協力隊の鈴木です。
10月の活動報告になります。
ふる里館から見える山々の景色が緑色から赤色や黄色に変化してきました。
美しい紅葉と共に仕事ができる環境に感謝しつつ、改めて東成瀬村の大自然に圧倒される日々です。
さて、今月のトピックスは下記3件になります。
自然観察教室・仙北道や焼石岳登山や小学校の学習発表会・成瀬仙人太鼓35周年記念事業などがあり、芸術と自然を満喫した1か月になりました。
最高気温が20℃に届かない日々が多くなり、秋から冬へ移り変わっていっています。
来月からは本格的な冬支度が始まりますので、村での厳しい冬に備えていこうと思います。
10月は自然観察教室が2回開かれ、第1弾は山形県金山町より遊学の森を訪問しました。
終始小雨が降っている状況ではありましたが、『樹幹流(じゅかんりゅう)』(木の枝や葉に降った雨が幹を伝って根元に流れていく現象で、林内雨(りんないう)と呼ばれる、森林内で観測される雨の一部が樹幹流として地面に到達します。 )を見ることができたので、観察教室らしい一面に遭遇できました。
ゆるやかなアップダウンを歩き、最後は『大美輪(おおみのわ)の杉』を見学してきました。樹齢300年近い大杉が存在しており、享保年間(1715年~1736年)に植林されたものと推測されているそうです。
巨木を目の前にすると、いつも思うことがあります。
"命が芽生えた瞬間から現在まで、どんなことを見て、感じてきたんだろうか"
人間と違い喋ることはありませんが、何百年も昔の人々がその成長を見守ってきた存在であり、逆に見守られてきたのが現代に生きる私達になるので、この関係性にはいつも不思議な感覚を持たせてくれます。
東成瀬村にも立派な木々が多く存在しているので、いつの日か村を代表する樹木へと成長してほしいものです。
6月から全て参加してきた仙北道関係について、今年度最後となる秋の会へ行ってきました。
最も標高が高い所『柏峠』が1,018mであることにちなんで、10月18日に開催されました。
これまでは緑が生い茂る険しい道のりでしたが、秋ならではのカラフルに色づいた風景が常に広がる道となっていて、新しい道を歩いている感覚になりました。
何度か歩いてきたおかげで、目印となる木々や眺めがいい場所などが分かるようになってきました。仙北道を生活のために利用していた人々は、こうやって何度も歩いて目印を決めて歩いてきたんだろうと思った瞬間でもありました。
東成瀬村が誇る歴史の道は、これから雪深い場所へと変貌します。
踏査活動などはひとまず終了となりますが、古文書などを通して史実を中心に勉強していこうと思います。
東成瀬村小学校にて学習発表会が行われると聞き、お世話になった5年生のステージを見学しに行きました。
種目は劇となり、題目は『東成瀬遊記~おいしいお米の秘密を求めて~』
西遊記と秋田県のご当地ヒーローである超神ネイガーなどをモチーフにした劇で、コメディとクイズの要素を上手に使い分けたとても完成度の高い劇で、びっくりしたことが一番の感想でした。
大勢のお客さんを前に堂々たる演技をしている生徒達を見て、誇らしい気持ちと常に成長していく素晴らしさを感じました。また、先生方のご厚意により、演目前後で生徒達と会って話す機会を設けて下さり、ほんの少しだけ力添えをできたかなと思っています。
まっすぐで純粋な笑顔をこれからも見守っていける存在であれるように、私も日々を生きていこうと感じた一日でした。
成瀬仙人太鼓35周年記念事業~ジュネスの響き Ⅵ~が開催されました。
実は4月に移住してから仙人太鼓に誘われ、練習や各イベントでの演奏などに参加してきていました。
今年は35周年という節目の時期となり、これまでの練習の成果を披露する舞台となるため、一層の気合いを入れて臨みました。
地域おこし協力隊として東成瀬村に移住してきた理由は、歴史や文化を学ぶためにあります。
半年後の自分は舞台で太鼓を叩いている、と言う予想は限りなくゼロに近いもので、”人生何が起きるか分からない”を体現した経験となっています。
仙人太鼓を通して、一生経験をする事がない、出会うことが無かったであろう人達と巡り会えたので、これらのチャンスをくれた皆様にまずは感謝の気持ちと、太鼓をやりますと返事をしたあの時の自分も少しだけ褒めてやりたいと思います。
伝統芸能を自らの体を使って学んでいるという意識を持って、これからも練習に励んでいきます。
10月2回目の自然観察教室となり、栗駒山は名残ヶ原周辺を散策し、岩手県の厳美渓と胆沢ダムを見学してきました。
この時期ではなかなか無い天気が良い日にあたり、絶好の観察日和でした。
栗駒山の紅葉はピークこそ過ぎていましたが、まだまだ色づいていて秋の景色を堪能することができました。
岩手県の名勝・天然記念物である厳美渓では紅葉と渓谷美を感じ、名物である『かっこうだんご』が川の上にあるロープを通じて飛んでいく場面を見ることができました。
最後は胆沢ダムを見学し、日本最大級のロックフィルダムであるため岩石や土砂が何層も積み重なっている姿を確認してきました。ちなみに現在建設中の成瀬ダムは台形CSG形式で、セメントで固めた砂礫でつくるダムになります。
無事に日程を終え、バスに揺られながら村へ帰っている最中にその瞬間は訪れました。
それは、世間を騒がせている熊との遭遇でした。
バスが止まり、対向車も止まった為、なんだ?と思った瞬間、大きな熊が悠々と道路を横断していきました。
急ぐ気配も無く、ゆっくりと茂みの中へ入っていき、しばらくこちらを見つめていました。
自然観察教室最大の見せ場だったのかもしれませんが、もし車の中じゃなかったら・・・と考えると恐ろしくなります。実際の所、村ではほぼ毎日熊の出没情報がアナウンスされていて、いつ遭遇してもおかしくないですねと話をしていました。
住むところに食べるものがないので、人間が住んでいる場所まで降りてくる。きっと、熊たちもやむを得ず行動しているんじゃないかと私は考えています。
11月より狩猟が解禁されるので、様々な被害が減少することを期待しながら、動物たちにとっても無事に冬を迎えられる環境になってほしいと思います。
焼石岳にて、6月に設置した案内看板の撤去作業を行ってきました。
焼石岳は村に移住してきてから初の登山となり、様々な山を登るきっかけにもなった場所だったので、今までで一番の気合いを入れて登りました。
前日気温が低くなり、山間部では積雪が確認されていた為、もしかすると頂上付近に雪があるかもしれないと予想をしていましたが、3合目の駐車場から登山道へ入ってすぐに雪が残っていました。
6・7合目では道が雪で埋まっていて、冬山登山になってしまいました。
諦めて下山するわけにも行かず、雪をかき分け看板を外していき、なんとか任務を達成することができたのでよかったです。
大きな沼がある8合目では、産卵のために遡上していくイワナを見られる可能性があるとのことで、こちらも期待しながら登っていきましたが、無事にイワナを確認することができました。上写真では少し分かりづらくて申し訳ありませんが、3匹ほど遡上していく姿を確認できました。非常に警戒心の強い魚のため、すぐに逃げられてしまうかなと思いましたが、意外と近くに寄って観察することができました。
焼石岳登山では3回沢渡りがありますが、一時的な雪解け水の影響で増水しており、下山時ではなかなかにスリリングな状況でした。しかしながら、これまでの山登りで鍛えられた体幹と体の動かし方でなんとか無事に下山することができました。
初の登山と比べると明らかに体の疲れが少なく、要した時間も少なかった結果から、ようやく自然に慣れてきた感じがしました。
こうなると冬山へのアタックも魅力的に感じてしまう性格ですが、さすがに経験と装備が揃っていないのでいったん休止としておきます。いつのまにか村での生活に欠かせないものになった登山ですが、来年もしっかり登っていこうと思います。
村の小学校5年生の皆様から、9月に行われた白神体験センター宿泊研修のお礼としてお手紙を頂きました。
わざわざ写真も付けて下さり、アルバムのような仕上がりでものすごく感動しました。思わず涙が出そうになったので、私の人生において大きな経験だったことを裏付けるものでした。
1泊2日という短い期間で、5年生の皆さんや先生方と良い関係を築けたんだなと改めて振り返ることができました。
本当にありがとうございました!