今まで、埋蔵文化財の種類や遺跡の名前などにばかり注目していた自分には目から鱗の内容で、取り組むべきことが明確化した瞬間でした。
次に横手市とにかほ市の担当者による研修内容報告があり、どちらも奈良文化財研究所主催による研修で、先月に同じく奈良文化財研究所写真室の中村先生による講義を受けた後でのお話だったため、親近感の湧く内容でした。特ににかほ市の担当者の方が話していた、1ヶ月間におよぶ奈良文化財研究所研修が興味深く、まったくのゼロ知識で参加しても問題なし!まったく興味が無かった分野だったがどんどんのめり込んでいった!という内容で、私も奈良への出張を考えてしまうほどでした...
最後に、案件紹介と各市町村担当者との情報交換会が行われました。中でも、作業員確保に関する諸問題が盛り上がり、短期雇用が年々難しくなってきていて、シルバー人材センターでも人材不足が問題になっていることなどが挙げられました。結局、なんとかして委託企業を見つけるしかない...という答えになり、人材不足問題は本当に深刻化していることを痛感させられました。
担当職員として名乗るにはほど遠い経験と知識しかない身ですが、吸収力は誰にも負けないつもりで今後も勉強していきます。まずは谷地先生のお話にもありましたように、埋蔵文化財保護に関する法令をマスターしていきたいと考えています。
写真にあります看板について、村の歴史に詳しい方からふる里館へ寄贈いただいたものになります。
短角牛と聞くと、『幻の短角牛なるせ赤べこ』を思い浮かべますが、まさにその短角牛を放牧していた所に建っていた監視小舎の看板とのことでした!(若い頃、実際に勤務していたとの事です!)
焼石岳の8合目にあたる場所は、元々牛を放牧していた場所であり、一緒に登った方からも放牧の歴史について聞いていました。そして、その歴史を裏付けるかのごとく当時の看板を見ることができたので、点と点が結びつく歴史を学ぶ醍醐味を体感しました。
ちなみにその方からは看板と一緒に、当時の運営日誌?にあたるものも見せていただきました。放牧の歴史は途絶えてしまいましたが、牛の飼育自体は現在も行われています。村の畜産業を盛り上げようと邁進した人々の思いを後世へ伝えていく役割を果たすために、今後も郷土文化の勉強を頑張っていく次第であります。