秋田小町は外見の美しさだけを指す言葉だと思っていた。いやそれで合っているのかもしれない。ただこの村の職場内外で出会ってきた、お母さま方にその印象をかなり変えられた。
ファーストインパクトは、初めて訪れた直売所のお母さんたちの談笑だった。その飛び交う会話の量とテンポとスピードは、ファミレスで談笑する仲良し高校生グループとさほど変わらなかった。生き生きとした張りのある声で、笑うときも腹の底から豪快に笑う。ゴリゴリの方言に慣れていなかったので、何を話しているのかはほとんどわからなかったが、その会話は心地良く、ずっと聞いていられた。
近所に住む、御年90歳のお母さんは夏場でもほとんど毎日家の近くの自分の畑に足を運んでいた。腰を深く曲げ、片手に支えの棒を持ちながらゆっくりと歩く後ろ姿を何度も見た。その後ろ姿は強く、迷いがなかった。
またまた近所に住むお母さんは、何かと世話をしてくれる。野菜や作った料理をくれたり、着なくなった厚手の冬服をくれたり、とにかく気にかけてもらっていることで、自分が思っている以上に安心して暮らせているのだと思う。
よく喋り、豪快に笑い、よく動き、よく働き、人をよく気にかけてくれる。
その人がその場にいるだけで、その場がパッと明るくなる、周りにいる人はその明かりで元気になったり、安心したりする。人の内側から湧き出ているエネルギーの大きさ、その美しさを持つ人を秋田小町と言うんじゃないか、そんなことを考えさせられるほど強烈なインパクトだった。
そんな秋田小町がこの村にいます。ありがとうございました。
【今は、村のスキー場のリフト索道員や農園でのいぶりがっこ加工作業をしたり、児童館に行ったりしています。】