協力隊の鈴木です。
2024年10月の活動報告になります。
村を囲む山々が秋の色に染まるこの頃、空気もひんやりと冷たくなり朝晩はストーブが活躍し始めました。
そして部屋の空気が暖かくなると現れるのが茶色の「クサギカメムシ」ですが、今年は昨年に比べて大発生とのことで、日本各地で話題となりました。東成瀬村でも勿論出現しているのですが、緑色の「ツヤアオカメムシ」は秋田県初の大量発生とのことで、私自身も久しぶりに確認できました。関東以西で生息しているようですが、温暖化や暖冬の影響で東北の地にも辿り着いたようです。害虫指定もされている虫のため、仲良くするには中々難しいですが、大量発生を防ぐなんらかの対策は必要なのかもしれません。
話はかわり、村のブランド米である「仙人米」を無事に手に入れることができました。
きのこやじゃがいもなどをお供に食べる新米の美味しさは文章で表現することが難しいので、とにかくうまいの一言です。東成瀬村へ足を運びに入らした際は是非とも体験して頂きたいです。
さて、今月のトピックスは下記4件になります。
秋の仙北道踏査、成瀬の森づくり、産業祭、東成瀬村アーカイブズ・ギャラリー説明会などが行われました。
紅葉シーズンの仙北道、建設中の成瀬ダムにて森林作りのための種まき行事、村の特産物や芸術文化的作品が一堂に会した産業祭など、秋ならではの行事が目白押しの1ヶ月でした。
まもなく冬が始まりますが、大雪にはならないで欲しいと切に願うばかりです。
というか降らないでほしいですね。
今年も秋の仙北道踏査が行われ、写真撮影係を兼任しながら参加させていただきました。
天気は良好で、秋晴れの空が広がるかと思いきや、標高が高くなると霧が出始めてきました。それでも「丈の倉」からは紅葉が進んだ美しい山々を眺めることができました。今回の終点である「柏峠」からは東山が見えるスポットですが、残念ながら雲に隠れてしまい雄大な姿を拝むことはできませんでした。しかしながら、オレンジ色に囲まれた古道は心と体をリフレッシュさせてくれるようで、今回も全身で自然を感じ取ることができました。
今回の踏査では、お隣の岩手県一関市で活動されている地域おこし協力隊の方々が参加されており、県外の協力隊との交流が叶いました。活動内容は栗駒山での山岳ガイドとのことで、今回の踏査を楽しみにしてくれていました。
仙北道について、岩手県側での認知度はそれほど高くないとのことで、一つの理由に踏査活動が難しくなっていることが挙げられるそうです。古道を保存・活用していこうと立ち上がった先輩方が高齢になり、同じ志を持った若者がいないとのことで、これは村でも考えられることだなと痛感しました。現に、会員の皆様はほとんどが60歳以上であり、80歳を越えて山道を歩いていらっしゃる方もいます。健脚さを褒め称えるのは勿論ですが、10年後までも歩き続けられるかな?という期待に対しては首を横に振るばかりで、寂しさを感じる場面があります。
何かを伝え残していく覚悟を持った行動について、仙北道踏査活動で身を持って経験させてもらっていることに感謝をしながら、保存活用のよりよい方向性を考えていきたいと思います。
第4回成瀬の森づくりが開催されました。
春は苗木を植樹し、秋は赤瀧神社周辺にてどんぐりなどの木の実を採取して種まきを行います。
成瀬ダムの完成に伴い、赤瀧や周辺の木々達の多くはダムの底に沈んでしまいます。遥か昔からある緑豊かな環境を後世に残すため、苗木やどんぐりなどの木の実の種まきを行い、ダム完成後の周りを若木たちが取り囲む環境にしようという取り組みで、植樹や種まきを行った場所は「森の保育園」という名称を掲げ、その成長を見守っていく場所にもなるそうです。
今回初めての参加となり、赤瀧神社跡での解説お手伝いもさせてもらいました。当日は気温が低くなった日で、ダム建設現場は標高が高いこともありかなり寒い環境となりましたが、参加者の皆さんは防寒対策バッチリの状態で木の実を採取していました。私もどんぐり達を探し当て、無事に種まきを終えることができました。ちなみにどんぐりについて、落ちているもの全てが成長するとは限らないのをご存じでしょうか。その理由として中身が虫に食べられてしまうからです。いわゆる甲虫という虫に食べられたどんぐりは従来のものとくらべて軽くなり、水などに入れてみると沈まずに浮かぶので、選別が可能になります。そしてどんぐりは何の木なのかというと、多くはブナ科の木の果実となります。秋に根を張り、冬を乗り越えた後、春には発芽を行い茎が伸びて成長していきますが、私たちが目にしている大きな木々は無数のどんぐりから生き残り何十年と成長を続けてきたものだと知ると、壮大な成長過程を経て存在していることに驚かされます。
たくさんの新芽たちが見られることを祈りながら、来年の春を待ちたいと思います。
東成瀬村産業祭「なるせ物産まつり」が開催されました。
今年も村内で収穫された農作物などを中心に品評会と即売会などが行われ、秋の名物行事が賑やかに行われました。
私は生涯学習教室に参加している方々の作品などの展示準備を中心に取り組み、当日はお客様対応をさせていただきました。
なごみアート、陶芸、折り紙、絵手紙、蔓細工、生け花などの作品が勢ぞろいし、活動の活発さを改めて感じることができました。
ふる里館での取り組み(古文書解読作業や、上掵遺跡発掘実習など)の紹介コーナーも設けられ、今年の活動を振り返ることもできました。
また、県内の伝統芸能を堪能しようというテーマのもと、羽後町から「仙道番楽」(京都あるいは鳥海山の山伏たちから伝わったとされる神楽の一種で、表六番・裏六番の合計十二番の演目から構成されています。1964年秋田県無形民俗文化財に指定されました。)と由利本荘市から「猿倉人形芝居」(隠れ使いといわれる人形遣いが幕の内側で人形を操る姿が特徴で、1974年秋田県無形民俗文化財に指定されました。)の演目が披露されました。獅子舞の美しい演舞と人形たちのチャーミングな動きなどを観ることができ、感性が磨かれたような気持になりました。
ここ東成瀬村でも神楽などの芸能文化は存在しており、現在でもお祭りなどで披露されています。ですが、少しずつその規模も小さくなり、獅子舞などは現存していますが、担い手がおらず途絶えているのが現状です。仙道番楽は一度止まってしまいましたが、有志の方々が立ち上がり、現在まで続けることができていると聞き、伝統芸能のみならず先人達が築き上げた歴史あるものごとを、学び残し活用していく方法を常に考え続けたいと思えた一日でした。
秋田県公文書館と東成瀬村教育委員会による連携展『東成瀬村アーカイブズ・ギャラリー』が8月より開催されていますが、後期展について県公文書館の畑中先生による解説が行われました。
5月から6月にかけて東成瀬村で開催された連携展『文書と絵図に学ぶ ふる里の歩み』にて公開された資料の他に、公文書館にて保管されている村に関する貴重な資料やデータ、村で新たに見つかった古文書などを中心に展示を行っており、前後期に分けて東成瀬村とはいったいどんな場所なのかという疑問の答えが見つかるという構成になっています。
9月に引き続き、畑中先生によるユーモラスで情熱的な解説を聞くことができ、より知識が深まりました。
個人的にピックアップしたいお話については来月11月にてお話したいと思います。
県公文書館を訪れる前に県立博物館へお邪魔をしており、企画展「稲穂の詩 秋田と米づくり」見学もありました。
東成瀬村でも米作りは盛んであり、参加者の皆様は熱心に展示物を覗き込み意見を交わしていました。
また、県立博物館には村で出土した世界最大級の大型磨製石斧が展示されていることもあり、こちらでも大盛り上がりで、前村長である佐々木哲男氏と櫻田館長との夢の3ショットが実現しました。
村人としての立場でみると今までとは違う、誇りのようなものを感じることができ、移住してきたんだなという実感を改めて理解させられる瞬間でもありました。
公文書館、県立博物館の方々とは去年から本当にお世話になっており、感謝しきれないくらいであります。
どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
秋田県公文書館と東成瀬村教育委員会の連携展が8/22より開催しています。(閲覧無料)
開催日程
前期展:8/22~9/23
後期展:9/26~11/4
会場 秋田県公文書館2階特別展示室
休館日 毎週水曜日
秋田県公文書館と東成瀬村教育委員会と双方の資料を持ち寄り、「東成瀬村アーカイブズ・ギャラリー」を開催することになりました。
アーカイブズとは文書、図面、写真から現代の音声記録映像や電子記録まで記録史料全般のことを言います。この展示では、東成瀬村に焦点を当て、公文書館所蔵資料と村の資料から、豊かな人間の営みを浮かび上がらせます。どの資料をとってみても村の歴史にとっては貴重なものばかりです。展示を閲覧される皆様におかれましては、どうか一つ一つの文書と絵図から、先人の姿を感じ取って頂ければ幸いです。
後ほど会いましょう