協力隊の鈴木です。8月の活動報告になります。
今月のトピックスは下記3点となります。
記事タイトルにある通り、村の歴史に関わるであろう発見がありましたので、紹介したいと思います。
歴史的側面を中心に様々なイベントに溢れた1か月となりました。
写真は同じ地域おこし協力隊の方が住んでいる住宅(岩井川地区)から見つかった金庫の扉と思われる物になります。
大きく『岩井川鉱山 齋藤鑛業所』と書かれており、岩井川という地区で開坑された鉱山があったのかもしれません。
東成瀬村郷土誌(旧)は第五編 産業の発達 - 第五章 鉱業より、岩井川砂金採集地についての記述があり、明治33年刊行の『日本鉱山産地』より明治20年代までの砂金採集地が記載されており、本書にて具体的事例として記載されている県内6カ所の内に、岩井川地区がありました。しかし、鉱山ではなく砂金とあるので決定打とは言えない記述でした。しかし、読み進めていくと第四編 教育の文化 - 第五節 芸能と娯楽 - 九、鉱泉より、岩井川温泉についての記述があり、大正8年(1919年)頃に繁盛していた温泉で、”この頃に廃山となった『合居川鉱山』の長屋を移転して造り替えた”とあり、参考欄にて『岩井川鉱山』別には『合居川鉱山』ともいうようである。大正7、8年頃、村の産業発展のため、合居川に『岩井川鉱山』を開いたのは、当時の備前善蔵である。合居川桑平沢、東峰ワスの沢口滝で銅鉱脈の探査のために坑道を掘り、銅鉱の採掘に多くの人夫を使用した。(後略) 佐々木昌男さん提供との記述を発見しました。
郷土誌より、第8代村長 備前善蔵さんが村長に就任する前に岩井川鉱山を開いていた事が判明し、同地区で鉱業を営んでいた齋藤家が所有していた金庫で、金銭などの管理を行っていたと推測できます。そして、廃山となり岩井川温泉の経営においても誰かが使用していた?とも考えられます。
ふる里館館長の櫻田先生にも上記を含め、確認をしてもらいましたが、岩井川鉱山という存在については聞いたことがないとの事でしたので、現在有識者へのヒアリング準備を進めている最中になります。
現状、金庫の扉のみ見つかっており、本体は行方不明のままです。ただ、住宅に残っていたという事は、誰かしらが管理をしてきた証拠とも言えるので、詳細を知る人物や記載された資料などの発見に繋げていきたいと考えています。
これら一連の流れから、点と点が線で繋がっていくこの不思議な感じが、歴史を学ぶ醍醐味だと個人的に思っており、自らの手で読み解いていく事が、地域の歴史を学び保存し伝えていく一歩だと改めて感じました。
村内では様々な生涯学習教室が行われており、『歴史探訪教室』もその一つであり、県内外の博物館や伝承施設、史跡などを巡ることを目的としています。
8月は大仙市南外地域にある南外民俗資料交流館と大仙市アーカイブズへ訪問しました。
南外民俗資料交流館では、明治から近代まで活躍した民具や農作業風景の写真などが展示されており南外地域の歴史文化を感じることができました。中でも、『秋田南外の仕事着』展示コーナーでは旧南外村(現在は大仙市)で伝統的に着用されてきた仕事着が保存されており、国登録有形民俗文化財に登録されていることを初めて知ることができました。美しい藍色の作業着と長手拭いなどが数多く展示されていて、収集作業と保存作業について学ぶ機会になりました。東成瀬村には田子内織りという伝統的な織物が存在しているので、同じように収集と保存をしていくべき事だなと思いました。
大仙市アーカイブズでは、秋田県公文書館との連携展 アーカイブズのちから おらだの記憶展 が開催されており、ふる里館でも行われた連携展になります。当日は佐藤弥助家文書などの説明や公文書館の畑中先生による展示物の説明を聞き、歴史にどっぷりと浸かった時間になりました。幻の大曲SL公園の計画や、明治時代の大仙市域の温泉調査結果など貴重な史料をユーモアに溢れた説明で学ぶことができ、とてもいい機会になりました。
9月も予定されているとの事でしたので、欠かさずに参加していこうと思います。
これまで、弘法の祠祭りや柏峠までの踏査などに参加してきましたが、岩手県側までは行ったことがありませんでした。今回初めて、仙北道の現地踏査へ参加させていただき、1000年以上前に開削された道を自分の足で歩く事ができました。
朝6時に出発し、帰ってきた時には夕方6時を過ぎていました。約12㎞の道のりを12時間かけて歩いたことになりましたが、精神と肉体が試されるある意味修行のような時間でした。(アドレ坂という要所から道別れをして大寒沢林道へ向かいましたが、本来はもう6㎞歩いて下嵐江へ到着とのことでした...)
岩手県側は諸事情で道の刈り払いが出来ておらず、藪だらけの道をかき分けて歩く時間が多く、古道をより実感する事になりました。また、キツい登りや何度も沢渡りがあったりなど体力が削られる場面が多く、万全の装備と中程度以上の体力を持ち合わせた状態で行くべき場所だと感じました。
そのかわり、緑豊かな風景や爽やかな風、流れる水の音など、仙北道を歩くことでしか味わえない体験ができたので一生心に残るものになりました。
林道までの送迎には岩手県側の皆様にもご協力をいただき、古道を再生・保存していこうとする熱い気持ちをより感じ取れることができたので、私も微力ではありますが今後も協力していこうと思います。
先月見つかった新たな古文書について、続報になります。
古文書を見つけた場合、第一に捨てずにそのままの状態で保存を行う事から始まります。その後、修復から解読・保存をしていく事になりますが、基本的には下記工程で行われていきます。
①記録・整理
②修理(縫い・裏打ち)
③復元(化粧裁ち、製本)
④襖などの★下張り文書の剥離
★建築物の壁(土壁)の吸湿、断熱などの目的で貼られたり、襖や屏風の補強のために張り込まれた反故紙(帳簿や手紙、書付などの使い古した紙を集めておいたもの)のこと。
下張り文書については、ふる里館一階にて一部保管してありますので、興味のある方は是非お越し下さい。
今回は①より、資料の保存状態の確認及び汚れ落とし、防虫剤の投与を行いました。何枚も重なっていたり、紙がくっついていたり、虫食いがひどい資料も見受けられましたが、丁寧に作業を行い、無事に整理することができました。今後は記録を行うために撮影を行う予定になりますので、細心の注意を払いながら進めていきます。
あっという間の夏が終わり、いよいよ秋がやってきます。
田畑の収穫作業が始まり、山々の色づきも変化してくるので、見逃さないように9月も全力で生きていきます!